クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.36
アート
2018.06.14

名和晃平が手がける空間デザインとグランマーブルのものづくりへの想い


京都祇園の花見小路に店舗を構えるグランマーブル祇園は今年、同店舗の2階に「カフェ&シャンパーニュ園ちから」をオープン。彫刻家の名和晃平氏が店内のインテリアの設計監修及びアートディレクションを行い、名和氏のクリエイティブ・プラットフォームSANDWICHが設計を担当した。名和氏が手がける空間デザインの魅力とグランマーブルがこだわるクリエイティブについて広報の廣瀬氏に話を伺った。

伝統とモダンが組み合わさる空間デザイン
店内で一番印象的なのが、大きな曲げ木が特徴的なカウンター席。先鋭的な空間表現を得意とする名和氏らしいデザインだ。そのインパクトの裏にはさまざまな想いが設計されている。
廣瀬氏「カウンターは一人で来られた方もゆっくり楽しんでいただけるような守られた空間にしてはどうかとご提案いただき、あの形状になりました。また、カウンターに座ってBGMを聴いていただくと、音が湾曲した木のテーブルに反射して綺麗に聴こえるよう設計されているんです。サイズも圧倒される大きさで、2階へ設置する際には格子を一度外して、クレーンで吊り上げて搬入しなければならない程でした」
お店全体の雰囲気もコンセプトにしっかり沿ったつくりになっている。
廣瀬氏「お店は『しっとりと静かな大人の時間を楽しんでいただける空間』をテーマとしており、元の和の空間を生かしながらもスタイリッシュな空間にしたいと考えていました。お店としては、昼下がりにシャンパンを楽しんでくださいというのがコンセプト。暗めのバーというよりも明るく落ち着いた雰囲気の空間に仕上げて   欲しいと名和さんに依頼をしました」店内には、様々なクリエイターの作品も展示されている。祇園という伝統的な場所とコンテンポラリーアートの組みあわせの妙を愉しめる空間に仕上がっている。


商品パッケージのこだわり
店舗の空間デザインにとどまらず、グランマーブルでは商品パッケージ一つ一つにまでこだわりが詰まっている。
廣瀬氏「祇園店限定商品のパッケージでは、包みは新檀紙という和紙風の素材に。リボンも繊細な手作り感のあるものにしたいと、コットン素材の糸をリボンとして使用しています。また、いつ来店しても楽しんでいただけるよう、リボンに添えるチャームも季節ごとに違うものを用意するなど工夫をしています」
グランマーブルといえば鮮やかなオレンジのパッケージ。ここにもお客様が求めるものをデザインする考え方が見えてくる。
廣瀬氏「ずっとオレンジの箱を見ていると、何か目新しくした方がいいのではと思う時も多々あります。でもお客様が求めていらっしゃるのは、あのオレンジの箱に入ったデニッシュなんです。そのため、ブラッシュアップはしても、オレンジを変えるというのは私たちの独り善がりで、本当にお客様が望んでいる形で提供するべきだと考えています」


編集部の視点
暖簾にも掲げられている松の紋は、「常に緑を保つ松の木のように、変わらないように見えて成長を続けるお店でありたい」というグランマーブルのものづくりやおもてなしに対する想いだ。お客様への細かい気配りや、伝統と革新を受け入れる姿勢が、クリエイティブの全てに反映されているように感じる。