2017/02/08 | デザイン | 375 view | 

サービスデザインの先にあるもの 〜東京藝術大学で開催された北欧デザインスクールWSでの学び


 本ワークショップは、社会的課題に対してデザインがどうアプローチできるのかといった内容だった。今回のテーマとなった社会的課題は「母親たちの孤立」、講師はJuha Kronqvist先生、Kari-Hans Kommonen先生、須永剛司先生。詳細は下記のサイトにまとまっている。http://aalto-geidai.tumblr.com/

Findings:デザインの対象範囲が全く違っていたこと


ワークショップの初日、Kari-Hans先生がこんなことを言った。
「君たちは、組織、機関、法律、ネットワーク、ムーブメントなどは“デザイン”の対象だと思う?」
!!!!!その時、僕は衝撃を受けた。コミュニティデザインは日本でも耳にするが「法律」や「ムーブメント」がデザインの対象だと想像したこともなかったからだ。フィンランドのアールト大学では、本気でそれらをデザインの対象として扱っていた。実際にアールト大学で(社会的課題に対する)デザインを学んだ学生は行政機関に就職しているとのこと。日本の藝大・美大のデザインで学んでいる内容の違いに驚きを隠せなかった。デザイナーが官僚になる国なのだ。
Juha先生も同様のことを言った。


「19世紀はデザインの第1世代、“ビジュアル”がデザインの対象だった。20世紀はデザインの第2世代、“オブジェクト”がデザインの対象だった。1980からはデザインの第3世代が始まった。“インターフェイス”がデザインの対象となり、2000年には“サービス”がデザインの対象となった。そして、今はデザインの第4世代。2010年からは、“ストラクチャー”がデザインの対象となっている。」
ストラクチャーがデザインの対象だって!?そこで紹介されDfG(Design for Government)というプロジェクトは、いわゆるービスデザインの手法を使いながら「(社会の)構造」をリ・デザインしていくものだった。日本では「ビジネス」を中心にUXやサービスデザインが注目を浴び始めた中、彼らの中ではそれらは前世代の話だったことに驚く。後日、このJuha先生が元にした参照した原文がRichard Buchananの「Four Orders of Design」だったことを知った。


この話を聞いた時、2003年10月に名古屋で3日間、開催された「世界グラフィックデザイン会議」を思い出した。その最終日、ロバート・L・ピータース氏が『Design for the world』と題した基調講演をおこなった。戦争、飢え、自然破壊などの社会的課題に対してデザインができることは何か?という問いの提示が印象的であり記憶に残っている。あれから13年。ようやく、その時がやってきたのかもしれない。デザイナーの役割やデザインの対象が大きく変化しているのだ。
※この記事を記載するにあたって、改めて「世界グラフィックデザイン会議」のスピーカーを一覧を確認したら、Kari-Hans先生が来ていたことを知り、更に驚いた。


『特定サービス産業実態調査(発行 経済産業省)』によると、2007年に17153人だったデザイナーは2013年には36220人となりピークを迎え、翌年の2014年には32860人と減少傾向となっている。1940年代後半生まれの団塊世代のデザイナーが定年を迎え引退したことでの減少も想定されるが、経済活動と密接に結びついたデザインが飽和したとも考えられる。経済ではなく社会と結びついたデザイナーが必要なのだ。


日本では、企業に対してビジネスの事業構想に対してのメソッドとして取り扱っている節が強い「サービスデザイン」だが、今後はフィンランドのように積極的に社会や公共サービスに対しても取り組んでいくにちがいない。

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