クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.32
特集
2018.02.16

01 Human_Nature カプーアへのオマージュ

デザイナーの役割とデザインを考える
長嶋 りかこ


自然物としての人間本来の心のありよう。心の浄化作用を求める。
長嶋氏「自分が幼少期から18年間過ごした自然の環境と、今過ごしている都市の環境との間には、自然への向かい方に大きな差があり、そのことへの違和感からこのプロジェクトを始めました。当然、私も日常でモノを消費しますし、ゴミも出します。特にグラフィックデザイナーとして自分が印刷物に関わる際は印刷のプロセスで大量の紙ゴミが出てしまいます。過度な消費により、自然という存在や、資源という限りあるもの、動植物の命の循環、そして自分自身も自然物であること、それらが都市の暮らしの中で見えにくくなっていることに、違和感を感じるようになった。都市の生活で自然を感じないことに慣れた自分自身に対してもです。それで自分の心の浄化作用を求めてつくりはじめたのがきっかけです」
そんな思いから開始したのが《Human_Nature》。では、取り扱うテーマはどのように選んでいるのか。
長嶋氏「大量消費社会によって見えなくなった資源やエネルギーについて、貨幣という虚構によって見えなくなった本来のものの価値について、都市の秩序によって見えなくなってしまった自然の混沌について、都市のスピードや枠組みによって見えなくなってしまった人間の中の自然について、日常過ぎて見えづらい生と死の循環など、テーマは様々ですが一貫して自然物としての人間本来の   心のありようをテーマにしています」

Profile

デザイナーの役割とデザインを考える
長嶋 りかこ
長嶋 りかこ
グラフィックデザイナー。1980年生まれ。village®主宰。対象のコンセプトや思想の仲介となってその世界観と知覚情報をデザインする。既存の視点への問いや価値転換による気付きへの貢献を目的とし、特に環境/美術/福祉/文化等のフィールドと積極的に協働し活動する。これまでの仕事に、“都市と自然”をテーマに掲げた坂本龍一氏による「札幌国際芸術祭2014」、全盲の主人公の映画製作を追うドキュメント映画「ナイトクルージング」、被災県の子供達で編成された「東北ユースオーケストラ」、核を問う現代美術家宮島達男氏と共作「PEACE SHADOW PROJECT」、反原発運動でのYMOによるライブ音源「NO NUKES 2012」など。