クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.37
アート
2018.07.13

生活の中でアートを楽しむ 六本木アートナイト2018


今回で9回目を迎える「六本木アートナイト」。今年は2018年5月26日(土)~27日(日)に開催され、多くの来場者が訪れた。今年のテーマは「街はアートの夢をみる」。六本木アートナイトは六本木の街を舞台にしたアートの祭典であり、様々なアート作品が街に溶け込み、非日常的な体験ができると同時に生活の中でアートを楽しめるイベントとなっている。2020年に向けて文化の重要性がさらに高まっていく中で、六本木というアートな街が担う役割とは。

六本木アートナイトを支える3つの拠点
地方での芸術祭が増え盛り上がりを見せる中で、それを都会型で行ったらどうなるのか、六本木ヒルズ、国立新美術館、東京ミッドタウン、この3拠点を中心にして街の中でアートを展開できないかとはじまったのが六本木アートナイトだ。特にこの3拠点にはメインプログラムが展示される。これまでは1人のアーティストが3箇所の作品を制作していたが、今年は、金氏徹平、鬼頭健吾、宇治野宗輝の3人のメインアーティストが各拠点に展示を行った。
金氏氏はインスタレーション「タワー」を六本木ヒルズアリーナに展示。街を24時間演じ続けるというアイデアのもとに、様々なパフォーマンスを行う舞台として制作された構築的な作品だ。
国立新美術館では鬼頭氏の作品「hanging colors」が来場者を出迎えた。20mを超えるカラフルな布がガラスのファサードに展開。大量のカラフルな布を流すことでそれが布ではなく色という認識になり見る人を魅了する。
東京ミッドタウンで展示されたのが宇治野氏の作品「ドラゴンヘッド・ハウス」。東京を想起させる辛子色のタクシーとカラーコーンと日本建築が一体となり、音と光が連動する動く彫刻だ。大量生産と消費社会の20世紀をシンボリックに表現している。



イベントの印象を左右するメインアーティスト
今回、主要アーティストとしてこの3名を選んだ理由や今後の展開について、六本木アートナイト実行委員長の南條氏に話を伺った。
南條氏「今の日本の中堅アーティスト3人が揃い踏みで、各拠点で多様な作品を展開することは、それぞれの場所で全く違う印象を与えながらも統一感のある空間を演出できるのではないかと考えました。また今後は、海外のアーティストを招いたり、若手のアーティストがこうした大きな舞台で実験的にやってみるというのも将来的にあるかもしれないですね。色々な可能性があると思います」
アーティストや作品によって、イベントの印象は毎回変わる。また、街の展開範囲によっても変わってくるという。
南條氏「街の中に作品がどれくらい展開しているかによっても印象が違うようです。今回はかなり努力して、より街の中に作品を出していきました。そういう意味では六本木の街全体でやっているなと感じていただけたのではないかと思います」


編集部の視点
日常の延長でアートを楽しむという文化は日本ではまだ希薄な部分がある。南條氏はインタビューの中で、「全ての作品を見きれなくてもいいんです。むしろふらっと来て作品を見て、その後友達とカフェに行く。そんな楽しみ方がいいんじゃないかと思います」と語っていた。生活の中で気軽にアートを楽しむ文化を発信していく中心的な場所として、六本木の街が重要な場所になっていくのかもしれない。