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2015.07.28 | 2015年 新たな進化!プラスの美を創造する

2015年 新たな進化!プラスの美を創造する

女性を美しく魅せる作品を生み出すことで定評のあるアーティスト・清川あさみさん。美女たちの写真に刺繍を施し、標本箱に閉じ込める “美女採集” を知る人は多いが、実はそこにとどまることのない進化を彼女は遂げている。今、福井は金津創作の森で個展を開催中。自身初となり金津でしか見られない素晴らしいロケーションでのインスタレーションを披露している。それは、彼女にしか表現出来ないまさにプラスの美学。2015年、進化した清川あさみワールドがそこにはある。そんな世界とともに、彼女のインサイトへ迫る。




美しいとは、一筋縄ではいかないもの



200人の「美女採集」ができるまで

2015年7月、福井県金津創作の森で新しいアートを展開しているアーティスト・清川あさみさんが、新たな進化を遂げている。まず、彼女がどのような活動を行っているのかを紹介したい。19歳の春に上京し、原宿ラフォーレ近くでスカウトされたことがきっかけで、ファッション雑誌のモデルへ。服飾系学校へ在籍中、接着芯を使用した作品やたまたま目の前にあった写真の上に糸と針が置いてあったことをきっかけに写真を直接縫うという斬新な手法が誕生。それらの作品が美術ライターの目に留まり、自身初となる個展を開催。その後、美女の写真にクリスタルや刺繍を施し美女たちをコレクションするというコンセプトのシリーズ「美女採集」が始まり、その独創的なアートが話題に。これまでに約200人の美女を採集している。

  「春の夢(もうひとつの場所より)」


「美しい」とは、一筋縄ではいかない

大地が生まれ、宇宙が創造され、動植物が独自の形になった遙か昔。全能の神や精霊たちが活躍する時代を「Dreamtime」(夢の時代)と言う。 生きていないものに、縫うという行為で命が吹き込まれた造花達。現代と過去の隔たりは曖昧である。自然界のバランスは、自然界の法則に則って保たれていて、「美しい」と表現されることが多い。では、清川さんが思う「美しい」とは何か。「一筋縄ではいかないということだと思います。キレイなものは、世の中に溢れていますが、美しいものには“毒”、“怖い”、“戦った跡”が必ずあります。だからこそ、美しいと感じるのだと思っています。美しい女性の中にもコンプレックスや内面の面白さがあり、それを見出すことこそ必要です」目には見えない隠された部分をしっかり捉え、刺繍するというクリエイティブへ想いを乗せていく。それは時に激しくもあり、優しくもある。清川さんは、制作していくうえで「より生命力を感じてもらうために不規則に生き生きと縫うことを大事にしています」クリエイティブを作るうえでとても重要なことだ。課題となるものを捉え、そこを根底にしてインスピレーションを感じて、強烈な完成イメージを持つ。そして魂を吹き込む。

  「Dreamtime」


イメージどおりか?は朝決めることが多い

美女採集の特別版でもある作品「4つの場所」は南米、ヨーロッパ、オーストラリア、アジアの4大陸の絶滅危惧種である鳥類と女優たちを掛け合わせている。今回、鳥類のみで制作した「triangle/リョコウバト」の作品は、今までの清川さんには無いようなモノトーンの仕上がりとなっている。それは、とても刹那的で排他的に見えなくもなく、また、未来への羽ばたきにも見える。このインパクトあるクリエイティブにはどういう思いがあるのか。「鳥類史上最も多くの数がいたと言われる1800年代には数十億羽が存在し、1914年に絶滅してしまった鳩。生物の種は、従来考えられていたよりもずっと簡単に絶滅してしまうものなのかもしれないくらい儚いものかもしれないです。全て刺繍でこの大きさなのでとても大変でした」この制作には約2か月を費やしているそうだ。果たして、これだけの壮大なクリエイティブは、どこをもって完成したと思うのか?「実は、朝起きて決めることが多いです。朝は、頭の中が一旦リセットされていて、客観的に自分が作ったものを見ることが出来ます」

 「triangle/リョコウバト」


「心の解放」で新しいものが誕生する

今回、森の木々へカラーリボンを巻きつけて新しいインスタレーションを表現している。森の木々は、木々の緑と茶のカラーイメージが一般的だと思うが、ビビッドな赤やピンク、黄色などをプラスすることで一瞬にして清川さんの世界へと引き込まれる。13メートルの木々へプラスした思いは、「今回、館内では光と影、生と死いろんな作品で構成され採集しています。その真逆のアプローチを仕掛けたく「解放〜未来」というコンセプトで構成したかったです。たくさんのカラフルな木から希望を感じる高い連なりと、カラフルな鳥かご達は扉がオープンにあいています。全体に開放感を感じるはずです」そのような中、鳥かごへ子供たちが入っている姿が見られるようになったそうだ。ただ森として佇んでいた木々たちが、新しい発想が加えられたことによって新しい姿が誕生した瞬間。「偶然にも創造していたものを見ることが出来、とても感激でした」

 「野外展示 森のインスタレーション」




【編集部考察】
 美しい裏には、目に見ない何かが必ず存在する。清川さんは、それらを「刺繍」というクリエイティブ手法で表現をしていく。生み出す仕事をしていくうえで、必ずそこには課題や問題がある。それらを解決していくためにクリエイティブを創り、人々へ訴えていく。商業デザインをクリエイトする際も、インスピレーションで動く前に、そこに隠れている課題を見つけることが最優先である。

清川 あさみ

清川 あさみ

写真に刺繍を施す独特な手法で注目され、美術作品の他、衣装、広告、映像、空間デザイン、プロダクトデザインなど幅広く活躍。常に独自の世界観で作品を発表し続けている。また、女性を美しく魅せる作品に定評がある。2012年「VOGUE JAPAN Women of the Year」、2013年ASIAGRAPHアワード「創(つむぎ)賞」など数々の賞を受賞。展覧会も多数開催。2012年表参道ヒルズにて開催した「美女採集」展は最多動員数を記録。主な著書に絵本『銀河鉄道の夜』、『美女採集』、『男糸』、『TOKYOモンスター』など。人気の絵本シリーズ最新作『狼王ロボ』が好評発売中。7/18~9/27まで福井県金津創作の森にて個展「清川あさみ-美採集-」開催。
http://www.asamikiyokawa.com/