クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.32
特集
2018.02.16

汲み取る力こそ極めて重要なビジネススキル

デザイナーの役割とデザインを考える
長嶋 りかこ

ビジネスタイムライン編集長 /佐藤 元紀
From the Editor in Chief

良いデザインとは何なのか。見栄えの良し悪しでデザインを語ることができないからこそ、この問はデザインの歴史を紐解いても幾度となく語られてきている難解なテーマだ。しかし、正解が見えづらい世の中になった今だからこそ、デザインに携わる者はこの問に向き合わなければいけない時代に来ているのではないだろうか。デザインを伝える手法として用いるのではなく、デザインの対象となる物や事象に向き合い、本質的な解釈を持ってクリエイティブディレクションを行う長嶋氏のデザインやアートが人の心を奪って止まないのは、正解が見えづくなった世の中において、灯台のようにまばゆい光を放ち、本質を見失わないようにしてくれているからこそだと思う。

これは、なにもデザインの領域だけの話ではなく、ビジネスシーン全般においても通ずる話だ。長嶋氏の取材を通して、解釈する力の大切さを痛感した訳だが、これは汲み取る力とも言い換えができる。2017年という年は、この「汲み取る事」がネガティブな要素として捉えられた感もあるが、汲み取る力こそ、ビジネス課題を解決していくためには極めて重要なビジネススキルであるとビジネスタイムラインは考える。しかしながら、ここには1つ忘れてはいけないルールがある。解釈または汲み取る際に、それはクリエイティビティでなくてはならないという前提条件だ。つまり建設的な創造があってはじめて、その解釈や汲み取った事柄が価値として成立する。逆に、事なかれ的な思想での汲み取りには全くの創造性も無く逆効果でしかない。長嶋氏が発信してくれた金言を汲み取って頂き、読者の方々のビジネス課題が解決され、よりクリエイティビティ溢れる世の中になることに期待したい。

Profile

デザイナーの役割とデザインを考える
長嶋 りかこ
長嶋 りかこ
グラフィックデザイナー。1980年生まれ。village®主宰。対象のコンセプトや思想の仲介となってその世界観と知覚情報をデザインする。既存の視点への問いや価値転換による気付きへの貢献を目的とし、特に環境/美術/福祉/文化等のフィールドと積極的に協働し活動する。これまでの仕事に、“都市と自然”をテーマに掲げた坂本龍一氏による「札幌国際芸術祭2014」、全盲の主人公の映画製作を追うドキュメント映画「ナイトクルージング」、被災県の子供達で編成された「東北ユースオーケストラ」、核を問う現代美術家宮島達男氏と共作「PEACE SHADOW PROJECT」、反原発運動でのYMOによるライブ音源「NO NUKES 2012」など。