クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.40
特集
2018.10.12

01 海の中で見て 感じたものを「アート」へ【岡西佑奈】

書道を現代アートへ昇華 曲線美のインスピレーションは「鮫」
岡西 佑奈


岡西佑奈が表現する書は、曲線の美しさが際立つ。今回、実際に作品づくりの現場を見させてもらったBTL編集部は、キャンバスの前で集中してイメージを膨らませる岡西の姿と曲線美の核心に迫る。岡西が、どういったところから作品のインスピレーションを受けているのか聞いた。
岡西「旅をすることがすごく好きなのですが、そのほとんどを海に潜って過ごしていて、海や自然を見ながらインスピレーションをわかせているんです。3歳の頃、海遊館で鮫の水槽を前にして、そこから何十分も離れなかったんですね。その時、鮫の神秘的で堂々たる姿に憧れて研究するようになり、鮫の曲線美に魅入っていったんです。私は『書』を曲線的に描くのですが、あるときそれが鮫の動きに似ているからだと気づきました。鮫は、古生代から存在していて、神秘なる生き物として私の心を魅了してやまないのです」
岡西は、海の中で得たインスピレーションを、よりアートとして表現するために『青曲』シリーズを発表した。その経緯について次のように話す。
岡西「鮫を意識した『青曲』は、2018年2月から始めたものです。これまで白い和紙に墨で描いてきましたが、自分自身の中で青い地球への想いが膨らんできたときに、青い海にシルバーで鮫の泳いだ美しい線を描きたいと思って、展覧会で思い切って出してみたんです。とても良い反響をいただいたこともあって、今は海外アートフェア(※)に向けて作品づくりをしています。そして、青色以外にも赤色や緑色なども取り入れていて、今後はもっとカラフルになっていくかもしれません。より書の枠を超えて、書をアートとして   表現していきたいと思っています」

※岡西が出展するアートフェア
◆「ART SHENZHEN 2018」(深圳)2018.09.15 - 09.17
◆「KIAF 2018 ART SEOUL」(ソウル)2018.10.3 - 10.7
◆「NANJING YANGTZE CONTEMPORARY ART FAIR 2018」(南京)2018.10.13 - 10.14
◆「ART TAIPEI 2018」(台北)2018.10.25〜10.29
◆「ART021 SHANGHAI CONTEMPORARY ART FAIR」(上海)2018.11.9 - 11.11

「2018 WildAid世界無翅宣言記者會」(台北)のイベントでは、
書道パフォーマンスと『青曲』で、地球と人間との「調和」を訴えた。

Profile

書道を現代アートへ昇華 曲線美のインスピレーションは「鮫」
岡西 佑奈
岡西 佑奈
7歳から栃木春光に師事し、高校在学中に師範の免許を取得。水墨画は関澤玉誠に師事。書家として文字に命を吹き込み、独自のリズム感や心象を表現、自然界の「曲線美」を書技によって追求し、国内外で多数受賞。「自も他もなく、全ては一つであり調和している」という禅思想が、自然と人間との調和、ひいては世界平和の一助を担うという信条を持ち創作活動を行う。そうした「調和」をテーマに、キャンバスと色絵の具を用いて、青い海とサメの泳ぎを曲線で描く「青曲」、マグマの地熱を人間の情熱に見立てた「紅畝」で、自身の書技と線描へと昇華、世界平和を訴えかけている。2018年秋の海外のアートフェアに、岡西の『書』『青曲』『紅畝』のほか新作も発表予定で、書の新たな世界観を創造している。国連ウィメン日本協会のアーティストとして活動し、UN WOMENのイベントに参加。また、「子供に命の大切さを伝えたい」という思いからボランティアで小学校での書 道教室を開催している。