クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.45
カルチャー
2019.03.12

人口約1,900名の島が産業革命「姫島ITアイランド構想」

人口減少に伴う地域課題の解決に、
テクノロジーで挑戦し離島モデル創出へ

POINT
✔人口約1,900名の大分県の姫島村を「ITアイランド」にするべくプロジェクト推進を行っている
✔高速インターネット、サテライトオフィス、コワーキングスペース等のインフラ整備を行った
✔自然エネルギーを活用した電気自動車の取組が全国的にも注目されている


大分県北東部にある離島姫島村は、一島一村の村、大分県内で唯一の村になる。海に囲まれ自然豊かな島ではあるものの、人口減は避けられず、約30年の間でおおよそ半数近くまで人口は減っている。そんな中で、大分県は、姫島村とともに「姫島ITアイランド構想」を掲げ、地方創生のひとつのモデル創出をはかろうとしている。具体的にどのようなプロジェクトになっているのか、大分県商工労働部情報政策課 馬場氏、高倉氏へ取材を行った。

ITアイランドにするべく、テクノロジーで挑戦する

−「姫島ITアイランド構想」について、どのような背景があって取り組まれることになったのでしょうか?

馬場氏「ドイツのインダストリー4.0など、世界では、第4次産業革命の時代だと言われています。大分県としても、この機会を積極的にとらえて「大分版第4次産業革命“OITA4.0”」に取り組んでいます。“OITA4.0”では、1.人口減少に伴う様々な地域課題の解決にテクノロジーで挑戦すること、2.地場だけではなく、県外の活力、技術を有する企業、県外からの人材を誘致、活用すること、3.企業ニーズに応える人材を育成(IT人材育成)することを挙げています。そのモデルとなる取組として、姫島村と大分県とが連携して「姫島ITアイランド構想」に取り組んでいます。姫島村は、1990年には3,200人を超える人口でしたが、2018年には約1,900名まで減少しています。水産業の低迷や離島というところで企業誘致も不利なところがあり、人口減少に直面しています」

−具体的に、どのような構想を推進されているのでしょうか?

高倉氏「ITに着目しまして、平成28年度よりIT企業の誘致に姫島村と一緒になって取り組みをはじめています。具体的には、まずはインフラ整備ということで、企業が入居できるサテライトオフィス、お試しで使ったりイベント開催等ができるコワーキングスペースの整備などです。オフィスとコワーキングスペースは以前学校の校舎だったものをリノベーションし、光高速通信回線を整備しています。このほか、フェリー待合所にWi-fiスポットを設置したり、小中学生向けのプログラミング教室の開催なども行っています」


−姫島村へ進出した企業はありますか?

馬場氏「現在、2社のIT企業がサテライトオフィスとして稼働しています。1社目のブレーンネット様は、東京に本社があるシステム開発やエンジニア派遣などをおこなっている会社です。2社目のRuby開発様は、既に仙台や福岡等に地方のオフィスを持っていましたが、今回、姫島村にもサテライトオフィスを持たれることになりました。働き方改革の一環、リモートワークの実践の場としてとらえられていたり、『地方にもサテライトオフィスがある』と言うことが、対外的にもPRポイントの一つになったとも聞いています」

−Ruby開発社の姫島村進出が、3月に開催されるRubyのセミナーへ繫がるわけですね。

高倉氏「このセミナーは、大分県がRuby開発社に事務局を委託しているのですが、プログラム言語Ruby開発の生みの親である『まつもとゆきひろ』さんを講師としてお呼びし、コワーキングスペースを使ってイベントを開催することになっています。今後もコワーキングスペースを使って色々なイベントをやっていきたいと考えています。島内、島外の方含めて、使いやすさを見てもらいながらどのように情報発信していくのかというのも検討しているところです」

−これまでは、どのようなPRをやってきたのでしょうか?

馬場氏「首都圏で開催されるマッチングセミナーなどに参加し、PRをすることで興味を持ってもらえるようにしています。また、サテライトオフィスに興味を持っている企業へ足を運んで案内しています。今後は、Webを通じた情報発信にも取り組んでいきたいと考えています」

モビリティに関する取組が全国的に注目されている島

−その他にも、先端テクノロジーを活用したワークショップも開催されたそうですが、どのようなものでしょうか?

高倉氏「企業や行政、研究者などが参加して地域社会におけるサービスやイノベーションデザインを考えるワークショップを、大分県等による実行委員会が開催しているのですが、今年度は、2019年2月1、2日の2日間に渡って『地域社会を元気にするネクストモビリティ』をテーマに姫島村で行いました。もともと、村内では、2014年から姫島エコツーリズム推進協議会という団体が、超小型の電気自動車のレンタカーを活用した地域おこしの活動に取り組んでいます。『姫島村でエコエネルギーを使って何かできないか?』というところから、太陽光発電を活用した超小型電気自動車の取組として、2019年2月には低炭素杯2019で最高のグランプリ、環境大臣賞を受賞するなど、全国的にもこのモビリティの取組が取り上げられています。今回のワークショップでは、約70名の方にご参加いただいて、MaaS等、モビリティを地域で活用するアイデア議論や、実際に参加者の方に様々なモビリティを体験してもらう等もやりました」

【ITアイランドセミナーin姫島2019開催】
1.開催概要
主 催:大分県
共 催:姫島村
事務局:株式会社Ruby開発(企画・運営)
日 時:2019年3月15日(金曜日)~3月16日(土曜日)※詳細タイムスケジュールは下記参照
場 所:姫島ITアイランドセンター コワーキングスペース(東国東郡姫島村1681番地の2)
定 員:30名程度
対象者:村外のIT企業、技術者等
参加費:無料(食費、宿泊費は自己負担)
2.セミナー内容 
(1)イントロダクション 13時30分~14時05分
・開会、趣旨説明 ・村長あいさつ  ・姫島ITアイランドへの期待
・ITアイランドセンター入居企業紹介
(2)技術セミナー 14時05分~16時30分
基調講演:プログラミング言語Rubyの生みの親「まつもとゆきひろ」氏による講演


馬場 真由美 Mayumi Baba 大分県商工労働部情報政策課 参事

高倉 圭司 Keiji Takakura 大分県商工労働部情報政策課IT戦略推進班