知らないうちにご当地のことが分かるウェブ漫画「四十七大戦」
人気の都道府県擬人化コミックが2.5次元舞台へ。鳥取県が新しい地域活性に挑む
都道府県の擬人化コミック「四十七大戦」の舞台化が決定。2019年10月より東京・鳥取で公演が行われる。
当コミックは、ウェブ漫画総選挙2018で705,716票のうち133,608票を獲得した。各県に一人のご当地神がおり、
地域の観光名所やご当地ネタで競い合うというストーリー。
鳥取県の場合は、名産である松葉ガニで防御をしたりするシチュエーションがあり、知らないうちにご当地のことがわかってしまう連載コミックである。
鳥取県が消滅可能性都市から首都になるというサクセス・ストーリーが展開されている。
コミックを2.5次元舞台へ、新しい地方活性のイノベーションがここに生まれようとしている。
ファンイベントは180席が埋まり、S席は30分でソールドアウト
2019年2月3日(日)、新橋にてウェブ漫画「四十七大戦」のファンイベントが開催された。 180名ほどの原作ファンが集まり、その多くは女性で占められていた。 S席6,000円で最初の50名の枠が、発売と同時にソールドアウトしてしまうほどの人気ぶり。 イベント当日まで舞台化の話は伏せられており、イベント内にて情報解禁がされると、会場全体が歓喜に満ちた。
そして、ファンイベントとは別部屋で舞台化の記者発表が行われた。記者発表には、鳥取県知事である平井氏が取材に応じた。 「鳥取県は、スタバは無いけどスナバ(砂場)がある」の愛情あるダジャレで知られる平井氏が、四十七大戦の舞台化について次のように話した。
作者の各都道府県への深い愛情を感じる
−県人口が55万人へ突入し県全体の崩壊危機という設定について、県知事として首都への野望はありますか?
平井氏「この作品は、原作者である一二三先生の愛情を感じることができます。 先生の眼差しの向こう側に、日本それぞれの地域が、『人口が少ないとかではなく県民性の魅力をお互いに競い合って良い日本を作って欲しい』という メッセージとして受け取っています。消滅可能性の都市、日本の最果て鳥取が首都になるということで『鳥取が日本をトットリ?!』で、 お友達を増やしていければと思います」
−鳥取県でも舞台は開催されますが、どのようにアピールしたいと考えていらっしゃいますか?
平井氏「四十七大戦は、女性を中心に熱狂的なファンがいらっしゃいます。 きっと都道府県のお国自慢を楽しまれるユーモアのある人たちではないかと思っています。 そういったところを大事にしながら会場のしつらえをさせていただきたいと考えています。 また、鳥取県だけではなくおとなりの島根県も歩いていただけるように考えたいと思っています」
更に、2.5次元舞台化を企画・主催するクリーク・アンド・リバー社の川口氏へ、舞台化までの背景、鳥取県を味方につけるそのプロデューサー力について迫る。
舞台化への後押しは、多くの女性たちの2.5次元への愛情が強く感じられること
−「四十七大戦」を舞台化しようと思った背景について教えてください。
川口氏「1年程前に企画があがったのですが、それより以前から作品が面白いなと思っていました。 また、都道府県を擬人化して地域の特産物で攻撃をする表現を見ていて、非常に広告力のある漫画であるという捉え方をしていました。 当時、女性の間で2.5次元ブームが起きており、さらに女性は美味しい食べ物などの感度がとても高くて鋭い。 2.5次元への愛情をすごく感じられたこともあり、地域の会社や商品が演劇の中で紹介できれば、マッチングの相性が良いのではないかと考えたのです。 参考としては、タイガー&バニーなどのアニメ内広告などです。そういったアプローチが、女性へ直接的に刺さりやすいのではと思いました」
−メインスポンサーである「エミネット」社へ、初往訪でスポンサー営業をされたとのことですが、何故エミネットだったのでしょうか?
川口氏「弊社の女性社員から鳥取県の企業で女性向けの商品に関してエミネット様が有名であるという情報を聞き、さっそくエミネット様へお問い合わせしました。
その後、エミネット様がある米子へ行き、内田社長へプレゼンテーションさせていただきました。
1時間強、お話させていただいところ、内田社長より『鳥取県の企業が最初に手を上げなければいけない企画だ』というお言葉をいただき、
メインスポンサーを即決で決めていただきました。鳥取県庁様との話も進み、鳥取県全体で盛り上げていこうとご協力いただけることになりました。
鳥取県に行ってみて感じたのですが、現地で有名な今井書店という本屋が原作を流行らせたようでして、『四十七大戦』の認知度が非常に高かったのです。
やはり、演劇ならではの生の迫力を現地で観ていただけるように演出を色々と考えています。
今は、要望を持っている団体含め、鳥取県の関係者の方からも広く意見を集めている段階ですので、何かあれば川口まで連絡をいただければ、なるべく盛り込みたいと考えています」
−メインスポンサーとなったエミネットの代表 内田氏は記者会見にて、当時を次のように振り返る。また、舞台をきっかけに大きな野望も持っていた。
内田氏「実は、昨年の秋まで川口プロデューサーからお話いただくまで原作漫画のことを存じ上げませんでした。
川口さんが昨年11月にいらっしゃいまして、『消滅可能都市の鳥取県が将来、日本の首都になります。2.5次元舞台でやるのです』と話されて、
よくわからないし話を切り上げて早く帰ってもらおうと考えていました(笑)。
ただ、話が進むにつれて引き込まれて行くのです。『21世紀、この舞台をきっかけに首都になるかもしれない。』と思って
ついついその場でメインスポンサーになってしまいました。ただ決めたからにはメインスポンサーとして尽力していきたいと考えています」
編集部の視点
今回、「コミック×地方×舞台化×スポンサー」という掛け合わせによって、地方活性の新しいイノベーションが起きようとしている。 聖地巡礼が流行しているように、コミックやアニメ等のコンテンツと地方の掛け合わせは、その地域をアピールし足を運んでもらうのに一役買うツールになっていることがわかる。 今回舞台化される『四十七大戦』もまた、地方が発する熱の高さをうかがうことができる企画だ。
マンガ『四十七大戦』
このたび、舞台化が決定したマンガ『四十七大戦』は、47都道府県のご当地神(ゆる神様)たちが次の「首都」を争う都道府県擬人化バトルを描いた作品です。主人公のゆる神様「鳥取さん」が、人口の減少により崩壊の危機に直面する消滅可能性都市「鳥取」を支えるべく奮闘します。WebマンガNo.1をみんなで決める、ピクシブ株式会社と日本出版販売株式会社との協同企画「WEBマンガ総選挙2018」では、総投票数705,716票より133,608票を獲得して見事1位を受賞。本日2月3日(日)に開催した同作の公式ファンイベント「『四十七大戦』首都圏会議」のチケットは発売開始後、早期に完売してしまうほどの人気ぶりを見せています。
【あらすじ】
極東の島国日本の最果ての地、魔境「鳥取」は、人口の減少により崩壊の危機に直面する消滅可能性都市であった。この物語はそんな不毛の地を必死に支えるご当地神「鳥取さん」の奮闘の記録である。https://www.comic-earthstar.jp/detail/taisen/
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