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2017.05.15 | tieup

きゃりーぱみゅぱみゅ×空間演出×AR

凄い技術はさり気なく。
空間演出のクリエイションに迫る

J-WAVE主催『INNOVATION WORLD FESTA 2017』にきゃりーぱみゅぱみゅの出演が決定。Perfume、サカナクションなどのミュージックビデオを手掛ける映像クリエイター関和亮氏とAR三兄弟川田十夢氏がタッグを組み、空間演出とARを組み合わせたその日限りのスペシャルライブを披露予定。今回、初のコラボレーションとなる二人は、どのような演出を考えているのか、デジタルとアナログの融合についての興味深い話を聞くことができた。


凄い技術は凄すぎると嘘っぽくなってしまう

2017年6月3日(土)につくばカピオで開催される「#イノフェス」。関氏と川田氏の初コラボレーションで、先端的なデジタルを駆使したステージ演出が期待される中、二人の構想を聞いてみた。
関氏「当日のきゃりーのライブはその日だけのスペシャルなものなので、来てくれたお客さんが誰でも楽しめるようにしたいなと考えているんです。エンターテインメントの世界にすんなり溶け込んでいく感じを、どう映像と絡めていくか。逆にアナログ的にやっていく演出部分なんかも考えています」
川田氏「今のところ、VRってゴーグルの中を覗き込む感じだし、ARだとかざしたりする体験だと思う んです。関さんがやってきたMV(ミュージックビデオ)の中で、CGのようなことをアナログでやっているんですよね。カメラ位置の移動によって現れる文字や、映像内の空間の使い方が魔法のようなことをやっているんです。曲の文法に合わせて映像を作り上げていくのを一方的に『すごい』と思いました。肉眼で体験できるような、AR技術じゃないのにARみたいに見える演出を関さんはできるので、そういった力を借りたいなと思っています」
関氏「今まで音楽に映像をつけたり、デバイスで見るものを作ったりしています。今回のステージで考えていることは今まであまりやったことがないことです。特殊なスクリーン(紗幕)を使って、映像や技術を絡めてやるというのは新しいチャレンジということもあって意欲的に参加することにしました。作り込んだ映像だけではなく、きゃりーがステージ上で動くことによって何かが起こり映像が変わっていくような仕掛けを考えています。凄い技術は、凄すぎるとそれは嘘っぽくなってしまうので、どこまでアナログ感を残すのかを常に考えているんですよ」


歌詞が空間で立体的に見える演出

映像テクノロジーを熟知しているからこそ可能になるアナログ的な演出との絶妙な融合の事例をもとに、効果的な演出方法について探ってみる。以前、関氏が手掛けたサカナクションの「アルクアラウンド」のMVでは、歌詞を一文字ずつスタンドに設置して文章にしたり、時には水に浮かべてみたりする演出を映像に差し込んでいる。とてもアナログな発想にも関わらず立体的な仕上がりになったのは、テクノロジーだけに頼らないクリエイター魂を感じる。
関氏「当時、歌詞をミュージックビデオで出したいと言われて、よくあるカラオケのテロップのように表示するやり方は無いなと思ったんです。曲名の『アルクアラウンド』という言葉から、アルクアラウンドは『Look around』を表していて『何かを探す』ことを表現したいんだなと感じ取りました。単純に、そこに文字が置いてあったらいいなと思い歌詞をバラバラにして、文字を画面の中の世界でギリギリ見えるくらいの場所に配置することで、文字が空間に隠れているという演出にしました」
川田氏「それを二次元的におさめたというのは凄いと思いましたよ」
関氏「歌詞を可視化することはCG表現としては昔からありますが、それを物理的な空間でやってみたらどうなのかな?と思ってやってみただけなんですけどね(笑)」


「きゃりーぱみゅぱみゅ」を形態素解析してみる

きゃりーぱみゅぱみゅを演出するため、川田氏らしいやり方で解析し企画の方向性づけも行っている。
川田氏「実は3・4年ぐらい前に、中田ヤスタカさんプロデュースのCAPSULE・Perfume・きゃりーぱみゅぱみゅの詩の世界に何が潜んでいるのか気になって、形態素解析のプログラムを組んで解析して、言葉をランキング化(※図1)してみたんです。Perfumeは技術のジャンルのことをポップに表現していて、きゃりーは感覚とファンタジーが隣り合っている。きゃりーは非常に新しい存在で、テクノロジーでもなくアイドルでもない、けど注目してしまう感覚的なところが大きい。分かったことは、CAPSULEはごりごりのテクノ、Perfumeはテクノロジー寄り、きゃりーはランドマークに近い。そういった世界観が分かったので、今回のステージづくりで参考にしたいと考えています」


もはや、映像ではなくリアルなんじゃないか?

今後の「映像のイノベーション」について、視覚情報の伝達だけに終わらない「体感」的な情報伝達のあり方、まさに映画『マトリックス』の世界がすぐそこまで来ているような話の展開になる。
関氏「最近だと、テレビの画質がどんどん上がってきていて4Kテレビの次世代として8Kテレビも出てきていますよね。かなり人間の目に近づいている感じで、もはや映像を見ているというよりもリアルを見ている感覚だなと思うんです。人間の目と同じようになると、窓の風景や壁が全く別の場所を映したりすることで、どこでもドアのようにどこでも行ける世界が来るのかなと考えますね。今よりももっと生活に溶け込むものになっていくのかなと思います」
川田氏「イノベーションとして大きく変わるなと思うのは、照明が全部プロジェクターになった時じゃないかなと思っているんですよね。何かを見ながらネットをやること自体が必要なくなる。映像の四角い枠が外れる感覚かなぁ」
関氏「例えば、東京の夜景について今後どうなるか考えたとき、技術的なエネルギー問題なのか、それとも人間の目が良くなることでバージョンアップした夜景に見えるのかという話があります。人体をチューンアップするのも一つの技術で、『人体改造』って聞くと『えっ?』と思いますが、『レーシック』は同じことなんですよね。それらは、考え方の違いだけで人間がどう捉えるか?ということですよね。すごいエネルギーが開発されるか、そのようなものはなく暗くなるのか、または人間の目が良くなっていくのかということだと思うんです」
川田氏「例えば、ブルース・リーの映画を観た後に強くなった気持ちになるとか、天才科学者の実話映画を観ると頭がよくなった気がすることがあるんですよね」
関氏「料理の過程をタイムラプス(デジカメで連続スチール撮影した素材をPCソフトで組み合わせる)した動画って最近は流行っていますが、見ているとなんとなく料理ができちゃう気がしますよね」
川田氏「そこに最近の映像表現の面白さがあると思いますね。2Dで作業の個々の時間が切り取られているから、自然な形で受け取れるんです。服を試着するような体験をするのは次の段階なのではないかと思っていますね。その映像の中にある『料理ができそうな根拠』を見つけて、さらに第三者へ根拠の受け渡しが可能になると次のエンターテイメントへ進化するように思います」


INNOVATION WORLD FESTA 2017開催に向けて

2017年4月より、ラジオ番組『INNOVATION WORLD』が毎週金曜日に改編し、6月3日(土)には第二回目のイノフェスを開催。J-WAVEデジタルソリューション部長の小向氏へ、イノフェスへの思いと「INNOVATION」をキーワードにどのように番組とイベントを成長させたいか話を聞いた。
小向氏「コンセプトは『1日限りのテクノロジーと音楽のテーマパーク』になります。大人から子供まで、一日中ワクワクするようなテクノロジーや音楽ライブ、トークセッションやメディアアートの体験をしていただけます。イノベーションが絵に描いた餅ではなく、あらゆる企業やビジネス、教育やエンタメなどにリアルに感じられる状況を作ってい きたいと考えています。イノベーションを起こそうと思っている方 々のヒントが、このラジオ番組『INNOVATION WORLD』、そしてイベント『INNOVATION WORLD FESTA』にたっぷり詰まっていると思います。『イノフェスにいけば何かが見つかる』そんな唯一無二のイベントにしていきたいです」


編集部の視点

今回、取材をしたのが3月下旬。企画会議もまだ数回目という中、川田氏と関氏のディスカッションで新たな発想も出てきたようだった。この日は、川田氏がきゃりーぱみゅぱみゅのステージをイメージして手書きで描いた絵をもとに、大局的 分析的、抽象的 具象的、直感的 論理的な思考で企画を練っている、まさにコンセプチュアル思考で企画進行しているのが印象的だった。そういった行き来の中からイベント当日には、イノベーションを体感することができるのではないだろうか。