SHARE

2016.10.04 | tieup

守るべき酒と新しい酒造りへの挑戦を 「クリエイティブ」が支える



蔵の酒「春心」

日本酒の国内出荷量は、ピーク時に比べ約3分の1に割り込む水準まで減少(※1)している今、全国各地の酒造元はその煽りを受け、1913年(大正2年)に加賀の米穀商・西出久五郎氏が創業した「西出酒造」も経営難に追い込まれる。安価な酒の流通、嗜好性の多様化による日本酒離れなどが進んだことが原因だが、1996年(平成8年)4代目にあたる西出裕一氏は販売戦略に長けた知人へ経営権を譲り渡し「金紋酒造」に名称が変わることになった。

西出酒造5代目の西出裕恒氏は、今は亡き父裕一氏の悲願であった「もう一度、一緒に“春心”を造ろう」と言った言葉が忘れられず、大学を中退して5年間の杜氏(とうじ)修行を積んだ。 その後、金紋酒造にてリンゴ酢酵母を使ったワイン風味の日本酒を開発するなど若者にも受け入れられる新製品の醸造に取り組んできた。2013年2月持病で裕一氏はこの世を去り、それを機に裕恒氏は金紋酒造オーナーに経営権譲渡を掛け合い、2014年7月創業当時の社名「西出酒造」に戻した。


本質を掴む

2015年、裕恒氏は「春心」におけるクリエイティブリニューアルを行った。 WEB、パンフレット、動画、酒ラベルになるが、当初はWEBリニューアルだけの想定だった。その時のことをアートディレクター にしで氏(うりんぼ)が話してくれた。

にしで氏「当初、WEBリニューアルということだったのですが、何度かお話を聞く中で杜氏としての想い、経営者の悩み、家族のこと、地域性のことなどあらゆることが出てきました。西出酒造にとって、いま本当に何が必要で何を優先すべきなのかというところからお手伝いさせていただき、一つ一つ頭の中をクリアにすることでデザインや考えを具体的なイメージで共有できたことで作業がスムーズに進み、納期もコンパクトにすることが出来ました。クリエイティブは対話から生まれるもの。会って話をすることが大事だと思っています」


ブランドコンセプト

にしで氏は、あらゆるツールのデザインをリニューアルするにあたり全体のブランディングとしてどういう方向に位置づけたのか。

にしで氏「若手の杜氏であること、そして新しい酒造りへの挑戦として【個の酒】の新しい銘柄 「裕恒(hirohisa)」を立ち上げられました。しかし【蔵の酒】「春心」を守らなければいけないという想いがある中で、酒のラベル「春心」の文字は当時のモノを使用しています。慣れ親しんできた“春心”のイメージを壊さず、でも新しさを出すこと、気取らない、応援したくなる、足を運びたくなるようなイメージに仕上げました」


流通まで拡げる

全体ツールを仕上げるその先にもにしで氏には想いがあった。

にしで氏「WEBリニューアル、酒ラベルの成果物を上げることだけが仕事だと思っていません。東京初進出(新宿高島屋)のお手伝いや、お酒を使った新商品開発を一緒に手掛けるなどもお手伝いさせてもらっています。深く関わり合うことでより杜氏の思いを汲みとったモノづくりが出来ると思っています」


(※1)平成28年3月 日本酒をめぐる状況/農林水産省 政府統括官
http://www.maff.go.jp/j/seisaku_tokatu/kikaku/pdf/07shiryo_04.pdf




編集部の視点

日本酒全体の国内出荷量は減少する中、消費者の志向が量から質へと変化してきており、特定名称酒(吟醸酒、純米酒等)の出荷量は堅調に推移(※1)してきている。受け継がれる質を守りながら、酒を取り巻く食卓環境の変化へどう焦点を合わせにいくか新時代の杜氏に託される。


■株式会社うりんぼ