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2017.03.15 | 野村萬斎から学ぶイノベーション力

【WEB限定版】3D化した舞台模型の役割

松井るみが日本において一般化した「2Dから3D化にした舞台模型の役割」

野村萬斎が制作スタッフとイメージを共有する際、自身で描いた絵や書籍で表現されているものなどを使っていることが取材を通してわかったこと。
一般的に舞台の演出家は,稽古開始前に舞台装置はほぼ決めるが、萬斎の場合は稽古の進行と共に、基本舞台の形状すら変更することもあると松井るみは話す。そのような中で、どのようにして演者も含めたイメージの共有をしているのか。
松井るみ「これは50分の1の世田谷パブリックシアターの劇場模型になるのですが、この中に階段やパーツなどの舞台模型を作って入れてみてイメージの擦り合わせしていくのです。稽古場では意外に図面や絵を書いて説明するよりも、立体的な模型を皆で見ながら『どこから入ってこられるんだろう?』とか『お客さんの目線がここなのかな』とか分かりやすいんです。役者、演出家、音響や照明スタッフ全員含めて模型で検証することが多いですね」
縮小版とは言え立体的にそして俯瞰して舞台が見えることで、スムーズなコミュニケーションがはかられることになる。
松井るみ「海外ではこのスタイルが一般的ですが、日本で歌舞伎がメインだった時代の日本の舞台美術というのはやはり2Dなんですよね。それだとなかなか距離感が分からない。図面が分かる人は平面図を見ても立体がどうなるか分かるのですが、全員が同じ情報を共有出来ないというのがあって日本でこの3D模型を一般化させたのは私だと思っています。」


世田谷パブリックシアター50分の1模型




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野村萬斎

野村萬斎

狂言師。1966年、東京都生まれ。狂言師。人間国宝・野村万作の長男。重要無形文化財総合指定者。2002年より世田谷パブリックシアター芸術監督を務める。国内外の能・狂言公演や舞台・映画出演はもとより、世田谷パブリックシアターでは『まちがいの狂言』など狂言の技法を駆使した舞台や、『国盗人』(「リチャード三世」を翻案)など古典芸能と現代劇の融合を図った舞台を次々と手掛ける。芸術監督就任後初の構成・演出作『敦 ―山月記・名人伝―』では朝日舞台芸術賞、紀伊國屋演劇賞を受賞。構成・演出・出演を務めた『マクベス』は全国各地で上演を重ねるほか、海外公演(ソウル、ニューヨーク、シビウ、パリ)も果たした。

松井るみ

松井るみ

舞台美術デザイナー。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。劇団四季を経てロンドンへ留学。帰国後、舞台美術家としての活動を開始。2004年『Pacific Overtures』(宮本亜門演出)でブロードウェイデビューし、同作品デザインで第59回トニー賞にノミネート。2007年にはOISTATより“世界の最も名誉ある舞台デザイナー12人”に選出。タン・ドゥン作曲『TEA: A Mirror of Soul』(宮本亜門演出)ではオペラ界においてもアメリカ進出をはたす。さらに、2010年6月には『The Fantasticks』(宮本亜門演出)でロンドンのウェストエンドデビューを飾った。 近年は、上海公演や、AKB48の5大ドームツアー、国立競技場公演のセットデザインを手掛けるなど、活動の幅を広げている。これまでに参加した作品は400以上にのぼり、紀伊國屋演劇賞個人賞、第8回・第19回読売演劇大賞最優秀スタッフ賞,伊藤熹朔賞、菊田一夫演劇賞他、受賞多数。2015年より東京藝術大学の非常勤講師を勤める。