クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.42
PR
2018.11.07

「ラッパのマークが消えた?」リブランディング戦略


2008年に発売してから10年をむかえた2018年、リブランディングにトライしたのが、ラッパのマークでお馴染みの大幸薬品から出ている空間除菌製品「クレベリン」。ブルーからオールホワイトベースの容器に丸みのあるロゴへ変更、そして新しくシンボルマークを作った。このリブランディングに携わったのが、デザイナーの佐藤オオキ氏率いるデザインオフィス「nendo」。老舗企業が大幅なデザイン変更へ踏み出せた背景に、昨今の市場規模の拡大、そして徹底したユーザーモニタリングがあった。デザイン性を高めるために2つのターゲットを明確化、またパッケージからラッパのマークを消した理由について、大幸薬品へ問い合わせた。

ターゲットヒントは「毎年11月〜3月の乾燥時期」
 空間除菌製品は、過去3年において右肩上り(※大幸薬品独自調べ)で市場が伸びている。クレベリンに関しては、一昨年から昨年にかけて約15%の伸びを見せており30億強の出荷を実現している。成長商品であるクレベリンのリブランディングは、しっかりとしたターゲットを定めたわけだが、どこをコアターゲットにしたのか、またデザイン変更における気にかけた部分などを感染管理マーケティング部マネージャーの中澤氏へ聞いた。
中澤氏「クレベリンは、二酸化塩素分子のチカラで空間や物体のウイルスや菌を除去する空間除菌製品です。特に11月から3月にかけて空気が乾燥し、インフルエンザが蔓延する時期に例年、需要が伸びます。今年、クレベリンをリブランディングするにあたり、コアターゲットを“絶対インフルエンザにかかれない人”と定め、妊産婦さんと受験生にフォーカスすることに決めました。部屋に置く際に、変更前のデザインでは『効果は期待しているが、おしゃれにしてほしい』という声が多くありました。例えば、来客の際にも見えないところに置きがちになったりするようでした。そこで、発売から10年経ったこともあり、リブランディングに踏み切ったのです。デザイン変更する上で気にかけたこととして、これまで購入いただいていたお客様にとって乖離がないようにしたことです。パッケージは、これまでのブルーを基調としたカラーをあしらい、容器自体の形状も大きく変えていないのは、乖離がないようにするためです」
 現在、日本のドラッグストアの90%以上で取り扱いのある商品。ターゲットを妊産婦としたことで流通開拓も行い、マタニティ・ベビー専門ショップなどでの展開も予定している。
何故「ラッパのマーク」を消したのか?
 大幸薬品の代表商品はラッパのマークの正露丸。現行のラッパのマークは、1972年に作られてから現在に至る。クレベリンにもデザイン変更前はパッケージに記載されていた。歴史あるシンボルマークを今回のデザイン変更で入れなかった理由とは。
中澤氏「ユーザーモニタリングをしていく中で、『クレベリンが大幸薬品の商品である』という認知が低かったのです。ラッパのマークといえばやはり『正露丸』という印象が強いゆえのことだと考えました。そこで、リブランディング時にクレベリンとしてのシンボルマーク『シードット』を新しく作ったわけです。そして、大幸薬品という表記も『TAIKO』として新規にロゴを作りパッケージに入れることになりました」


編集部の視点
市場規模が拡大していく中でのリブランディング。販売店からの反応も良いということで、大幸薬品としては市場№1のクレベリンのシェアを更に引き上げたいとしている。しかし、「雑貨」扱いであるクレベリンは、薬事法等の関係で、インフルエンザ対策に効果があるというような効能をうたえないのも事実。今後、そういった表現や表記機能の制限があるなかで、どのように市場を凌駕していくのか注視したい。