ビジネスタイムライン編集長 /佐藤 元紀
近年、カスタマー(消費者)の趣味趣向や接触媒体が多様化し、可処分時間の奪い合いになっていることは周知の事実だ。コンテンツホルダーやプラットフォーマーとよばれるプレイヤーたちはこぞって、カスタマーの囲い込みに知恵を振り絞って躍起になっている。しかし、そもそも囲い込むという概念が、現代のトライブ化の流れと周波数が合っていないのではないか。トライブとは、粟飯原氏がいう通り第3の潮流を意味している。第3の居場所は複数存在するということを前提条件に考えるべきで、複数存在するから、そもそも囲い込みする必要がなく、時間やそのときの気分などで、接点を持ちたくなるようなサービスが良い訳である。ただし、トライブ化されたスモールコミュニティの熱量は非常に高いので、彼ら(彼女ら)に提供するサービスの熱量のチャンネルは当然ながら高めの設定が必要だろう。
トライブの考え方以外でも粟飯原氏流のサービス開発において、抑えておきたい作法がある。それは、『①掛け算で新しいものを見つけ出す→②それが定着し得るサービスか否かの裏を取る検証作業を行う』という、直感と裏付けの共存作業である。当たり前のような話に見えて、実はこれを共存させてバランスを調整しながらサービス開発を行うことは実に難しい。さらに加えて、サービスには未完成な隙間部分を設けることが重要だという。これは、書籍やアートなどの完成されたものとはベクトルが異なる、WEBサービスならではの考え方といえよう。カスタマーみんなで作りあげていくという参加意識を醸成していく様は、不安定の中の安定とも捉えることができる。
粟飯原氏が率いるアイランド社では「WEBとリアル」「WEBとローカル」など、掛け算のサービス開発に日々取り組んでいる。匿名だったWEBの世界がソーシャルの進化により実名に抵抗がなくなり、社会インフラ化してきている今、WEBサービスには情報発信という役割以外に新しい人や場所を繋げていき新たなものを生み出す役割が求められていくのではないか。
From the Editor in Chief
粟飯原氏がいう「トライブ(※)」という言葉に焦点をあててみたとき、それを、長く愛されるWEBサービス開発に携わる際、どのように意識すべきかを考えてみたい。近年、カスタマー(消費者)の趣味趣向や接触媒体が多様化し、可処分時間の奪い合いになっていることは周知の事実だ。コンテンツホルダーやプラットフォーマーとよばれるプレイヤーたちはこぞって、カスタマーの囲い込みに知恵を振り絞って躍起になっている。しかし、そもそも囲い込むという概念が、現代のトライブ化の流れと周波数が合っていないのではないか。トライブとは、粟飯原氏がいう通り第3の潮流を意味している。第3の居場所は複数存在するということを前提条件に考えるべきで、複数存在するから、そもそも囲い込みする必要がなく、時間やそのときの気分などで、接点を持ちたくなるようなサービスが良い訳である。ただし、トライブ化されたスモールコミュニティの熱量は非常に高いので、彼ら(彼女ら)に提供するサービスの熱量のチャンネルは当然ながら高めの設定が必要だろう。
トライブの考え方以外でも粟飯原氏流のサービス開発において、抑えておきたい作法がある。それは、『①掛け算で新しいものを見つけ出す→②それが定着し得るサービスか否かの裏を取る検証作業を行う』という、直感と裏付けの共存作業である。当たり前のような話に見えて、実はこれを共存させてバランスを調整しながらサービス開発を行うことは実に難しい。さらに加えて、サービスには未完成な隙間部分を設けることが重要だという。これは、書籍やアートなどの完成されたものとはベクトルが異なる、WEBサービスならではの考え方といえよう。カスタマーみんなで作りあげていくという参加意識を醸成していく様は、不安定の中の安定とも捉えることができる。
粟飯原氏が率いるアイランド社では「WEBとリアル」「WEBとローカル」など、掛け算のサービス開発に日々取り組んでいる。匿名だったWEBの世界がソーシャルの進化により実名に抵抗がなくなり、社会インフラ化してきている今、WEBサービスには情報発信という役割以外に新しい人や場所を繋げていき新たなものを生み出す役割が求められていくのではないか。
※トライブ:特定の属性を持つ人の集まり