
車中から生まれるアイデアたち
森本氏「アイデアを考える仕事は非常に身体性が重要だと思っています。その人の思考の特徴は身体性に大きく影響していて、立ち姿と動き方、呼吸の仕方でそれぞれの作風は変わると思うんです。私は運転していることが多いので、動体視力というか、卓球部だったことも影響しているのかな(笑)、ちょうど運転しているときの視点で物事を見ています。そのため、常に企画している時は紙の上で静止して考えるよりも、風景とか人物とか全部動画みたいに動かして考えているんです。これは運転の影響だと思います(笑)。大学生のころ、国分寺まで往復3時間、毎日運転していました。その片道1時間30分の間はラジオも音楽も十分に聴けるし、すごく考える時間がありました。窓から見える外の世界は美しくて、そこに音楽が掛け算されて、さらに自分のアイデアも掛け算されて、窓から見える景色はスクリーンで見ているかのように色んな事を空想して。私にとって車は動く魔法の箱みたいな部屋だったんです。今でも通勤は車です。風景や音、いろんなものがミックスされて、アイデアが自分の頭のなかで形になっていき、この感触だってなったらアウトプットし、完成させていくんです」