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2017.05.15 | tieup

「どこかにマイル」JALが挑戦する新サービスは 顧客満足度の引き上げに一役を担えるか?

既存顧客との新たな関係性づくり


「どこかにマイル」JALが挑戦する新サービスは顧客満足度の引き上げに一役を担えるか?

JALは会員向けに、航空機の搭乗や宿泊・ショッピングなどの利用でマイルをため、そのマイルを航空券など様々なサービスに利用できるマイレージプログラムを提供している。様々な派生サービスが生み出される中、2016年12月に世界の航空業界でも初のサービスである「どこかにマイル」をリリースした。今号では、マイルの仕組みから紐解く課題整理、そして「どこかにマイル」サービスの概要と顧客との関係性づくりの方向性について日本航空 路線統括本部 マイレージ事業部アシスタントマネジャー 馬場氏に取材を試みた。


マイルにおける航空会社の課題と顧客の期待

航空会社が独自に発行するマイルは、一般的に飛行距離や航空券の種類に応じて積算される。利用する側から考えるとメリットの多いサービスに見えるが、航空会社としては課題もある。積算されるマイルは顧客に利用されるまで、会計上では負債の扱いとなる。これは航空会社のマイルに関わらず、各種ポイントサービスも同様だ。そのため企業側は、顧客の保有するマイル(ポイント)利用を促すための施策を考える必要がある。日本航空の課題を馬場氏は以下のように語る。
馬場氏「マイレージ会員はありがたいことに益々増えています。さまざまな商品やポイントサービスへ交換できるメニューを拡充してきました。その中でもプログラムの核である特典航空券のニーズが一番高いのですが、特典航空券利用の座席数を急激に増やすのは難しい。お客様からは『特典航空券の予約が取れない』というご意見を頂戴することもあります。そのような中で、企業側として特典航空券のサービス拡充と新規需要の掘り起こしの両立を、限りある座席の中でどのように実現するかは継続的なテーマです。これまでの考え方ですと、先行優位性で簡単に真似ができてしまうサービスになりがちでした。プロダクトで差別化できないところで、どのようにブランド価値を高め、いいねと思ってもらえるか、どう解決したかが大事です。簡単にできてしまうものではないものを、どのように生み出していくか?ということが重要だと考えました」
馬場氏が語る通り、限りある座席の中で新規需要を掘り起こすことは航空各社共通の課題であるようだ。


JALの新たなる挑戦「どこかにマイル」とは?

2016年12月にサービスを開始した「どこかにマイル」は、往復6000マイルでJALの羽田発・伊丹発国内線特典航空券と交換できるサービスである。例えば、国内線特典航空券で東京 大阪間を往復する場合は通常12000マイルが必要になる。「どこかにマイル」では半分のマイル数で利用できるイメージだ。このサービスは、どのような仕組みで通常の半分のマイルを実現したのか。
馬場氏「特典航空券をご利用のお客様は行き先を決めてマイルをためられる方がほとんどです。どこかにマイルはその逆の発想で、どこに行けるか分からない、行き先をランダムにすることで既存の使い方とは重複しない新規の需要を生み出せるのではないかと考えました。まず、どこかにマイルのサイトから日付・人数・時間帯を入力すると、空席がある4つの候補地が表示され、申し込み後の3日以内に候補地の中から行き先がランダムに決定するという仕組みです。これは、他の航空会社でも例がなく、JALとしても冒険的な取り組みなのです」
2年の歳月をかけて実現した「どこかにマイル」は、JMB会員向けサイト内で利用することができるが、サービス開発を野村総合研究所と共同で行っている。
馬場氏「WEBインターフェースを考える際、WEBページのファーストビューで4つの空港が出てくることを意識しました。6つだと多すぎだなとか。そこは、野村総合研究所の分析やJALマイレージ顧客の知見などうまくハイブリットして開発を進めていきました。結果的に『ミステリーツアーみたいだね』と言われたことには、このサービスの飛躍性を感じていますし、JALがやりそうにないことを敢えてやっていくところに面白さがあると思っています」


リリース後の課題を捉え、次に向けた改善へ

どこかにマイルは、12月のサービス開始以来、1万名以上の申し込みがあった。ブログやSNS上では、サイトの仕組みに対する考察や実際に使ってみたという声が多数上がっている。サービス開始から間もない今は、新しいサービスとして注目が集まり、利用するまでのワクワク感が楽しまれているようだ。一方で、次の改善に向けた課題等も既に捉えている。
馬場氏「今は、フライトするまでのワクワク感はネットを通して見ることができますが、その後、旅行をしてみてどうだったか満足してもらえているのか、そういった声を拾って改善していきたいと考えています」


編集部の視点

今回は、航空業界におけるマイルサービスの活用課題と、その解決策「どこかにマイル」を取り上げた。サービス開始までのプロセスについて取材を進めていく中で、「単なるアイデアから裏付けを取るところ に時間をかけた」と出てきたこと は、発想転換して考え実行する「CHALLENGE TO INNOVATE」を具現化する大きな事例となって いるのではないだろうか。