クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.25
特集
2017.07.14

03 視覚へ訴えかけるクリエイティブ

エンターテインメントというビジネスを解剖する
阿部サダヲ


日本の伝統芸能を現代アートへ昇華

今回の『髑髏城の七人』で注目すべきクリエイティブのひとつとして、それぞれのシーズンで切り替わる宣伝ビジュアルがある。シーズンのテーマに沿ってリアルなお面を制作し、それを2Dイメージで取り込みCG加工を施し仕上げていく。日本の伝統芸能「能」の世界では、「能面師」「面打ち師」と呼ばれる職人たち。現代の若手クリエイター淺野健一氏は、伝統芸能にポップカルチャー的要素を融合させて現代アートへ昇華させるクリエイティブ活動を行っている。“Season花”、“Season鳥”と続いてそれぞれのお面は、伝統を重んじながらも現代的センスで蘇らせる技法が用いられ、見る者の心を圧倒する。
吉田氏「今作の宣伝美術の河野真一さんが、ずっと劇団☆新感線の宣伝美術に関するアートディレクターとして入っていらっしゃって、今回の“花・鳥・風・月”をどのように表現するのが良いかと考え、お面が良いのではないかとなりました。面打ちクリエイターの淺野さんがシーズン毎にお面を制作していまして、劇場でも見ていただけるように展示しています。“Season花”では、花をモチーフ  にした仕上がりになっていたり、“Season鳥”では鳥の羽根をモチーフにしたCG加工を施し、宣伝ビジュアルとして仕上げています。『髑髏城の七人』のストーリーをご存知の方は『なるほどね』と気づかれる方もいらっしゃると思いますが、お面はシンボルとしての扱いになります。その秘密は、全て終わってから明かしたいと考えています」


新たなイノベーター出現への期待

今までにないステージアラウンドでは、最先端の技術を組み込んでエンターテインメントのあり方にイノベーションを起こす。今後、よりコンテンツ力が問われることになる中、イノベーター出現への期待も示す。
吉田氏「ステージアラウンドは、客席と舞台という考え方ではなく、客席も全部含めて演劇空間になっている新しいスタイル。例えば、スクリーンと合わせていくのも、映像技術の進化によって新しい表現ができる劇場の形になっているのではないかと思います。音響面においても、客席に座る約1300人がどちらを向いても同じように聴こえるようにするなど、最先端のものを結集しました。この舞台を見ることによって、『自分ならこういう風にできると思う』というクリエイターが出てくるかもしれません。私たちにも予想がつかないような新しい可能性をまだまだ発見できるのではないかと期待感を持っています」


イノベーションパートナーとも新しい体験を創出

ステージアラウンドでは、協賛企業と並んで「イノベーションパートナー」という冠がある。NTT docomoがパートナー企業となっているが、どのような取組みをしているのか。
吉田氏「NTTdocomoと一緒にウェアラブル端末(グラス)で字幕をつけるという取組みを行っています。文字に起こすことで台詞をよく理解出来るというのがあるようで、海外の方だけではなく初めて『髑髏城の七人』を観劇される方にも、理解を深められるということで大変好評です。今後は対応言語を増やしたり、字幕だけに限らず休憩時間でもグラスをかけていると何か面白いものが見られるなど、そのような仕掛けも出来ないかなと考えています」


髑髏城の七人
ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season鳥 Produced by TBS
作:中島かずき 演出:いのうえひでのり
出演:阿部サダヲ 森山未來 早乙女太一 / 松雪泰子 / 
粟根まこと 福田転球 少路勇介 清水葉月 / 梶原善 / 池田成志 ほか
公演期間:2017年6月27日(火)~9月1日(金)
会場:IHIステージアラウンド東京(豊洲)
お問合せ:ステージアラウンド専用ダイヤル 0570-084-617(10時~20時)
http://www.tbs.co.jp/stagearound/toridokuro/


Profile

エンターテインメントというビジネスを解剖する
阿部サダヲ
阿部サダヲ
1992年の舞台「冬の皮」より大人計画に参加。同年にはTVドラマ初出演も果たす。舞台、ドラマ、映画と幅広いフィールドで、コミカルな作品からシリアスな作品まで幅広く活躍している。07年には映画「舞妓 Haaaan!!!」で初主演を飾り、第 31 回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。11 年には民放ドラマ初主演となった「マルモのおきて」(CX)が社会的現象になるほどの人気を博した。また、パンクコントバンド “グループ魂”のボーカル・破壊としても活動している。近年の主な出演作に【ドラマ】「下剋上受験」 (17・TBS)、「おんな城主 直虎」(17・NHK)【映画】「殿、利息でござる!」(16)、「ジヌよさらば〜かむろば村へ〜」(15)、「寄生獣」シリーズ (14-15)、【舞台】「ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン」「逆鱗」(16)、 「八犬伝」「シダの群れ 第三弾 港の女歌手編」(13)など。劇団☆新感線には本作が4作目の参加となる。