クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.33
カルチャー
2018.03.15

福岡市に人と企業が集まる理由を徹底解剖!


第三次産業発展には福岡の地形に理由があった
IT、クリエイティブ領域などの企業立地が増えている福岡市。その成功の要因を探ってみた。
橋爪氏「福岡市は第三次産業が9割を占めており、この特性を踏まえたまちづくりや企業誘致等の経済政策を行っています」
実は、福岡市には大きな(一級)河川がない。大量の工業用水が必要な製造業ではなく、第三次産業を中心に都市が発展してきたのもうなずける。
橋爪氏「特にクリエイティブ関連産業の誘致には力を入れており、誘致実績(2012~2016年度)の半数以上を占めています。また、国家戦略特区と市独自の規制緩和などによって民間ビル30棟の建て替えを誘導する天神ビッグバン(※1)を進めていますので、高質なオフィス・商業空間といった企業立地の環境を整えていけると考えています」
しかし、立地環境があるというだけでLINE Fukuokaやアマゾン ジャパンといった名だたる企業がこぞって福岡市に拠点を置く理由になるのだろうか。
山下氏「福岡市では移住促進プロジェクトを推進しており、U・Iターン人材に対する取り組み“福岡クリエイティブキャンプ”を積 極的に行っています。Fukuoka Growth Nextというスタートアップ支援施設においてもデザイナーやエンジニアの育成に力を注いでいます。つまり、福岡市では立地環境が整っているということのみならず、人材の確保もしやすいという事が企業様の期待に繋がっているのではないかと考えています」

都市のポテンシャルと魅力をデータから紐解く
平成27年の国勢調査で福岡市は、人口増加率が5.12%、10代・20代の割合は22.05%と、いずれも政令指定都市の中では1位(※2)という結果だ。福岡市が人を惹きつける魅力を聞いた。
橋爪氏「街がコンパクトで都心へも郊外へも出かけやすく、通勤通学にも便利だと感じて頂いている部分はあるかと思います」
確かに、通勤・通学の利便性では世界42都市中1位(※3)。また、通勤・通学時間は平日の片道換算で38分(※4)となっており、関東、中部、関西の3大都市圏と比べて一番の短さである。
橋爪氏「例えば飛行機で出張する場合、福岡空港は、九州最大の駅であるJR博多駅と地下鉄でたった5分、都心部の天神とも11分の距離ですので、ビジネス環境としても恵まれています。また、物価が安いことも、働く方にとっては暮らしやすさに、企業様にとってはオフィス賃料を抑えるなどのメリットにつながっているのではないかと思います」
人々が生活する上で、「時間」と「コスト」は重要なファクターであることは周知の事実だが、こういった前提条件をきちんとクリアできている点に福岡市の力を垣間見ることができる。

優秀な若者は福岡市で起業する!?
福岡市の若者について、自身もUターン組だという山下氏はこう言う。
山下氏「福岡市は、もともと学生の多い街です。福岡で起業したいという学生も多く、起業意欲を持った子がFukuoka Growth Next内にある“スタートアップカフェ”に相談に来たりします」
IT、クリエイティブ業界の第一線で活躍する企業が間近にあり、スタートアップへの支援環境が整備されている。そして、人が豊かに暮らせる生活基盤のある福岡市から世界に羽ばたく企業が出現してくるのもそう遠くない未来かもしれない。

(※1)福岡市の都心部である天神の半径500m、約80haのエリアを対象に、国家戦略特区や市独自の規制緩和により、2024年までに30棟の民間ビル建て替えを誘導し、新たな空間と雇用を創出するプロジェクト。
(※2~4)出典「Fukuoka Facts」


官民共働で運営するスタートアップ支援施設

編集部の視点
今回の取材で注目している都市を尋ねると、山下・橋爪両氏から「シアトル」という街の名前があがってきた。世界を見ているその姿勢に福岡市、そして福岡の人の力強さを感じる事ができた。いくら環境や仕組みが備わっていたとしても、中の人の熱量が全ての源泉ではないかと思う。福岡市の取り組みと情熱をトレースして読者の目の前の課題にも大いに役立つのではないかと思う。