クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.29
特集
2017.11.16

01 独学から「プロ」の道へ

世界を魅了するクリエイションの源泉は「プロセス・マネジメント」にあり
MIKIKO


MIKIKOの「知恵を絞る」ステージづくり
ここ数年、テレビ画面を見ているととても印象的なダンス演出がある。3人組ユニットのPerfumeや、人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』のエンディングで注目を浴びた『恋ダンス』、そしてリオオリンピック閉会式でのフラッグハンドオーバーセレモニー。これらを手がけたのが演出振付家のMIKIKOだ。日本のお茶の間を楽しませるところから、世界70億人が目にするエンターテインメントまで幅広い対応力を持つ。しかし振付も演出も、MIKIKOが独学で編み出したスキル。そこには、どのようなルーツがあるのか。
MIKIKO「完全に独学で、広島のアクターズスクールと、別のスタジオで発表会などで披露するための振付をしていました。それは、スタジオレベルの発表会ということもあって舞台セットなどは一切なく、セットに助けてはもらえず人の動きだけで色々な曲に変化をつけてみせなければいけないという状況でした。振りつける曲数も多くて、曲によっては同じ場所に立っていたとしても違って見える工夫を重ねるなど、図らずも知恵を絞るしかなかったことで、自分なりの方法を見つけることができたのだと思います」
何の装飾もないステージとダンサーのみというシチュエーションで試行錯誤するなかで、MIKIKOは自身の演出に自信を持てるテーマを見出す。
MIKIKO「いかに立体的に見せられるかが私の中のテーマで、人数が多い時はフォーメーション、立ち位置を変更する面白さを考えていました。Perfumeは3人で何十曲もやるのですが、フォーメーションチェンジにプラスして、3人の高低差をつけることや前後差をつけることで立体的に見せる工夫を行っていました」

「ホンモノ」になるためにNY留学を勧められる
ある時、独学で振付、演出を行うMIKIKOは、ホンモノになるためのアドバイスを受け、単身渡米することになる。
MIKIKO「独学で振付師をやっている私に、『ホンモノになるには、ニューヨークのブロードウェイに根づいている古き良きものを観て、しっかり知識として身につけた上で、新しいものを創っていきなさい』とアミューズの大里会長にアドバイスをいただいたのがきっかけでニューヨークへ行くことになりました。興味のあるものもそうでないものも、新しいものも古いものも、とにかく何でも観るようアドバイスをいただいて、毎晩ブロードウェイに通ってステージを見て、それをレポートにまとめるというような日々を送っていました」

NYで影響を受けた「演出」の世界
ニューヨークで数々のステージを見るなかで受けたインスピレーションから、次に目指すべき自身の強いビジョンが明確になる。
MIKIKO「ミュージカルはもちろん素晴らしかったのですが、それをそっくりそのまま日本に持ち帰ったとしても受け入れられないかもとうっすら感じていました。そんな時、『フェルサ ブルータ(※1)』というノンバーバル(※2)のショーを見たのです。お客さんがスタンディングで移動しながらステージを見ていくのですが、ステージと客席という概念に捉われない舞台で、空間をまるごと演出することの魅力に気づいたのです。この舞台に出会ったことで、日本へ戻って何がやりたいかが見えてきました。振付だけではなく演出全体をやっていきたいと、より思うようになったのです」

(※1)2003年にブエノスアイレスで誕生。ニューヨークのオフブロードウェイで10年以上のロングランを続けている。これまでに世界30カ国・60都市以上で、500万人以上の観客を魅了する体験型エンターテインメント。2014年に日本上陸している。

(※2)言葉以外で行う非言語コミュニケーション。例えば、表情や声、振る舞いなどでコミュニケーションを行う。

Profile

世界を魅了するクリエイションの源泉は「プロセス・マネジメント」にあり
MIKIKO
MIKIKO
演出振付家。ダンスカンパニー「ELEVENPLAY」主宰。Perfume, BABYMETALの振付・ライブ演出をはじめ、様々なMV・CM・舞台などの振付を行う。メディアアートのシーンでも国内外で評価が高く、 新しいテクノロジーをエンターテインメントに昇華させる技術を持つ演出家として、ジャンルを超えた様々なクリエイターとのコラボレーションを行っている。

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