クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.29
エンタメ
2017.11.16

03 「西日本最大級」野外音楽イベントINAZUMA ROCK FES を支える制作者たち


組織づくりと意思決定プロセス
イベントに携わる多くの会社とスタッフ。それぞれ違う会社に所属する人たちが集まりひとつの組織として、同じ方向へ向かって遂行できること、その統括を担う西川貴教から、組織づくりと意思決定プロセスについて話を聞く。
西川貴教「最初は手弁当で始めたようなイベントで、立ち上げから3年くらいは『西川がやっているイベント』という色が濃かったと思います。ブッキングやプログラムの中身、会場のレイアウトなど、僕自身が随分と手を入れていましたから。ただ、当初から考えていたのは、自分の会社の本分は音楽マネジメントなので、イベント運営自体は『実行委員会という組織がコントロール出来るように持っていく』ということでした。そうなるにはスタッフたちが自覚を持って運営できることが大切で、僕の考えだけに寄らず『現場の生の声を吸い上げて形にしていく』というところを大切にしてきました。この流れになるのに5年くらいかかったと思いますね。今は、方向がブレないように僕自身は大きな旗振り役として、目指すべきゴールを明確に定めるということを心がけています」
毎年、進化しながらイベントを開催するなかで昨年の中止の決断をした西川貴教。その決断を振り返る。
西川貴教「昨年、全体のプログラムを半分以上終えていたなかで、ギリギリの判断でした。もちろん、開催時期的に雨は覚悟していましたし、雷に関しても避雷針の対策をしていました。会場にいらっしゃる皆さんに影響はないものの、何が起こるかわからない。何か起きてからではどうにもならない問題で、お客様の安全第一を考えての決断でした。今年も結果的に2日目は中止としましたが、『出来るんじゃない?』とおっしゃった方もいました。それでも万が一、何かあってはいけない。『今後もイベントを続けていく』という意味も考えての判断でした」

10年の真価が問われる2018年へ
また今年の「キャリーオーバー」となる来年は、どうなるのかと多くの人が気になっているだろう。西川貴教はどこを見据えているのか。
西川貴教「イベント立ち上げの当初から『10年は目指そう』と言っていたんです。そういったなかで、一歩引いた視点で周りのイベントを見てみると、人口の多い首都圏では舞台やコンサート、イベントなど常に何かが行われていますが、中には動員するのが厳しいものもあります。イナズマロックフェスの会場は滋賀、それも最寄駅からは距離もあり、場所的にはハンデもあるなか、ここまで成長しながら続けられたのは奇跡だなと思っているんです。だからこそ本当の意味でイナズマが何をやろうとしているのか、来年は10年の真価を問われる年になるのではないかと思っています。僕自身は『イナズマっていつから始まったイベントなの?』と言われるくらい当たり前のように毎年行われる滋賀のお祭りになってくれればいいなと。誰が始めたとかどうでもいいんです」
もともと夢を実現するために一度は滋賀県を出た西川貴教は、地元でのイベント開催の本当の意味を示せることで「誰かの人生において、何かのきっかけになるようなものをイナズマが生み出せれば」と締めくくる。