クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.45
テクノロジー
2019.02.13

「感動」をリアルタイムで共有出来る写真共有サービス

「映え」写真がスマホを飛び出し、
大スクリーンで共有される時に感動が生まれる

POINT
✔イベント会社社員として現場で感じた「こんなサービスがあったら」がきっかけでIT業界へ転身
✔IT知識0からのスタートで、独学でエンジニアになりIT系スタートアップを起業
✔結婚披露宴で撮影する写真を、リアルタイムで全員が共有出来るサービスをローンチ


人生の一大イベントに当たる結婚式。家族や友人、仕事仲間、取引先など多くの人が祝福する中、幸せの瞬間を残そうと皆がスマホを片手にタイミングを伺う。見逃したくない瞬間、その場に居る皆でリアルタイムに共有できたら、どれくらい幸せが広がるだろうか?自分のスマホにある最高の瞬間が、瞬時に皆へ共有出来るサービスは、2018年11月にリリースされたウェブアプリ「Livecanvas」。サービスを立ち上げたのは、もともとはIT知識0のイベント会社勤務の会社員だった。独学でプログラミングを習得しサービスを立ち上げるまでになったパークス株式会社代表取締役の大國谷 文秀氏へ話を聞く。

有りそうで無かった「皆が撮った写真をその場でリアルタイムにシェア出来ること」

−リアルタイムスナップシェア「Livecanvas」は、どのような経緯で生まれたのでしょうか? 
大國谷氏「もともと私は、大学卒業後に新卒でイベント会社に入社し会社員をやっていました。その会社は、空間デザインや、イベント企画・運営などを行っていましたので、展示会が多かったです。私も現場に出ることが多かったのですが、ちょうどiPhoneが出てきたタイミングと、iPadを使ったプレゼンテーションを行う機会が増えてきた頃でした。そういったデジタル環境が変わってくる中で漠然と『IT技術が必要だな』と思うようになりました。当時の私は、IT知識は0で、もちろんプログラミングの知識も0でした。そして24歳で会社を辞めて1年くらいプログラミングスクールに通いながら独学でも勉強していました。しかし、座学では身につかないなと思うようになり、知り合いに仕事を紹介してもらいスキルを実践で身につけながら、当時のメンバーと設立した開発会社などを経て、フリーランスとして活動を始めました。サービスの開発はフリーランスになってから、ITに関わりながら自分のバックボーンとしてあるリアルイベントの経験があることで、『リアルに紐付いたITサービスを作れたらな』と思い、開発を始めたのがきっかけです。請負での開発の仕事を進めながら、このサービスを開発していたのでトータルで2年くらい開発にかかっているのですが、請負う仕事の中からイメージを膨らませたり、技術的な応用を考えたりしながら開発を進めることができました。具体的なイメージづくりとして、友人の結婚式に出たときに感じた写真共有の内容とのリンクがあってリアルタイム通信の仕組みを使ったサービス内容が固まりました。リリースに関しても結婚式で使うことをイメージしていたので、『良い夫婦の日』の11月22日をリリースしようと決めていました」

−どのような機能があるのでしょうか?
大國谷氏「一つのスクリーンに繋がっている人たちの間で、スマホから会場のスクリーンに向けて写真共有ができて、「いいね!」することもできます。演出機能を2パターン用意していて、投稿してもらった写真でモザイクアートに仕上げたり、ハートにしたりすることができます。今のところ2パターンですが、今後増やしていければと考えています」

リアルタイム通信は、LINEなどと同じ技術手法で実現

−スマホをフリックしてリアルタイムにスクリーンへ映すことが出来るのはどのような技術を使っているのでしょうか?
大國谷氏「これはリアルタイム通信が必要になりますので、『ウェブソケット』という技術を使っています。例えば、LINEアプリを使っている時にアプリを開いていなくてもメッセージがどんどん受信されていくと思うのですが、そこで使われている技術に近いものになります。これは通信を繋ぎっぱなしにしておくことで実現可能になるものです」

−その技術を実現するために大変だったことはありますか?
大國谷氏「ソケット通信は未経験だったので大変でしたね。Livecanvasは、ウェブアプリとして作っていて運営側がスクリーンをコントロールするための『リモコン』、『投稿』、『スクリーン』の3つに大きく機能が分かれていてURLも3つに分けています。それら3つのURLを連動させなければいけなく、その調整が一番大変でした」

外国人観光客も思い出になる

−利用シーンとして結婚式以外にどのようなことを考えていますか?
大國谷氏「主な利用シーンとしては、披露宴や二次会などですが、ファッションイベントやライブなども演出の一つとしてイメージし易いように考えています。広告展開などへの発展も考えられると思っているのですが、単純にファッションブランドのイベントなどで撮影して大型スクリーンに映すとサンプリングがもらえるなどが考えられると思います。また、ショッピングモール内のサイネージへの展開として、テナントの各ショップのスタッフがコーディネートを投稿するような企画も考えられます。ショップの宣伝を、いわゆるインスタ映え写真がリアルタイムに外へ飛び出ていくようなものですね。そこからの応用で、外国人向けに街中のモニターに自分が投影されるような仕組みも考えています。誰でも投稿できてしまうと問題が発生することも考えられるので、オペレーションを考える必要はありますが、観光の思い出の一つとして提供出来るような演出を現在考えています」

−尚、ビジネス的にはどのように展開を考えているのでしょうか?
大國谷氏「基本的にBtoBで営業をかけていこうと考えています。第一のターゲットがブライダルになりますので、披露宴会場や二次会場となるようなところになり、代理店のような形で販路を作りたいと考えています。販売いただいた場合は、ライセンスマージンのみをこちらでいただく形にして、代理店となるところへはしっかり利益を確保いただくように考えています。あとは、企業広告やPRなどで別途プランでの収益構造を考えています。ブライダル業界で実績を作れたら、横展開として他業界へ広げていければと思っています」

編集部の視点
写真共有としては、クラウド型のものは既に存在していて必要な写真データをダウンロードできるサービスはいくつもある。しかし、リアルタイムに写真を投稿し皆で共有でき感動を生み出すサービスは、なかなか見かけない。有りそうで無かったサービスではないだろうか。リリース直後であるため、機能自体はシンプルな仕組みとなっているが、今後、SNSと連動するようなインフルエンサーを起用した企画などもサービスとして大きなポテンシャルを持っているように感じる。


大國谷 文秀  Fumihide Okunitani
パークス株式会社 代表取締役
東京都葛飾区立石出身。
千葉大学工学部デザイン工学科卒業後、空間デザイン・イベント運営会社にて空間設計・デザインやイベント運営などに従事。その後、WEBプログラミング・システム開発を学び、WEBシステム開発会社にてSNSやマッチングサービス、ECサイトや業務管理システムなどのプロジェクトに携わる。フリーランスを経て、現在はパークス株式会社を立ち上げ、みんなが撮った写真をその場でリアルタイムにシェアできる参加型スマホサービス『Livecanvas』の開発・運営を行っている。