クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.43
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2018.12.14

世界初の自動運転タクシー 実証実験で見えてくる2020年の東京【日の丸交通】

2018年夏、世界初の自動運転タクシーが約2週間、実証実験として東京の街を走った。本実証実験は、自動運転車両と予約システムを開発したZMPと日の丸交通が公道におけるタクシーサービスを実施するもの。大手町フィナンシャルシティグランキューブと六本木ヒルズの約5.3kmを結ぶ約35分、料金にして1,500円。事前予約では、予定枠よりも約15倍の申込みがあり、注目度の高さが窺える。今回の取り組みによって、交通混雑解消や環境負荷の低減を目指すだけではなく、ドライバー不足や高齢化などの課題に対するサービス面・技術面での知見を得る目的がある。これら実証実験について、日の丸交通代表の富田氏へ話を伺った。



タクシー業界も挑戦するべく「MaaS(Mobility as a Service) /マース」
配車サービスを始め、カーシェア、シェアパーキングなどの成長が著しいMaaS。タクシー業界もまた、それらのシェアリングサービスの波を受ける。次への一手を求められるタクシー業界の中で、先鋭的実証実験に踏み切ったのが日の丸交通。その実証実験の背景には多くの課題があることが分かる。

富田氏「自動車メーカーやインターネット企業がMaaSに着手している中、タクシー業界も挑戦しなければ取り残されると感じています。そういった取り組みを、国内外へ向けて発信することはとても大事なことだと考えていま  す。また、タクシー業界における人手不足も背景として大きく、2017年のタクシー稼働率は76%に留まり、近年減少し続けているのです。タクシーの利用シーンとして、早朝、雨の日、猛暑日などの需要が上がるタイミングではコールセンターに繋がりにくく、お客様にご迷惑をおかけしています。弊社では、ダイバーシティ宣言をして採用の窓口を広げているものの、ニーズに追いついていない状況です。ニーズに答えられなければ、お客様はライドシェアに向かうと思いますし、今後アメリカのように白タクが許可されると、タクシー業界は益々、脅威にさらされることになります」

「ここまで進んでいるとは思わなかった」ユーザーの声
今回の取り組みは、事前申込が約15倍の倍率で注目度が高かった。実際に乗車されたユーザーの反応も含めて実施の手応えはどうだったか。

富田氏「2週間の実証実験におきまして、無事故無違反で全うすることが出来たことは、この先の将来に向けて明るい兆しを得られています。消費者の方の期待も高いなと感じたのは、事前予約に   おきまして用意していた96枠に1,496もの応募があったことです。また、乗車されたお客様からは、『安心して乗ることが出来た。ここまで自動運転が進んでいるとは思わなかった』という反応をいただきました。交通量の多い都市部では、交通の流れに沿った走行が求められますが、熟練タクシードライバーの走行データを集積して運転ノウハウをヒアリングし、自動運転アルゴリズムを改良してきました」


実証実験によって明確になる課題「法整備と車両コスト」
今回の実証実験によって、一般導入に向けての課題が明確になったことを、富田氏は次のように説明する。

富田氏「私たちは、オリンピックが開催される2020年の実用化を目指しています。そこに向けて、自動運転タクシーを開発したZMPと、実証実験を繰り返して更なる技術向上を進めること。また、同時に法整備を進める必要があります。自動運転の場合、事故が起きてしまったときの責任の所在がどこにあるのか?無人ということでタクシー会社側なのか、システム開発側なのか、解決しなければいけないことが多くあります。そして、最終的にはビジネスとして成立させなければいけません。今回は実証実験でしたので、1台のみを走らせましたが、実用化になりますと当然、大量生産して台数を増やす必要があります。そのためには、自動運転タクシー参画への賛同者を集めていくことが大事になってきます」

編集部の視点
世界初の自動運転タクシーによる実証実験のニュースは、非常にセンセーショナルであった。今の日本は、先進的な取り組みを行う際に、既にある法律が壁となりトライしにくい環境であるからだ。今回の実証実験でも、いくつもの法的な壁を超えるための調整がなされたことだろう。2020年に向けての次へのチャレンジは、BTLとしても支持したい。