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2017/03/10 | その他 | 278view

【UX】ヒトがサービスに「お金を払う」プロセスを考える

こんにちは世界。amp@技術部のヤノです。

とうとう出ましたね...Nintendo Switch!ゼルダのCMが流れる度に購入衝動にかられてしまって大変なので、夜な夜な自分自身の脆弱な預金残高を見て身を清めています ... どうせスプラトゥーン2出たら買っちゃうんでしょうけど。


ヒトがモノを買うというコト


さて、突然ですがみなさまは "最近買った高価なモノ" って何でしょうか? ... 衣服・アクセサリー・家具・家電製品・車・家なんて方もいるでしょうか。「高価」の基準は人それぞれですが「高い」と認識していながらも購入するに至ったということは、何を買ったにせよ 「金額に見合う対価があると判断した」 はずです。そうですよね?

...では、もう一つお伺いします。

アナタはそのお買い物について 「数ある商品の中から最終的になぜ、これを選んだのか?」 を明確に説明することができるでしょうか?おそらく殆どの人が 「良さそうに思ったから」 という "なんとなーくな理由" ではないでしょうか...!

...なんだか尋問みたいになってしまいましたが。

ヒトは普段、なにかモノを購入するとき 「金額に見合う価値があると判断した」 と "思い込んで" います。しかし、いざ購入の理由を細かくつきつめてみると 「他と比べてなんとなく良さそうだと感じた」 という曖昧な理由で購入に至っているケースが案外多いのです。

これはマーケティングやUX(ユーザ体験)の観点から言えば、サービス・商品のもつ様々な品質(設計品質・利用品質)について【予期的UX】を比較して購入した ... と言えます。

今回はそんな "人が価値にお金を払う" という消費行動プロセスについて【UX】の観点から考えてみたいと思います。


お客様は「あなたの商品が素晴らしい」から買うワケじゃない?


さて、今度は消費者ではなく経営者としての視点で考えてみましょう。アナタはさまざまな工夫・シカケを通して、お客様にご満足いただけるような 「良い」 サービスを提供しようと企画する経営者です。

このようなUI・ユーザビリティ設計からくる品質は【設計品質】と呼ばれ、実際にサービスを利用するユーザの体験する【利用品質】に大きく影響を与えます。


品質とUXとの関係性


設計品質・利用品質にはそれぞれ「主観/客観的品質」というものが存在します。カンタンに説明すると以下のように設計品質が利用品質に影響を与えます。

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【設計品質:UI】    →    【利用品質:UX】

客観的設計品質     →    客観的利用品質
(使いやすさ・機能性)      (効率・生産性・リスク回避性)

主観的設計品質     →    主観的利用品質
(ブランド・希少性・ニーズ)   (満足感・ユーザ特性や利用状況へのマッチング)

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UXの経験プロセス


しかしここで一つ落とし穴があります。どれだけ使いやすさが考慮されたサービスであっても、お客様がサービスを選ぶ段階では、お客様はまだ利用品質を体験することはできません。

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1. 予期的UX(利用前:経験の想像)
2. 一時的UX(利用中:経験)
3. エピソード的UX(利用後:経験の内省)
4. 累積的UX(利用時間全体:経験期間の回想)

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当たり前のことで恐縮ですが、実際に利用して「利用品質」を体感しUXを蓄積してもらうためには、まず数あるサービスのなかから選んでもらわなければいけません。選んでもらうということは、実際の 「利用品質」 はさておき "他と比べて良さそうだ" という期待感、つまり【予期的UX】を体験してもらい、競合サービスとの比較で優位に立つ必要があるのです。

...なぜか?

先ほどの「高価な買い物」の話で言えば、アナタは自分で選んで購入したサービスの利用品質は経験することができています。しかし、選ばなかったサービスの「良さ」についてはどうでしょうか。現実にそのサービスを利用しなかったわけですから、実のところ、わからないはずです。

それでもヒトはサービス・商品にお金を払うとき、無意識のうちに「サービスの価値(=品質)を比較して選んだ」と多少なり思い込んでいます。しかし実際には価値ではなく "価値がありそうという【期待感】で商品を選んでいる" のです。


お客様は「良さ」と「良さそう」を比較し続けている


ヒトは自分がお金を払うとき、そのサービスへの予期的UXを比較する … 要するに「良さそうだと思う」という、なんとも漠然としたイメージ・推測で予想をしているにしかすぎないんです。大切なお金を支払うのに、です。

「素晴らしいのを知ってる」 から買うことと同じくらい … 「素晴らしそうに思った」 から買う。この期待感の比較の候補にあがらなければ、サービスがどんなに素晴らしい品質を備えていたとしても、その価値は伝わりません。考えてみれば当然のことなのですが、いざ自分がサービスを設計する側になると、既に自分が素晴らしさを知っている状態なので、ユーザの視点になれないことが多いように思います。

特にインターネットが広く普及した現代において、サービス提供者である私たちは商品の 「良さ」 を高めるのは勿論のコト … その商品を選んでもらうための 「良さそう」 という期待感を高めること も同時に考えなくてはいけないのです。


UXデザインの重要性


ユーザは常に自身のもつ【累積的UX】と、ライバルサービスの【予期的UX】を比較検討し続けています。

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1. 数あるサービスの【予期的UX】を比較する
2. 選択したサービスを利用しUXの蓄積→【累積的UX】を獲得する
3. 【予期的UX】の精度を修正する
4. 自身の体験をもとに、もっと良いサービスがないか (1) に戻る

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サービス設計者としてはお客様に 「今自分が知っている "良さ" よりも、こっちの方が "良さそう" だな」 と思わせる=浮気をする理由 を与えてあげる必要があります。また、自身が抱えているユーザに対してはライバルサービスに負けないような「利用品質」を常に生み出し続けなければなりません。そして、この「体験のデザイン」こそが【UXデザイン】です。

【UXデザイン】は一般的に "製品・システム・サービスを使用した/使用を予期したことに起因する人の認知・知覚・反応" を、より良い方へ設計するためのものだと言われています。しかし、実際にはサービスの利用・購入を比較検討する段階から、UXは始まっています。サービスを企画・制作・設計する際には、そのユーザビリティはもちろんのこと「どんなストーリーでユーザがサービスに選ばれるのか」まで品質を設計する必要があると考えています。

矢野 博之

投稿者:矢野 博之

矢野 博之(ヤノ ヒロユキ)
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東京都国立市出身。ギターとコーヒーで生きてる。20代半ばに異業種から業界入りしたイロモノWEB系エンジニアで【フルスタックウェブエンジニア】を目指し、設計・デザイン・フロント・バックエンド・インフラなど幅広く担当。最近はセキュリティ・ライティング・ディレクションも勉強中。