クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.41
特集
2018.11.15

02 ニューヨークのリアルな音楽が教えてくれたこと

ミレニアル世代の「自分らしさ」 新しい価値創造へ
シンガーソングライター/iri

iriが今の音楽スタイルになったのは、幼少の頃からの家庭環境や海外から入ってくる音楽や映像が意識に大きな影響を与えている。実際、どのような音楽に触れてきたことで今の価値観が作られたのか。

iri「もともと母親がボサノバ、ジャズ、クラシックなんかが好きで、家でよく音楽がかかっていました。特に、誰の曲なのかはわからなかったのですが、なんとなく聴いていたんですよね。小学生のころは、久保田利伸さん、AIさんなど力強くてブラックテイストの曲を好んで聴いていて、学校から帰ってからはMTVをよく見ていました。当時は、リアーナやジェニファーハドソン、PINKなどがよく出ていて、曲を聴くことが多かったですね。一番影響を受けたのが、アリシア・キーズがグラミー賞を取った時です。映像を見てすごく感動したのを覚えています。その頃から、自分も音楽で影響を与えられる様な人になりたいと思うようになりました」


iriのシンガーソングライターへの道を決定づけたのは、学生生活を送る中での出来事だった。そしてシンガーソングライターになるために必要なことを自然且つ違和感なく取り入れて行く意思決定は、今後の大きな成長をも予感させる。

iri「高校生の時にボイストレーニングを始めたのですが、その頃は人の曲をカバーして歌っていました。ある時、ギター1本で弾き語りをするシンガーソングライターの七尾旅人さんを友人から勧められて、ライブを観に行ったんです。その時のグルーヴ感がすごく良くて、そこから自分で曲を作り始めたんです。大学に入ってからは、すでにシンガーソングライターになると決めていたので、周りが就活をしていても自分はオーディションを受けたりしていました。毎日ギターを抱えて大学に行っていたのでちょっと浮いていたかもしれませんね(笑)。ただ、オーディションに受からなかったら就職をしなければいけないという危機感はあったんです。幸い、オーディションでグランプリをいただくことができたので、音楽を続けられることになりました」


iriは、その時に見たもの、感じたものを自身の中へ取り込み、次へ生かす。そして海外でリアルに体験した出来事からも、iri自身を作る一つになっている。

iri「グランプリを取った特典として2週間ほどニューヨークへ行けたのですが、マンハッタンでスケジュールを組んでボイストレーニングやギターレッスンを受けたりしました。一番刺激的だったのは、ワークショップの一つでセッションの企画に参加した時のことです。ピアニストの方が曲を弾いて、セッション参加者が順番にワンフレーズ歌ってつなげていく。知らない曲を前の人のメロディーを聴いて歌わなければいけなかったのは、すごく緊張したし焦りました。旅行などでは海外に行ったりもしていましたし、日本にいても海外の音楽に触れることはできます。でも、リアルな体験や空気はそこに行かないと味わえないもので、10代の頃にもっと海外へ行っておけばよかったなと思ったりしています。そういった意味では、音楽は勉強するものではないのかもしれないとも思います」

Profile

ミレニアル世代の「自分らしさ」 新しい価値創造へ
シンガーソングライター/iri
シンガーソングライター/iri
神奈川県逗子市在住。自宅にあった母のアコースティックギターを独学で学び、アルバイト先の老舗 JAZZ BAR で弾き語りのライブ活動を始め、2014 年、雑誌「NYLON JAPAN」と「Sony Music」が開催したオーディション「JAM」でグランプリを獲得。HIP HOP 的なリリックとソウルフルでリヴァービーな歌声で、ジャンルレスな音楽を展開。2016 年 10 月アルバム「Groove it」でビクター・カラフルレコーズよりデビューし、iTunes Store にてトップ 10 入り、ヒップホップ / ラップチャートでは 1 位を獲得。 2017 年 3 月には、Nike Women「わたしに驚け」キャンペーンソングとなったシングル「Watashi」をリリース。続く 11 月、 EP「life ep」をリリースし、再び iTunes Store のヒップホップ / ラップチャートで 1 位を獲得。ドノヴァン・フランケンレイターやコリーヌ・ベイリーレイのオープニングアクトを務め、Chloe や VALENTINO のパーティーにてパフォーマンスを披露するなど、多方面から注目されている新進女性アーティストである。