クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.24
テクノロジー
2017.06.16

「デジタル」と「リアル」の 融合の先にある世界とは

ゲーム作品として1996年発売以降、数多くのファンを魅了し続け、累計販売本数7,700万本超を記録するサバイバルホラーゲームの代名詞『バイオハザード』シリーズ。ハリウッド実写映画からミュージカル、舞台まで広く展開する中で、『バイオハザード』シリーズの世界観をもとに、ハイクオリティCG技術で描くフルCG長編アニメーション映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』が2017年5月27日より全国公開される。原点回帰として改めてゲームシリーズの世界観に通ずるホラー要素に力を入れているという。今回、制作陣に実写・アニメ・CG各界の著名なクリエイターと共に、最前線の技術を結集した作品について、原作監修を手掛けるカプコンの小林裕幸氏に話を伺った。




原点回帰のホラーとアクションの融合

バイオハザードシリーズは、もともと「サバイバルホラー」を牽引する存在となったゲームを起点として、CGアニメ映画・実写映画・舞台など複数の方法で展開してきた。実写映画作品では登場キャラクターも原作と異なる。ミラ・ジョヴォビッチ演じる主人公のアクション演出に注目が集まるが、ゲームシリーズではホラーゲームの要素が色濃い。今回のヴェンデッタでは、原点回帰としてホラーの要素を大事にしているという。そして、監督を務める辻本氏のアクション表現の強みを活かすことによって、作品の前半はホラー色が強く、後半はアクションに力を入れた仕上がりとなっている。


20年以上に渡って作り上げたキャラクターの「世界観」

フルCGアニメ映画版では、原作ゲームの登場キャラクターを引き継ぐ形で原作の世界観を表現している。メインキャラクターは作品内で登場する対バイオテロ組織「BSAA」に所属するクリス、元ラクーン市警の特殊部隊「S.T.A.R.S.」の一員で現在大学教授のレベッカ、新型ウイルスに関わる事件をよく知るアメリカ大統領直轄のエージェント組織「DSO」所属のレオンだ。1996年から現在に至るまで20年もの年月の中で、その世界観やキャラクターを支持するファンも多い。今回、ヴェンデッタの制作にあたり長年のゲームで培った「キャラクター像」と先端技術を駆使して表現する「リアル」を突き詰めることのどちらをも実現させるため、制作の舞台裏では表現方法への細かな配慮がされていることが分かる。
小林氏「クリスは硬派で正義感が強く、レオンは実力があるが軟派なイメージ、レベッカは今回ヒロインとして描いています。ゲーム中で登場するレベッカは18歳の設定で女の子というイメージでしたが、今回は時系列を踏まえて30歳前後の設定になっています。大人になったレベッカの、成長も見てもらいたいという気持ちを込めました」


先端的なCGと実写の技術を融合させる

制作面において、CGアニメーションでは髪の毛の揺れ方や顔の絶妙な表情の変化などの表現が難しいと言われてきた。今回、先端的なCG技術を結集し制作された本作品であるが、リアルさを極めたビジュアル表現の中で、どのような苦労があったのだろうか。
小林氏「髪の毛は風が吹くシミュレーションを用いることで揺れる表現もしやすくなりました。ただ、カメラワークやライティングによって顔のイメージが変わるので、そこは毎回苦労しますね。表現の難易度はキャラクターによって変わります。クリス・レオン・レベッカに関しては、すでにファンが付いていることもあり動かすときに表情が崩れないよう検証しました。修正方法も、ライティングを変えるのか、それともレタッチをするのかなどその時によって変えています」
CGを制作する際、形ができている段階から作り上げるケースと一から作り上げるケースがあるが、今回は全て確立されたキャラクター像がありながらも、一から全て手作業で作り上げたという。
ゲームの場合、キャラクターにリアルタイムで動きを反映させるので、リアルタイムレンダリング(※1)が必要になる。一方、映画は一枚絵なので、一度書き出してしまえばデータが重くても動かすことが可能だ。技術の発達に伴いリアルな表現の幅も広がっているが、一方で実写映画のノウハウも必要になる。
小林氏「昔は全て手で描いていたのですが、モーションキャプチャーが出てきて役者さんを使うとなると、実写のようにキャスティングして演出をつけていくんですよね。いずれ、プロの映画監督に入ってもらったり、アクションができる役者を使ったりしていくと、実写映画の制作へと寄っていくように思います」

(※1)ゲームやシミュレーションなどリアルタイムで生成されるCGのこと。


株式会社カプコン
プロデューサー/小林裕幸
1995年、カプコンにプログラマーとして入社。ゲーム『バイオハザード』、『ディノクライシス』などの開発に携わった後、『バイオハザード』シリーズ、『戦国BASARA』シリーズ、『ドラゴンズドグマ』シリーズなど、様々なタイトルのプロデューサーとして、企画部分からプロモーションまで手がける。ゲーム以外にも映画『バイオハザード』シリーズ、TVアニメ「デビルメイクライ」、TVアニメや舞台、実写ドラマなど多岐にわたって展開されている『戦国BASARA』シリーズにも参加している。