クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.30
特集
2017.12.20

「モンテッソーリ教育」から紐解く多様化社会の人材育成のあり方

スポーツで日本が蘇るR.projectのイノベーション
為末大

BTL TOKYO編集長 兼 アーキテクト/倉本 麻衣
From the Editor in Chief

BTLではこれまで、社会で必要な人材を輩出するための教育に関して何度か触れてきた。BTL VOL.25 の巻頭特集で掲載したメディアアーティスト 落合陽一氏の「コンピュータが得意とする問題解決方法の習得を、現代教育は未だに人に習得させようとしている」ということ。これは、今回のR.project取材で為末氏から出た「トレーニングとパフォーマンス」の関係性において、「パフォーマンスが高まってもそれに似合ったトレーニングを行っていない場合が多い」という考え方とも似ている。今後、少子高齢化で人口減少、そして更なるテクノロジーの発達によって、人々の働き方やライフスタイルそのもののあり方は多様化していく。「暗記」の割合が多い現代教育を、自ら答えを出していかなければいけない社会で生るための教育へ転換するためにどうしていくのかについては非常に大きな課題である。

そこで今回は、海外では幼稚園から高校まで一般化しているが、日本では主に幼稚園まで実施されている「モンテッソーリ教育」を通して、現代社会で求められる人材育成について考察したい。
モンテッソーリ教育とは、約120年前にイタリアの女性医師によって考案された新しい教育法である。自由な創造性、自発性、自立性を育てる教育法で、海外では多くの公立や私立校でも取り入れられている。Google創始者や、Facebook、amazon、Wikipediaの創設者、ピーター・ドラッガーもモンテッソーリ教育を受けたと言われている。また、日本では藤井聡太四段がモンテッソーリ教育を受けているということで注目がされている。モンテッソーリ教育の特徴として幼稚園でのやり方を見てみると、「お勉強」ではなく「Work(お仕事)」と呼ぶ。その日、自分がどんなお仕事をするのか自分で決めるのである。そして先生たちは子供たちの自主性を尊重し、お仕事のサポートを行う。自主的に動く子供たちは、高い「集中力」が養われる。その高い集中力こそが、何かを考え抜き新しいビジネスを生み出すために必要な力なのではないだろうか。

「教育」とは“Education”から訳されたもの。しかし「教え育む」は、Educationの語源であるラテン語「引き出す」という意味合いとは異なる。その言葉からもわかるように、外から答えのみをため込む日本の暗記型教育は、そもそものEducationとは違うのだ。
今後の人材育成を考えていくうえでは、本来の“Education”の意味を理解して、個が潜在的に持つ「自主性」を引き出し、高い「集中力」を養える教育を考えていく必要があるだろう。

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