クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.42
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2018.11.08

共創がもたらした「デザイン思考」でワークショップに改革を!


サインペンをはじめ、数多くのロングラン文具を世に送り出してきたぺんてるが、新たにチャレンジしたのが「ワークショップ改革」。従来の開発手法からの脱却を図り、作りたい物ありきではなく、地道なフィールドワークとプロトタイピングの繰り返しにより生み出されたのが、アイデアの創出を助けてくれる「Kumikae-Note」だ。9つの付箋が並んだシンプルなつくりと、グレー×オレンジの絶妙な配色は、アイデアを拡散させ、集約させるという企画の大原則に基づいて設計されたという。貼りだした付箋を専用アプリで撮影し、スマートフォン上で自由に編集が可能。手書きの創造性と、デジタルの利便性を兼ね備えた、このワークショップツールの意外な誕生秘話に迫った。

文房具業界でも進むIoT化
パソコンやスマートフォンでの文字入力が多くなった現在でも、まだまだ根強いのが手書きの習慣だ。生活を取り巻くあらゆるもののIoT化が進む中、文房具業界では、アナログとデジタル双方の強みを融合した文房具の開発が、メーカー各社の課題となっている。そこで、新たなアプローチでスマート文具「Kumikae-Note」を企画・開発した、ぺんてる株式会社 広報課・課長の田島氏と、プロダクトデザイングループ・課長の中沢氏に話を聞いた。

田島氏「スマート文具の企画を担当していた当時、アイデアに行き詰まっていたところに、共創型戦略デザインファームbiotopeの佐宗邦威氏と出会いました。従来の、『モノ』先行型の開発手法とは大きく異なる「デザイン思考」を文具業界にも取り入れたい!という想いから、佐宗氏や東海大学富田誠准教授にも協力してもらい開発チームを結成。チームとユーザーを巻き込んだ共創プロジェクトをスタートさせました」
中沢氏「まずは、フィールドワークからスタートしました。仕事の仕方や学校生活について傾聴するユーザーインタビューから仮説を立て、プロトタイプを作っては検証し、また仮説を立て、プロトタイピング、検証という作業を繰り返して、ワークショップツールが必要だという結論を導き出しました」

ぺんてる株式会社 経営戦略室広報課 田島 宏氏

3×3の付箋にどんな意味が?
「デザイン思考」から生み出された「Kumikae-Note」を見てまず、目につくのが3×3という付箋の数だ。なぜ9枚でなければいけなかったのか、そして中央の1枚だけがオレンジである理由はあるのだろうか。

田島氏「プロジェクトに協力してくれた富田准教授が付箋を横に並べてアイデアをブレイクダウンさせる自作ノートを使っていたことにヒントを得ました。今回は、持ち運びがしやすいということも考慮しなければなりませんでしたので、様々な枚数でプロトタイピングを繰り返し、アイデアをまとめる最低単位が9枚だという結論に至りました」
中沢氏「市販の付箋には蛍光色ベースのものが多く、会議の場ではその色分けをどうするかという議論に時間が割かれている実態を把握していました。アイデアの邪魔にならない白を採用するつもりでいましたが、実際に貼り付けるのはホワイトボードや模造紙と仮定して、同化を防ぐためグレーをベースに決めました。また、アイデアの拡散・集約がしやすいよう、アイキャッチとなるオレンジを中央の付箋のカラーに決めました」


ぺんてる株式会社 商品開発本部デザイン室プロダクトデザイングループ 中沢英和氏

編集部の視点
様々な技術が加速的に進化し、利便性が高まっても、「手書き」という作業が脳の一部を活性化させ、アイデアを生み出す行為には効果的であるという検証結果がある。その間をつなぐツールとして、今後もスマート文具の開発は続いていくことだろう。「Kumikae-Note」開発の過程で、田島氏は「個人で考えることを放棄した」そう。新たな開発手法から生まれた「Kumikae-Note」が、またどこかのクリエイションの過程に新たな手法を取り入れさせるというグッドスパイラルを生み出してくれるに違いない。