クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.25
特集
2017.07.14

01 阿部サダヲ流 「観客を飽きさせない」表現の挑戦

エンターテインメントというビジネスを解剖する
阿部サダヲ

『髑髏城の七人』”Season鳥”では、これまでの着流しで遊び人風な捨之介のイメージを一新し、「忍び」「草の者」という過去を強く打ち出した役を演じる阿部サダヲ。歌や踊りの要素を強化し派手にショーアップさせたバージョンになると言われる中、どういった表現を考えているのか。また、今に至るまでの阿部サダヲの役者としてのルーツを探る。



「◯◯×笑い」で大切にしていること

阿部サダヲは、エキセントリックな役からコメディ、シリアス、二枚目など、どのような役でも絶妙な笑いを絡ませながら表現する。つまり、「◯◯×笑い」のような関係性。その因果関係を探る。
阿部サダヲ「コメディだから笑わせようとか、シリアスだからこうしようとかはあまり意識していなくて、実はシリアスであるほど笑っちゃうタイプなんです。それと同様に、舞台上で『カッコいいのに笑える』と、一つ越えた感じがあって。“Season花”で言うと、僕も観て感じたことは、最初に客席が動く時ってみんな緊張しているんですよ。その緊張を和らげてくれたのが笑いの部分でした。僕の中では、笑いは感動に近いものがありますね」


阿部サダヲが考える捨之介「表現の幅の持たせ方」

『髑髏城の七人』では、殺陣の演出がひとつの見せ場となっている。殺陣の経験があまりないという阿部サダヲが、どのような捨之介を魅せてくれるのか。新しい捨之介像が引き出される。
阿部サダヲ「劇団☆新感線の作品には殺陣があって痛快な感じがあるんですが、大人計画(松尾スズキが主宰する劇団)は殺陣がないんですよね。今回の舞台では、殺陣の最高峰にあるような百人斬りがあるんですが、僕自身は『殺陣で魅せる』というのは経験的にも難しいと感じています。そこをどうやっていくかというのをすごく考えていて、今回、演出のいのうえさんからの提案で、剣を逆手(忍者の持ち方)にするやり方になり、今までの着流しで色っぽい捨之介とはひとつ違う面白い役になるんじゃないかなと思っています。そこに笑いなどをプラスしていきたいと考えているんです。捨之介はカッコイイ台詞があるので、僕が演じる場合は表現に幅を持たせたいと考えています。カッコいいところと笑わせるところの幅の広さで表現していきたいです」
阿部サダヲの魅力は、どのような役でも「なりきれる」こと。プラスして絶妙な笑いの要素を加えることで、表情豊かな舞台になる。


源泉としてある「変身願望」

では、阿部サダヲが役者を目指すきっかけは何だったのか。それは、幼少の頃から抱いていた思いが役者の道へ繋がるものであった。
阿部サダヲ「もともと幼い頃から強い変身願望があって、他人のうちの家族になってみたいとか考えるのが好きでしたね。あの家に生まれていたらどうなっていたかな?とか(笑)。それで、役者になったのも、役を通して色々な人になりたいという思いがあります」
色々な役を演じるなかで、「ウケているな」というのはオーディエンスの反応で分かるだろう。舞台側でどのように感じ取って判断しているのか。
阿部サダヲ「一番反応がわかるのが笑い声ですよね。反応がイチバン早いし、声のボリュームで感触がわかる。舞台上でコントロールできることとしたら、そこかもしれないです。毎日お客さんの反応が違うので、例えば『今日のお客さんは重いな』と感じる時が燃えるんです。それをだんだん崩していくのが楽しいんですよね」


「阿部サダヲ」であるためのこだわり

更に、阿部サダヲであるためのこだわりこそが、色々な役を演じられることへ繋がっていると分かる。
阿部サダヲ「常にお客さん目線でいたいというのはありますね。もう一人の自分が、客観的に見ていないとダメというのが、自分の中で結構あるかもしれません」
客観的に自分を見ることと同時に、人から勧められることへ素直に波に乗ることを大切にしているとも言う。
阿部サダヲ「考える前に行動することが多いので、拒否感みたいなものがなくて。劇団に入る時ですら、どういう劇団か分からず入っていましたから(笑)。たぶん、怖いなと思う方向に行く性質があるのかもしれないですが、車のナビなんかも使わないで行って、迷った時の方が新しい自分が出てくるように思うんです。逆に同じ道ばかり通っていると不安になってくるタイプです」


Profile

エンターテインメントというビジネスを解剖する
阿部サダヲ
阿部サダヲ
1992年の舞台「冬の皮」より大人計画に参加。同年にはTVドラマ初出演も果たす。舞台、ドラマ、映画と幅広いフィールドで、コミカルな作品からシリアスな作品まで幅広く活躍している。07年には映画「舞妓 Haaaan!!!」で初主演を飾り、第 31 回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。11 年には民放ドラマ初主演となった「マルモのおきて」(CX)が社会的現象になるほどの人気を博した。また、パンクコントバンド “グループ魂”のボーカル・破壊としても活動している。近年の主な出演作に【ドラマ】「下剋上受験」 (17・TBS)、「おんな城主 直虎」(17・NHK)【映画】「殿、利息でござる!」(16)、「ジヌよさらば〜かむろば村へ〜」(15)、「寄生獣」シリーズ (14-15)、【舞台】「ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン」「逆鱗」(16)、 「八犬伝」「シダの群れ 第三弾 港の女歌手編」(13)など。劇団☆新感線には本作が4作目の参加となる。