クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.26
テクノロジー
2017.08.17

グローバル・オープン・イノベーションが創る未来

残間光太朗×VERBAL×サッシャ(MC)
NTTデータ 残間氏、VERBAL、サッシャ (ラジオDJ)によるトークセッション「グローバル・オープン・イノベーションが創る未来」。冒頭で、青いハッピを羽織り、東京音頭を歌う残間氏が印象的であった。大手企業で働くビジネスパーソンでありながら、アカペラ歌手の一面も持つ残間氏とINNOVATION WORLD FESTAのミュージックプロデューサーVERBALが ITを使って音楽をデザインする。


日本の音楽ビジネスは国内で完結してしまう

世界のイノベーション事情に詳しい残間氏は、イノベーティブな取り組みに対する海外と日本の積極性の違いに焦りを感じたという。国内外で活躍するVERBALは、日本の音楽ビジネスをどのように捉えているのだろうか。
VERBAL「海外と日本の音楽ビジネスは、システムが違います。海外は、基本的に国内外がマーケット。それに対して、日本は国内でマーケットが完結してしまうのです。例えば、日本は楽曲の著作権をスポンサーに譲渡することが一般的ですが、海外ではアーティスト自身が著作権を所有しています。このシステムの違いを国内外のアーティストに説明するためにかかる時間をもっとクリエイティブのために費やしたい。もう世界はメッセンジャー1つでコラボレーションできる時代なのです。日本もよりシステム化できれば新しいイノベーションが生まれるだろうと思っています」


ITで音楽ビジネスをデザインする

近年、音楽を楽しむスタイルはCD購入からオンラインでアクセ   スすることへとシフトしている。 国際レコード産業連盟によれば、2015年に初めて世界のデジタル音楽の売上(45%)が音楽ソフト(39%)を上回り、翌年50%を占めている。一方、2016年の日本レコード協会の発表によれば、デジタル音楽18%、音楽ソフト82%と世界と逆転している。このガラパゴス化(※1)した日本市場を、ITを使ってどうデザインできるだろうか。世界のベンチャー企業を多く知る残間氏がそのヒントを提案してくれた。
残間氏「著作権に関しては、ブロックチェーンを活用すればグローバルに効率的な管理・運用が可能になります。既にそんなソリューションの芽が出始めているので、VERBALさんがもっと音楽に集中できる世界が目の前に来ています。また、音楽やライブをもっと楽しんでもらう仕掛けとして、トロントのSoundpays Inc.が提案する、人には聞こえない超音波を発信してスマホに情報を送信し、広告表示や決済につなげるソリューションもあります。例えば、コンサート会場でもスマホが超音波を検知して、その場で気に入った商品や曲を購入できます」
VERBAL「フェスでも汎用性がありそう。衣装や新曲など、あとでチェックしようと思っていたものが、その場で買えるというのはとても新しいです」

(※1)日本で生まれたビジネス用語のひとつ。孤立した市場で最適化が進むと、外部との互換性を失い取り残されるだけでなく、適応性・汎用性が高く、低価格の製品・技術が外国から導入されると淘汰されるという、ガラパゴス諸島の生態系になぞらえた警句のこと。


いまこそパラダイムシフト

日本の音楽ビジネスは、握手券付きや通常盤・初回盤など工夫を凝らし、国内で成立する仕組みを作ってきた。そのCD販売力は世界でも評価すべきものだろう。しかし、より市場を拡大するためには、世界基準のシステムを採用し、世界にキャッチアップできる環境を整える必要がある。今、音楽ビジネスにもオープン・イノベーションの発想が求められている。