クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.45
エンタメ
2019.02.20

「西川貴教」名義初のアルバムリリース&ツアー開催「SINGurality(シンギュラリティ)」

「こんなアーティスト、もう出てこない」と言われたい、
西川貴教の「シンギュラリティ」に迫る

POINT
✔舞台やCM、TV番組で自分の持ち歌以外の曲を歌い「西川って案外、歌えるじゃん」と思ってもらえた
✔アーティスト「西川貴教」としてゼロから向き合い、「こんなアーティスト、もう出てこない」を目指す
✔テクノロジーが進むことは素晴らしいことだが、大切に守らなければいけないこともある

2019年、アーティスト「西川貴教」が、T.M.Revolution(以下T.M.R.)ではなく「西川貴教」名義で初のアルバムをリリースし、ツアーを開催する。西川は1996年5月にT.M.R.としてデビューし、2016年に20周年を迎えた。2018年からは「西川貴教」名義で本格的に動き出し、一年の間に舞台出演を2本務め、新たな表現力を身につけた。これまで走り続ける中で、自身のアーティストイメージについて漠然としたイメージ像ができ上がっているのではないかと気づく。そこで、自分自身とゼロから向き合い、一言では表せないところへ寄せていきたいと話す西川が、新アルバム&ツアータイトルに選んだのは「SINGularity(シンギュラリティ)」。これは、人工知能が発達して人間の知性を超えることで、生活に大きな変化が起こる概念を指す、テクニカル用語。タイトル「SINGularity」へ西川が込めた想いについて迫る。


自分のカテゴライズを外すきっかけは、世間からの声「西川って案外歌えるじゃん」だった

−新アルバムとツアータイトルに付けられた「SINGularity(シンギュラリティ)」ですが、何故このタイトルをつけられたのでしょうか?
西川「これまで、T.M.R.やバンド(abingdon boys school)などをやらせてもらって、緩やかにですが成長してきたつもりです。ただ、活動を続けてくる中で、僕のアーティストイメージみたいなものが一つできているんだろうなと思っていて、それは漠然としたT.M.R.像というか、自分でも知らず知らずのうちにT.M.R.としての西川貴教をカテゴライズしていたなと思えたんですよね。一方で、CMや舞台、音楽番組などを通してT.M.R.とはちょっと違うシチュエーションで歌わせていただく機会が増えていったんですが、『西川って案外歌えるじゃん』と、感じてもらえる場面が出てきたんです。例えば、数年前に任天堂のWiiという、自宅でカラオケができる機器のCMをやらせてもらったとき、当時カラオケチャートで1位だったゴールデンボンバーの「女々しくて」を提案されて歌ったんです。きっと多くの視聴者の方が、西川貴教が他のアーティスト曲を歌っている状態を目にしたのが、それが初めてだったんじゃないかなと思います。その時に、僕のファンも含めて、それまでとは違う感想を持ってもらえたことが、自分の中にある『歌への認識』を改めて考える一つのきっかけになったと思います。きちんと歌うことを認識していかないと伝えられない部分があるんじゃないかなと、T.M.R.20周年を終えて改めて考え直しました。そしてもう一回、ゼロから向き合って始められないかなと思い、自分自身で大きな変化を起こして越えていく、つまりシンギュラリティを意識しました」

−「歌への認識」というのは、具体的にどのようなことでしょうか?
西川「例えば、昨年は舞台を2本務めさせていただきましたが、舞台では作品の役柄があって、その役が歌う曲があります。この場合、『役として歌うから伝えられるもの』があると思うんです。そう考えると、西川には開けられてない引き出しがまだまだあるんじゃないかなと思っているんですよね。世間からは『T.M.R.もソロなのに、わざわざ西川貴教になる必要ある?』と思われていると思うですが、T.M.R.ではない『西川貴教』だからこそできる色々なことがあるんです。これは、ただ待っているだけではなくて、自ら取りにいかないと取れないものだと考えています。西川貴教としてはやっと1年ですし、T.M.R.の20年と比べると20倍の差があるので、すぐには理解してもらえないことも十分わかっています。歌うことで光らせてもらえるように、自ら行く努力、取りに行く努力を怠らずにやろうと考えています」

「あんな人、二度と出てこない」と言われたい

−では、西川さんにとって、「これからの進化」はどのようにイメージされているのでしょうか。
西川「目指しているところでは、『こういう人、今まで居なかったよね』と思ってもらえるところだと思います。僕は、アーティストとして音楽をやりつつ舞台でお芝居をやったりします。一方で事務所を会社化して自社でマネジメントしながらイベントをやったり、モノゴトを動かしています。何屋かよくわからない、一言では言えないところに寄せたいと思っていて、『あの人、二度と出てこないんじゃない?』と言われたいですね。そこを極めていくことが進化だと思っています」

−さまざまなアーティストとのコラボレーションが目立っていますが、今後もコラボレーションの展開は色々考えていらっしゃいますか?また、これまでのコラボレーションで印象的だったことがあれば教えてください。
西川「今回のアルバムのレコーディングがちょうど終わったところですが、色々なアーティストが参加してくれています。これまでも付き合いが長いメンバーが居たり、他にも第一線で活躍しているボーカロイド出身の方も参加してくれたりしています。コラボレーションのきっかけは、『ひらめき』を最優先にしています。リリースしたばかりの『映画刀剣乱舞』主題歌「UNBROKEN (feat. 布袋寅泰)」では布袋さんに参加してもらっていますが、もともと布袋さんとはアーティスト同士としての色々なやり取りがあるなか、今回の刀剣乱舞の作品の主題歌のお話をいただいたときに『作品の世界観を出すには布袋さん』だなと閃いて、声をかけさせていただきました。コラボレーションさせていただくクリエイターやアーティストの方とは『一緒に探せませんか?』というスタンスで、そこに何か可能性があったり、面白そうなことは片っ端からやっていきたいと考えています。まだリリースしていませんが、早く次の音を作りたいという気持ちが強いです(笑)」

−アーティスト活動としてゼロから向き合うということで、これまでと何か違うことをやろうと考えていることはありますか?
西川「スタッフワークの部分もそうだと思うのですが、新人アーティストを一人出していくようなイメージで話をしています。『新人だったらこれやるべきだよね。全国キャンペーンやりなさい』みたいなこと言われないかなと思っているんです。やる以上は、『空気変えたいだけじゃない?』と思われるのが嫌だなと思っていて、中途半端な気持ちでプロジェクトを立ち上げていないという想いと、もっと伝えていく必要があるなと思っているんです。全国行脚してレコード店を巡ったり、一つ一つ積み上げていかなければいけないと考えています。ぼんやりさせず、ちゃんとこれで飯を食えるようになるまではしっかりやりたいと考えていますね」

テクノロジー進化は素晴らしいが、守らなければいけないこともある

−シンギュラリティという概念では、テクノロジーの進化によって私たちの生活は大きく変わるといわれていますが、テクノロジーの進化について西川さんはどのように捉えているのでしょうか。
西川「逆に、もっといろんなデジタルが無くなればいいのにと思うことがありますね。今って、実際に見ていないことや手にとっていないことでも、なんとなく経験した感覚になれてしまうと思うんです。音楽もそうですが、無形のもので、どのようにその1曲が作られているのかは、目に見えにくい部分です。しかし、1曲のフレーズができ上がるまでには様々な犠牲があって、数字に表せないもので支えられています。色々なものがフリー(無料)で当たり前の世の中になっていますが、何かを作るために関わっている人の労力を対価として変えていかないと経済は回らなくなります。結果的に会社を圧迫して、労働者の数を減らすことになり雇用を生み出せない不条理が発生するのです。良い物には、関わる人たちの生み出すための努力がたくさんあり、きちんとした対価が必要です。そういった意味では、僕に関わってくれている人たちの生活を守っていきたいという想いは強いです。テクノロジーが進んでいくことは素晴らしいですが、大事にしなきゃいけないものを守らなければいけないのではないでしょうか」

編集部の視点
CMやバラエティ番組などで見かける西川貴教は、クスッと笑える表現やイジられるキャラクターが前に出ていることもあり、ヴォーカリストとしての西川貴教を知らない人たちからは、もしかすると「面白いいひと」に留まっているようにも見える。しかし、誰もが耳にしたことのある曲を歌う姿を見た時、それまでのキャラクターではないアーティスト西川貴教が前面に出て、良い意味での「ギャップ感」を持つようにも見える。0から始めるアーティスト西川貴教。アーティストとして表現したい自らの歌と、それを受け取るオーディエンス、時代の波の波長が交わる時、アーティスト西川貴教にとってのシンギュラリティになるのではないだろうか。


西川貴教、待望の1stアルバム
SINGularity(シンギュラリティ)
2019.3.6 NEW RELEASE
西川貴教が、待望の本名名義1stアルバムをリリース!! TVアニメ『Fate/EXTRA Last encore』OPテーマとしてヒットを記録した1stシングル「Bright Burning Shout」、 Fear, and Loathing in Las Vegasとのコラボレーションが話題となった「Be Affected」、澤野弘之との初タッグ作品となった『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』OP/EDテーマ「His/Story」「Roll The Dice」など、話題曲を余すところなく収録。さらに、布袋寅泰が楽曲提供した『映画刀剣乱舞』主題歌「UNBROKEN (feat.布袋寅泰)」をはじめとした新曲も多数収録。タイトルのSINGularity(シンギュラリティ)とは、人工知能 が発達し、人間の知性を超えることによって生活に大きな変化が起こるという概念を指す言葉で、これからの西川貴教が今までの自分を超えることによって大きな変化を遂げ、無限の進化を続けていく、という意思表示的な意味合いが込められている。ヴォーカリスト西川貴教の可能性を改めて提示する珠玉のオリジナル・フルアルバム。
リード曲「UNBROKEN (feat. 布袋寅泰)」は、かねてより親交のある布袋寅泰が楽曲提供。 ⻄川貴教×布袋サウンドの真っ向勝負にも注目!!
「映画刀剣乱舞」主題歌として書き下ろされた本曲は、岩里祐穂が映画の世界観”主と刀剣の決して壊れることのない絆”を歌詞で描き、布袋寅泰が戦いに命を懸ける刀剣たちの生きざまを”これぞ布袋寅泰”といえる迫力あるサウンドで表現。⻄川貴教の魂のヴォーカル×布袋寅泰渾身のギタープレイの真っ向勝負が織りなす壮大な戦いの曲に仕上がっています。


西川貴教 Takanori Nishikawa
1970年9月19日生まれ。滋賀県出身。1996年5月、ソロプロジェクト T.M.Revolutionとしてシングル「独裁 -monopolize-」でデビュー。キャッチーな楽曲、観る者を魅了する完成されたステージ、圧倒的なライブパフォーマンスに定評があり、「HIGH PRESSURE」「HOT LIMIT」「WHITE BREATH」「INVOKE」など大ヒット曲を連発する。故郷滋賀県から初代「滋賀ふるさと観光大使」に任命され、県初の大型野外ロックフェス「イナズマロック フェス」を主催、地方自治体の協力のもと、毎年滋賀県にて開催している。2016年5月にはT.M.Revolutionデビュー20周年を迎え、オールタイム・ベストアルバムをリリース。オリコンアルバムチャートで1位を獲得し、2017年5月には20周年プロジェクトの集大成としてさいたまスーパーアリーナ2days公演を開催。2018年から西川貴教名義での活動を本格的にスタートさせ、3月に1stシングル「Bright Burning Shout」、10月にFear, and Loathing in Las Vegasとコラボレーションした配信シングル「Be Affected」、11月に2ndシングル「His/Story / Roll The Dice」をリリース。2019年3月に西川貴教としてのファーストアルバム「SINGularity」をリリースする。4月から全国ツアーを開催。常に新しい挑戦を続けている。