クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.42
アート
2018.12.13

空間をポジティブにするレタリングアートの力|CREATORS STYLE vol.2【井澤 卓】

レタリングアーティスト 井澤 卓 (Taku Izawa)

Paint & Supplyの作品
Paint & Supplyの作品

レタリングアートはその空間、そこに介在する人たちをポジティブにする力がある」。
そう語るのはレタリングアーティスト井澤卓氏。4年前に友人と2人でPaint & Supplyというチョークアートチームを結成し活動を開始。アイデア出しの得意な相方がデザインを考え、プロデュースが得意な井澤氏が全体のディレクションをし、現場では二人で制作を行う。二人が作り出す作品は、その空間ごとに合ったデザインで観る人の感情に寄り添う。落ち着いた空間、テンションが上がる空間。そんなチョークアートには、多くの人を自然と惹きつける理由があるという。

井澤氏「アート作品って深くなってくると、その時々の時代背景や政治的な状況をわかっていないと鑑賞が難しいじゃないですか。でもチョークアートは文字という日常的に触れている要素なので馴染みやすい。それに黒板とチョークという素材自体が、みんな過去に触れているものだから、自分が当事者意識をもって作品を観れるし、その精密さに敬意をはらえるんじゃないかと思います」

二人の目指すゴールは、良い空間を作ってそこに滞在する人たちを幸せにすること。その中でレタリングアートの役割は、ただ空間を彩るというだけではなく、コンセプトやビジョンを可視化できることにあるという。

井澤氏「言葉にはパワーがあるし、文字というわかりやすい表現は、その空間のコンセプトビジョンアートを通して浸透させることができます。例えば、オフィスにレタリングアートを施すことにより会社のビジョンが浸透していくとか。また、デジタルではなく手書きで描かれている方が、本能的にぬくもりを感じてもらえる。今、世の中の全てが効率を重視して構築されている中で、あえて不効率で時間をかけてやってくれたということが価値につながるんじゃないでしょうか」

ビジネスを深くヒアリングして相手の課題やアウトプットしたいことを汲み取り、言葉を作っていく。デザイン的な考え方で制作されていることもわかる。

RELISHの作品
RELISHの作品

現在は、チョークアート以外にもアーティストGREENANDBLACKS MITHと共にRELISHというレタリングアートチームを結成し、活動。もともと本業と並行して活動を行っていた井澤氏だが、勤めていたGoogleを辞め、2018年に独立しアーティストマネージメントの事業を立ち上げる。その活動の一つがRELISHだ。その背景には、多くのアーティストが「良い物を作れるけど仕事として成り立たない」という課題を抱えていることを知ったことにある。

井澤氏「アーティストの抱える課題は、ものづくり以外のところに要因があると感じました。それは、マーケティング的な考え方や営業という観点。逆に僕はGoogleにいた時に、ビジネス課題に対しての提案をずっとやってきたこともあり、戦略をつくり物事を動かすのが得意なタイプでした。GREEN ANDBLACKSMITHはすごく良い作品を作っているので、人目に触れる場所を増やすためにどうすればいいかを考えこの活動をはじめました。これまでのノウハウを活かし、アーティスト活動に戦略を加えることで、ビジネスが成り立つのかというのを実証していきたいと考え、現在活動中です」

Profile

レタリングアーティスト
井澤 卓(Taku Izawa)
井澤 卓(Taku Izawa)
レタリングアーティストとして"Paint & Supply" "RELISHというチームで活動中。2011年にヤフー株式会社に入社。その後2014年にGoogleへ移りデジタルマーケティングのコンサルに携わる。2018年に株式会社and Supplyを立ち上げ、現在アーティストのマネージメントを行っている。

「Paint & Supply」公式サイト
https://www.paintandsupply.co/