クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.28
特集
2017.10.16

プレゼンテーションに必要な「考え方×知識」の軸

『笑い』プレゼンテーションの考え方
安田 顕

BTL TOKYO編集長 兼 アーキテクト/倉本 麻衣
From the Editor in Chief

「人を傷つけない笑い」をエンターテインメントで表現し観客へ届ける。伝えるための脚本・演出を福田雄一は考え、舞台でプレゼンテーションする安田顕という役者がいる。絶対的な信頼関係とエンターテインメントへの真摯な向き合い方によって、一つの作品は完成する。そこにある軸がゆるぎないものであるからこそ、観客に受け入れられるものとなるのだろう。つまり「人を傷つけない笑いというものが何なのか?」について、人の倫理観もさることながら、社会背景、経済、人の心理などを深く思考するための軸「考え方×知識」が基盤としてあるのではないか。現代は、全世界へ個人発信を可能にしたSNSの存在によって多様な考えや思い、文化、政治、宗教が入り交じる社会となった。このように多様化された社会では、一つの正解を求める教育で育った人たちの間で社会的なミスマッチが起きてしまう。つまり「一つの正解」の主張がSNSでは可視化されやすく、自分の常識が他人にとっては非常識で、他人の常識が自分にとっての非常識になりうるからだ。結果的に何となく新しいものを生み出しにくい、意見しづらい環境が出来上がってしまう。

前号のBTL TOKYO特集「AI」 の中でもあったが、今後、AIやIoTによって世の中が変わっていく中で、人々がどのような倫理観を持つのかが、とても重要なことになってくる。それは、専門的な知識の他に、歴史、文化、哲学などの概念をもとにした考え方が必要になるということ。日本では特に、文系、理系と専門分野を早い段階で分けて受験に備える。例えば、理工系に進んで数学や物理などを根拠にする技術者としての専門性は高めることは出来るが、それ以外の分野をほとんど知らない人材が出来上がるのがこれまでの教育である。そして、今多くの悩みを抱えるビジネスパーソンもまた、その教育を経験している。多様化された社会では、一つの正解を求めるのではなく、自分以外の人たちの考え方や感じ方を理解し、お互いの主張を調和して共存していけるようにすることが必要である。そのためには、(※図)にあるような「考え方×知識」の質を高めるための学びが重要となる。特に、日本のビジネスパーソンにとって必要と言われる歴史や文学、哲学などの「リベラルアーツ」が、人間力や対話力の本質を深めるものとされている。これらの学びによって「考え方×知識」の質の向上が、結果的にプレゼンテーション力の引き上げに繫がるだろう。

Profile

『笑い』プレゼンテーションの考え方
安田 顕
安田 顕
演劇ユニット「TEAM NACS」メンバー。舞台、映画、ドラマなどを中心に全国的に活動。音楽にも造詣が深く、北海道では音楽番組のナレーションを放送開始から15年担当、雑誌ではアーティストと対談連載ページを持つ。実父とのやりとりを綴った『北海道室蘭市本町一丁目四十六番地』も発刊し、思いの丈を柔らかい文章で表現している。近年は映画・ドラマ・舞台など数々の話題作に出演、硬派な役から個性的な役まで幅広く演じている。
『笑い』プレゼンテーションの考え方
福田 雄一
安田 顕
1990年に劇団「ブラボーカンパニー」を旗揚げし、座長として全作品の構成・演出を手がける。放送作家として数多くの高視聴率番組を手がける一方、ドラマや映画の脚本やDVD作品の脚本・監督など、幅広いジャンルで活躍中。 また2007年よりマギーとの共同脚本・演出のユニット『U-1グランプリ』も立ち上げ好評を博す。 福田雄一の笑いは業界で大いに注目を浴び、舞台の脚本・演出でも引っ張りだこ。 ミュージカル「スパマロット」、舞台「THE 39 STEPS」はじめ、今年もミュージカル「ヤングフランケンシュタイン」、舞台「デストラップ」等が控えている。

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