クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.23
特集
2017.05.15

#01_世界で唯一の日本文化が面白い

「唯一無二」をつくるクリエイティブ力の磨き方
吉木 誉絵


日本には、伝統文化、アニメやキャラクター文化、そしてKawaii文化など、あらゆる文化が共存している。そしてどんな文化の間でも大きな問題が起こることはなく、それぞれの文化が尊重される。更に、新しい文化が入ってきても、それまでのものが否定されることなく受け入れられることは世界の中で日本しかないと言われている。体系的に日本文化を理解することで、当たり前だと思っている事柄に対して新しい発見があるのではないか。


日本にしかない言葉や表現があることを知る

そもそも吉木氏が古事記を学んだ背景は、海外留学で経験したことにある。日本を離れ、海外の人と触れ合ったことで、日本文化の深さを知ったと話す。
吉木氏「日本語には、英語に訳せない言葉がたくさんあります。例えば、『雲孫』と書いて『つるのこ』という言葉がありますが、これは八代先の孫のことを指します。昔の人は八代先の孫のことまで考えて生きていたのです。また、『いただきます』という言葉も英語には訳せません。日本では、食べ物そのものに感謝する概念がありますが、海外では別の表現になるのです」


相反するものを融合させる日本人の感覚

日本には、海外から入ってくる様々な文化を受け入れ、日本流に深めてきた歴史がある。そこに日本人としての強さがあると吉木氏は言う。
吉木氏「日本には自然的なデザインと幾何学的なデザインが一緒になったものが多くあります。例えば、着物の柄などもそうだと思います。社会人類学者のクロード・レヴィ=ストロース(※1)はそういった感覚は日本にしかないと言っています。相反する性質を持っているものを融合させたり、それぞれの個性を尊重しながら一緒に組み合わせてしまう。それは日本独自の強さであり、自然に共有されているものだと思います」

(※1)フランスの社会人類学者/クロード・レヴィ=ストロース 著書『月の裏側』「日本文化の特殊性は、ときに両極端にあるものを隣り合わせにするような順応性にある」と語っている。


東京の街にはクリエイティブが溢れている

東京の街を俯瞰してみると、世界の都市の中でもとても特徴的な文化があることが分かる。
吉木氏「Kawaii文化やストリート文化を発信する原宿と隣接する形で、世界的なハイブランドの店舗が並ぶ表参道が、同じ街にあることは海外からすると珍しい光景でしょう。全く異なる世界が通り一つ挟んで共存していることは、すごく日本らしいと私は感じます」


日本的に表現するなら「クリエイティブ道」になる

日本人は、ただ受け入れるだけではなく、和の精神に則ってアレンジしたり、他のものと組み合わせたりとクリエイティブな思考ができる傾向にある。
吉木氏「海外から入ってくるものが日本風にアレンジされることが多くあります。なぜなら日本には『生み変える力』があるからです。外から来たものを日本流にアレンジし、ブラッシュアップして昇華させることは日本文化そのものだと思います。伝統文化の三道(さんどう)と言われる茶道、華道、香道なども、外から入ってきたものを日本文化へ昇華させたものです。『道』とは、英語の“Road”という表現ではなく、方法という意味を含む“Way”という表現がより適切だと思います。そういった意味では、日本的に『クリエイティブ道』とすると、面白いかなと思いますね」

Profile

「唯一無二」をつくるクリエイティブ力の磨き方
吉木 誉絵
吉木 誉絵
東京都出身。高校時代は米国で過ごす。慶應義塾大学大学院法学研究科、修士課程修了。現在は海上自衛隊幹部学校戦略研究室に客員研究員として所属。「そこまで言って委員会」「朝まで生テレビ」などに若手コメンテーターとしてテレビ出演、話題となる。海外経験を経て日本の独自性が「古事記」に書かれていることに気づき、 その精神を若い世代に広めるべく神職の資格を取得。佐久弥レイという名で自身を媒介とし国内外に古事記の魅力を伝えるための音楽活動も行っている。2012年にはパリのジャパン・エキスポで古事記のショーを企画・プロデュースし、パフォーマンスを披露した。