クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.37
特集
2018.07.13

人のエモーションに訴えるメディアづくり

長く愛されるサービスの創り方
粟飯原 理咲

少し隙のあるクリエイティブ
サービスを形にしたら、次は運営。おとりよせネットは今では15年目。長く愛されるサービスにする秘訣とは。
粟飯原氏「メディアの作り方は、少し隙があるサービスを意識しています。ネットのメディアはアート作品や完成された書籍と違って、隙があって、まだ未完成だからこそ今、自分が参加しても参加者の一員になれそうとか、ここで発信してもこれから光を浴びれそうとか、参加する余地があるなと思われることがとても大事なんです。クリエイティブにおいては、デザイナーさんからご提案いただくものはオシャレなものが多いのですが、完成度が高すぎると敷居が高く感じるので、ほんわかオシャレくらいが丁度いい。また、お家のDIYみたいに毎日メンテナンスして建て増ししてくイメージで、アップデートを前提に変化させやすいデザインでつくります。根底には、そのサービスがあることで、暮らしの中の小さな幸せをたくさん届けられること。前職では就職、転職、結婚などの人生の中の大きなイベントをサポートするサービスをやっていましたが、それは大手でないと難しい部分もあって。自分では、一時的に興味を持つテーマよりは好きな人がずっと長く使ってくれて、その人に小さい幸せをいっぱい届けられるサービスを目指しています。ユーザーアンケートでも、新しいユーザーもいますが、サービスオープン以来使っていますという方達もいます。すごく喜ばしいことです」

エモーショナルなメディア
参加しやすい演出、時代に沿ったアップデートを行うことで、多くの人が集うサービスを創ることができる。人に寄り添ったメディアサービスを運営する粟飯原氏。これからのインターネットメディアの未来、挑戦していきたいことは。
粟飯原氏「インターネットサービスの業界は規模がとても大きく、業界全体として捉えるのは年々難しくなってきています。私たちが携わっているメディアというカテゴリでは、年々エモーショナルなメディアが求められているように感じます。単純に、レストランのデータベースがあってそれを検索できるとか、料理のデータベースがあってそれが検索できるとかではなく、メディアを通じていかに人の心を動かせるかが重要です。例えば、写真という一つのビジュアルを使って人の心を動かすみたいなところをどうメディアとして捉えるか。エモーショナルであるために画像リッチになってきたり、ストーリーの重要性だったり、ネットの空間に人的な感覚が大事になってきています。『エモい』という言葉が流行るのも一つの時代の象徴だなと思います」
人々の暮らしの中でたくさんの幸せを届けられるサービスとは、人のエモーションに訴えられるメディアであること。さらにメディアだけでなくリアルも掛け合わせていきたいという。
粟飯原氏「5年前に新しくキッチンスタジオを作って、去年スタジオを増床しました。WEBとリアルをもっと結びつけたいというのは自分の中の一つのキーワードとしてあります。WEBとリアルとかWEBとローカルとか、そういうものを組み合わせてサービスを考えて、作っていくのはすごい楽しい。組み合わせの楽しさを追求していきたいと思っています」

Profile

長く愛されるサービスの創り方
粟飯原 理咲
粟飯原 理咲
アイランド株式会社代表取締役/インターネットサービスプロデューサー。国立 筑波大学卒業後、NTTコミュニケーションズ株式会社、株式会社リクルート、総合情報サイト「All About」マーケティングプランナー職勤務を経て、2003年7月より現職。生活者の視点に立ち、同社にて「おとりよせネット」「レシピブログ」「朝時間.jp」などの人気サイトや、キッチン付きイベントスペース「外苑前アイランドスタジオ」を運営中。日経ウーマン誌選出「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」2000年度ネット部門第1位、2003年度同賞キャリアクリエイト部門第6位受賞。2011年より、日経産業新聞にて「トレンド語り」コラムを担当。