クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.27
特集
2017.09.15

part1 02 スプツニ子!流 デザインのポリシー

AI特集
スプツニ子!

part1 02
スプツニ子!流 デザインのポリシー


賢くてクリエイティビティあふれる女性に憧れて

現代アーティストとしてのスプツニ子!になるまでのルーツは、どこにあるのか。知的でクリエイティブな印象の強いスプツニ子!へ、自分らしさを見出すまでを問いてみた。
スプツニ子!「大学では、数学とコンピュータサイエンスを専攻していましたが、子供の頃からアートや音楽が好きだったこともあり、大学在学中に音楽を作り始め、ライブをするようになりました。大学を卒業する時に『自分が本当にやりたいことはなんだろう』と考えたんですが、私は当時テクノロジーとアートを融合させたパフォーマンスをするローリー・アンダーソンや、ミランダ・ジュライ、ソフィラ・コッポラなどの映画監督の大ファンで、彼女たちのようにクリエイティブで社会問題にも言及するような女性に憧れるようになったんです」
そしてスプツニ子!は、大学卒業後にフリーランスのプログラマーをしながら自分自身の道を見つけることになる。
スプツニ子!「自分が本当にやりたいことを見極めたかったから、それがわかるまで就活をしませんでした。大学卒業後、プログラミングの仕事をしながら、作曲したりライブをしていました。その時、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)という美術大学院にある『デザイン・インタラクションズ』というテクノロジーとデザインのコースを知って、23歳の時にその大学院に入ったのですが、そこで学んだことで人生が変わった気がします」


問題提起型デザインとは

現在、スプツニ子!は大学助教として活動の拠点をボストンに置いている。これまでのテクノロジー、サイエンス、アートの知識を活用し、問題提起型のデザインについての指導、また自らもクリエイションする。
スプツニ子!「今、私はMITメディアラボで『デザイン・フィクション』という研究室を主宰しています。研究室では学生達と『スペキュラティブ・デザイン』作品を制作しています。一般的に『デザイン』という言葉を聞くと『使いやすいスマホをデザインする』とか『飲みやすいボトルをデザインする』とか『デザインとは何らかの問題を解決するものである』というイメージをもたれると思うんですが、『スペキュラティブ・デザイン』では『こんな未来が起きるかもしれないけど、あなたはどう思う?』という風にさまざまな『起こり得る未来』を描いて問題提起するアプローチをします。私たちはデザインを通して、問題解決するだけでなく、問題提起することも出来ると考えています」
 一般的な商業デザインでは、課題解決型のデザイン思考が多くを占める。それは、商品プロダクトなど的が絞り込まれている時や、ターゲットが明確に見えている時に効果を出しやすい。しかし、世の中が大きく変化しようとしているまさに今は、俯瞰して大きな意味で問いを立てターゲット問わず多くの人々が考えていかなければいけないこともある。この二十数年で多くの産業を衰退させ、同時に多くの産業を生み出した「インターネット」という技術革新。今後、「AI」というものが新たな変化を加速させると予測される中で、考えなければいけないこと、そして解決しなければいけないことは山積みでもある。次頁では、『スペキュラティブデザイン』の具体的な問題提起の事例を紹介する。

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スプツニ子!
テクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を反映させた映像、音楽、写真、パフォーマンス作品を制作。最近の主な展覧会に、「第3回瀬戸内国際芸術祭」(ベネッセ アートサイト常設作品2016)など。2013年よりマサチューセッツ工科大学(MIT) メディアラボ 助教に就任し Design Fiction 研究室を創設。2016年第11回「ロレアル- ユネスコ女性科学者日本特別賞」受賞。2016年4月~NHK「スーパープレゼンテーション」のMCを務める。著書「はみだす力」(宝島社)。