クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.32
特集
2018.02.16

デザイナーの役割とデザインを考える

デザイナーの役割とデザインを考える
長嶋 りかこ


デザインへの想いと違和感を覚えた代理店時代
長嶋はかつて大手広告代理店でデザイナーを経験する。しかしクライアントや商品を選んで仕事をすることは困難で、デザインへの志と実際の仕事との間に距離があり、自分自身が共感できないものへのデザインも商業デザイナーとして請け負うことが多々あった。
長嶋氏 「自分が共感していない商品やサービスに対し、仕事だからと光をあてデザインにより消費を助長することも多々ありましたが、仕事を続けてみて沸々と嫌悪感が湧いてきて。自分の心に蓋をしていましたが、どうにもできなくなりました」
代理店時代を経て、長嶋は独立。そして、独立後はどこに重点を置きデザインを仕事としているのか。
長嶋氏「依頼主や活動や商品に共感できて、活動自体に意義があるのかどうかです。彼らの伝えたいことに共感できないと、そのメッセージをデザインに翻訳してカタチにしていく過程で、自分の心に無理が出てきてしまいます」
自分が共感するメッセージを世の中へ発信していくことを大事にしながらデザインをする長嶋は、都市と自然のありようをテーマにした2014年度の札幌国際芸術祭の仕事をはじめ、被災地の子どもたちで結成された東北ユースオーケストラや、全盲の主人公の映画づくりを追うドキュメンタリー映画など、共感する活動に対してデザインをする。
そして、不定期で長嶋が発表しているプロジェクト《Human_ Nature》。自然物としての人間の心のありようをテーマに制作し様々なカタチで発表しているが、始めたきっかけとは何か。



札幌国際芸術祭のデザイン


SIAF 2014
芸術祭のディレクターであった坂本龍一氏から依頼を受け、札幌国際芸術祭のメインビジュアルやサイン計画、冊子やグッズ等のデザイン全般を手がけた。それぞれの媒体や空間に合わせて「都市と自然」というテーマを翻訳しデザインに落とし込んでいる。サイン計画では、通行人が多く展示エリアが分かりづらい煩雑な街中でもサインが目につくよう、突如現れる「木目の面」の存在感をサインのアイデンティティとし、特定のエリア感を出すことを考え計画された。


Profile

デザイナーの役割とデザインを考える
長嶋 りかこ
長嶋 りかこ
グラフィックデザイナー。1980年生まれ。village®主宰。対象のコンセプトや思想の仲介となってその世界観と知覚情報をデザインする。既存の視点への問いや価値転換による気付きへの貢献を目的とし、特に環境/美術/福祉/文化等のフィールドと積極的に協働し活動する。これまでの仕事に、“都市と自然”をテーマに掲げた坂本龍一氏による「札幌国際芸術祭2014」、全盲の主人公の映画製作を追うドキュメント映画「ナイトクルージング」、被災県の子供達で編成された「東北ユースオーケストラ」、核を問う現代美術家宮島達男氏と共作「PEACE SHADOW PROJECT」、反原発運動でのYMOによるライブ音源「NO NUKES 2012」など。