クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.44
アート
2019.01.15

反わびさびという新しい陶芸の表現を 地方から世界に発信|CREATORS STYLE vol.3【陶芸家|古賀 崇洋】

SPIKY CUP 頬鎧盃

1. 頬鎧盃 豪形 2.SPIKY CUPⅠ 3. 頬鎧盃 虎形 4.SPIKY SAKE CUP Ⅶ 5.SPIKY SAKE CUP Ⅲ 
6. 頬鎧盃 毅形 7.SPIKY CUP Ⅱ 8. 頬鎧盃 龍形
1.頬鎧盃 豪形 2.SPIKY CUP 3.頬鎧盃 虎形 4.SPIKY SAKE CUP Ⅶ
5.SPIKY SAKE CUP Ⅲ 6.頬鎧盃 毅形 7.SPIKY CUP Ⅱ 8.頬鎧盃 龍形

スタッズが施された器に、鎧のような盃。陶芸というと、日本人の美意識「わびさび」から質素で静かなものをイメージする人も多いだろう。 そことは全くかけ離れるような作品を生み出す、陶芸家の古賀崇洋氏。そこには、わびさびを確立した千利休をリスペクトするが故に反わびさび的な表現を追求する強い想いがみえた。

古賀氏「千利休の器は究極の美学だと思っています。当時、日本の美術品は、中国や朝鮮から渡ってきた華やかなものが美しいとされてきました。そんな中、利休は死の象徴として敬遠されていた黒に美を見出し、黒茶碗にお城よりも高い値段をつけていたんです。お抹茶を手ですくい上げて飲んでいるかのような、茶碗の存在を消す装置としての器を生み出しました。だから僕は、敢えて存在を消すのではなく、全てにおいて異物感を出させるような器を表現したいと思ったんです」

わびさびが確立された1600年代はちょうど戦国時代でもあり、戦国武将たちが派手な鎧兜で権力を誇示する時代。静と動、相反するものが同時期に存在する感覚からインスピレーションを受けたという。「頬鎧盃」もその時代の文化からアイデアを得ている。

古賀氏「鹿児島県に甲冑をつくる工場があり、よく見学に行っていました。そこで顔を覆う面頰を見ていて、顔にはまる形って器としても結構心地いいんじゃないかと思い、『飲んで装着する器』を作り始めました。武士の教養である茶道、その系統を汲んで発展した酒器、そうした背景から『頬鎧盃』という作品が出来上がりました」

また、スタッズが特徴的な「SPIKY CUP」のシリーズは、どのようにしてこのデザインになったのか。

古賀氏「サムスン美術館に、世界の陶芸家がお手本にするべき壺といわれている作品があるんです。それを見た時に初めて壺に感動して(笑)、同時にものすごい力強さを感じました。それを自分でも表現したいと思い、エネルギッシュなパワーを可視化できないかと、最初は四角柱を壺全体につけたり、突き破って刺してみたりと試行錯誤していて。そこから更に『力』について突き詰めていくうちに、ブリティッシュパンクの反骨心に代表されるスタッズの形がすごく強力だなと思ったんです。要素としても面白いと感じ、そこからあの形を取り入れるようになりました」

反わびさびという発想をベースに、様々な文化の痕跡からアイデアを得て新しい器の表現として昇華させた作品の数々は、世界でも高い評価を受けている。現在、福岡に工房を構え、制作を行う古賀氏。地域工芸のあり方をさぐり、地方から世界に価値を発信していきたいと考えている。

古賀氏「現代では、情報は都市部の方に集まりますが、文化は端に残っていくように感じます。地方都市でも田舎の方に根強く文化が残っていたり。それが体積していくと結構面白いものになったりするんですね。その事象を分解して再構築していくことが、自分が制作する上でのソースになっています。この土地で制作しているからこそ、こうした作品が生まれた。それを世界に認めてもらえるというのは、地方でやっている意義になるのかなと思います」

【Exhibition告知】陶磁器 古賀崇洋

会期:2019年 3/22(水)~4/9(火)
会場:ISETAN SALONE
◆東京都港区赤坂9 丁目7 番4 号 東京ミッドタウン・ガレリア1F/2F
◆営業時間/11:00 ~ 21:00

Profile

陶芸家
古賀崇洋
陶芸家 古賀崇洋
福岡県出身。佐賀大学文化教育学部美術・工芸課程卒業。2011年〜鹿児島県長島町にて作陶。2017年〜福岡県那珂川市にもサテライトスタジオオープン。制作テーマは明快とユーモア。人類の集積である歴史、伝統を深く追求し現代のソースとマッシュアップ。陶磁器という太古から成る大地を用い、素材のもつ魅力を追求し、炎を操り、形作る。

【陶芸家-古賀崇洋 Web Site | Takahiro Koga Web Site】
http://takahirokoga.com/