2016/12/08 | アプリ | 465 view | 

アプリ開発にデザイナーは必要無くなっていくのか?


アプリケーションにおけるデザインとは一体何でしょうか?モバイルアプリを例に取れば、少し前まではデザインとは「UIのスキン」と言い換えても間違いは無かったと思います。しかし、2016年の現在、そのようには言い切れない状況となっています。どのような変化が起こっているか見ていきましょう。

上の図はSNS大手の「facebook」「twitter」「Instagram」の2012年と2016年のiOSアプリのキャプチャ(ナビゲーションバーとタブバーだけを切り出したもの)です。2012年には質感やサイズ等各アプリが個性を全開に打ち出してきているのに対し、2016年では装飾性や立体感は排除されて、アイコンやキーカラーを除いてはかなり似通ったデザインになっているのが見て取れると思います。

これは一体どういったことが起きているのでしょうか?

現在、Apple、Google、Microsoftといった各プラットフォーマーは、それぞれ自社のソフトウェアに最適化されたデザインをアプリケーションに適用してもらうために「デザインガイドライン」を公開しています。以前は情報の荒さもあり、参考にする程度のものでしたが、各OSのバージョンも上がった今これらのガイドラインは成熟し、ソフトウェアとの融合も高度に成し遂げられています。

その結果、自由にデザインを施すよりも、各プラットフォームが提供するデザインガイドラインに沿った形でデザインを施したほうが実行パフォーマンスが上がり、結果としてUXが向上するということが起きているのです。もはやデザインガイドラインは「参考にしたほうがいい」というレベルではなく「その上でいかに独自性を表現できるか」というものに変わりつつあります。

また、そういったテクニカルな理由に加え、ユーザー側の変化も理由に挙げられます。iOSを中心としたいわゆる「スキューモーフィック」なデザイン、装飾的で具象的なUIは現実世界の延長としてUIを理解してもらうことに一役買っていたことは疑いのない事実です。しかし、iPhoneの1stモデルが発売してから10年近くが過ぎ、人々のUIに対するイメージは大きく変わりました。インターフェースという存在に慣れ、現実世界のボタンやつまみを模さずとも配置位置や書かれた情報、操作の手順等「文脈(コンテキスト)」でそれが何を表しているか理解出来るようになったのです。

これら結果が、アイコンやタイポグラフィ、写真等、生の情報が並べられたようなアプリケーション群です。もう、アプリケーションにおいて過剰なデザインは必要無くなったのです。

…話に戻りましょう。

では、表題のようにアプリ開発において、デザイナーが行う作業は必要無くなっていってしまうのでしょうか?それについては「部分的にはYES」だと言えます。まず、UIのスキンを各画面分量産していくような作業については今後減っていくと予想されます。それらはプラットフォームやフレームワーク側で豊富に提供されることが多くなるでしょうし、提供されたUIパーツを組み合わせることはデザイナーでなくてもできるからです。

その代わり、今後デザイナーに求められることは何でしょうか?
それは、各画面単体のデザインではなく『デザインルールの策定とその運用』だと考えます。

具体的には、タイポグラフィやカラースキーム、マージン等のアプリケーションを作成する際に必要なビジュアルデザインの指針を設定したスタイルガイドや、UIをパーツ単位に分解し再利用可能なコンポーネントとして設計したコンポーネントガイドラインといったものです。そして、そのルールはベースとなるプラットフォームやフレームワークと高度に融合、拡張したものである必要があります。

また、そのルールを自ら使用し、ルールの整合性の検証と改善を再帰的に行う作業を行えることも必要になってくるでしょう。デザインパーツがデザイナーだけで運用されるものでない可能性があるため、誰でもデザインを適用できるようにすることが重要だからです。

少なくともアプリケーションのデザイナーについては、ライブラリ化されたデザインリソースを把握し適切に使用、必要に応じて拡張するというエンジニア的な思考が求められていくでしょう。

デザイナーの個性を発現しにくいこのような流れは、人によっては受け入れがたいものであると思います。しかし、具象的で装飾的なデザインはユーザーの成熟によって必要なくなったと言えます。そのかわり、情報を適切な形で提供するための枠組みの設計が、アプリケーションにおけるデザインになったことは理解すべきでしょう。

とはいえ、我々が行うべきなのは単にテクノロジーに媚びたデザインではありません。ビジュアルを用いてアプリケーションの意志を具現化することが出来るのは、デザイナーだけなのです。時には定められたルールを明確な意思を持って侵犯することで、逆にデザインの意図を引き立てるということ必要かもしれません。

実際の作業内容が変わったとしてもデザイナーとしての矜持を失わず、価値のあるデザインを産み出し続けることが必要ではないでしょうか。

--------

株式会社トライアンドは、プラットフォームのデザインガイドラインや各種フレームワークの特性を理解した上で、最適なデザインとガイドラインを提供することが可能です。実製作の部分はもちろん、実装に至るまでのスムーズなデザインワークフロー設計についてのご相談も承っております。お気軽にご連絡ください。

コメントを入力する

プレミアム会員募集 プレミアム会員募集
  • 新着記事
  • ランキング

BTL TOKYO

TAG

TWITTER

FACEBOOK

RECRUIT

求人
  • 2017年08月号
  • 2017年07月号
  • 2017年06月号

毎月15日発行 クリエイティブ経済誌「BTL TOKYO」は
企画・マーケティング・クリエイティブ職に就く
ビジネスパーソン向け無料の月刊誌です

無料定期購読