クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.45
テクノロジー
2019.03.15

テーマで選ぶ、かんたん投資「フォリオ」

個人投資家の潜在人口は2,000万人
カートに入れる感覚のショッピング投資で普及が進む

POINT
✔日本では個人投資家の潜在人口は2,000万人居ると見られている
✔生活に根付いた投資手法で、一般カスタマーの投資リテラシーを向上化
✔自分の時間を売る副業ではなく、お金に働いてもらう副業の文化づくりをしたい

世の中の多くの人が、「投資」に関して意識があまりないかもしれない。それは、難しそうというイメージや自分とは違う経済圏の人たちがやるものというイメージが強くあるからではないか。しかし、今後の日本の発展を考えていくと、少子高齢化による年金不安、終身雇用の減少による退職金懸念など、将来のお金に関する不安要素は大きい。つまり、将来のキャッシュフローイメージが崩れつつある。資産運用の考え方として「お金に働いてもらう」と言われているが、お金に働いてもらうというのはどういうことなのか。そこに目を付け、一般カスタマーでも入りやすい証券サービスを立ち上げたスタートアップがある。人気お笑い芸人がCMをやったことで目をひくサービス「テーマで選ぶ、かんたん投資フォリオ」とは?フォリオCEOの甲斐氏が、金融立国に向けた構想を話してくれた。

既存の投資家ではなく、潜在人口2,000万人の生活圏人口を対象とすると「テーマ投資」に行き着いた

−はじめに、フォリオサービスをリリースするに至った経緯を教えていただけますでしょうか?

甲斐氏「2015年上旬頃に海外のフィンテックに興味を持つようになりました。当時の日本では『フィンテック』という言葉が根づいてない頃でしたが、米国でフィンテックのうねりが強くなってきている状況を見て、間違いなく日本にもそのうねりはやってくるだろう思っていました。私は2006年から証券会社で働いていたのですが、前々よりフィンテックの領域で証券会社が作れたら面白いだろうと考えていました。フィンテックを深堀りしていくと、とても可能性を感じられたのは、フォリオを始めるきっかけになっていると思うのですが、日本では先進国でありながらも個人投資をしている人口率はあまり高くありません。しかし、潜在人口としては2,000万人ほどいることが見えました。そこで、既存の投資が出来ている人たちを対象にするのではなく、今まで投資ができていない人に対して提供できるサービスが良いのではないかと考えました。つまり、自分で投資ができている人に対して新しいツールを出してもそれほどの大きなインパクトや投資人口が増えるというような効果は高くないと思ったのです。それよりも、まだ投資をやったことがない人たちを0から1に持って行くほうが、インパクトはあるように思いました。社会的な意義を考えても、日本が元気になるだろうし、個人が資産運用を覚えることで老後の資産形成が出来るようになると、とても価値が出るのではないかと感じました。このようにストーリーを考えていくと、一つの方法としてできる限り、『証券サービスを生活の中に根づかせる』必要があるなと思ったのです」

テーマをカートに入れてショッピング投資体験を提供

−既に投資を行っている経済圏の人とは反対の「生活圏にいる人たち」と「投資」をどのように交わらせたのでしょうか?

甲斐氏「私たちが生活圏にいる人たちへ寄り添う必要があるだろうなと思い、生活に根付いているニッチな産業を洗い出していった結果、『テーマ投資』に行き着きました。更に、一般の人がウェブで買い物をする時に『商品をカートに入れて』ショッピングをすると思うのですが、私たちが用意したテーマ投資は、テーマをカートに入れてショッピング感覚で投資が出来るようにUI設計を行っています。このような設計は、一般的な証券取引では存在していません。経済圏ではなく生活圏に寄り添うサービスにする必要があると考えています」

−では、テーマ投資とは具体的にどのような機能になっていますでしょうか。また「10万円」前後という金額設定に裏付けなどあれば教えてください。

甲斐氏「テーマ投資とは、顧客が好きなテーマを選んで投資を行えるのですが、それぞれのテーマはフォリオで選定した10社の有望銘柄(企業)で構成されており、1テーマ10万円前後から投資が出来るようになっています。この10万円ですが、10社にうまく分散して効率的に投資するための最低額ではないかと考えています。気軽さを重視したら1円からかもしれないですが、分散効果と金額のバランスを考慮して、10万円前後に設定しています。尚、現在フォリオでは約90のテーマを用意していますが、投資テーマの人気に差はあるものの、全く買われていないテーマはありません」

−テーマ投資とは別にロボアド「おまかせ投資」とはどのようなものでしょうか?

甲斐氏「投資には、アクティブ型(※2)、パッシブ型(※3)があるのですが、先に説明しました『テーマ投資』がアクティブ型になります。「おまかせ投資」は、パッシブ型に位置づけられます。これは、顧客の年齢、年収、預貯金の情報を元に、リスク許容度に従って運用プランの提案をしれくれて運用を全自動で行うものになります。長期で運用していくのに向いています。一方のテーマ投資はアクティブ型で、顧客が自ら選びながら資産運用します。自身の投資リテラシーを上げて行きたいという思いがある人はテーマ投資をおすすめしますし、忙しい人にはおまかせ投資が合うかもしれません。但し私たちは、プラットフォーマーなのでアクティブ型・パッシブ型両方のサービスを提供することが大切だと考えています」

(※1)FinTech(フィンテック)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語
(※2):アクティブ型は、一定のベンチマークを基にして、ベンチマークよりも運用成績が上回ることも目標にした運用
(※3):パッシブ型は、ベンチマークにおける値動きと連動させるように運用を行う

自分の時間を売る副業とは別に、「お金に働いてもらう」という資産運用の考え方を根づかせたい

甲斐氏「日本という国を俯瞰して見た時に、『少子高齢化』は大きな課題の一つだと思います。数十年後の将来、給付される年金は減ると考えられます。また、終身雇用の減少によってこれまで数千万単位で支給されていた退職金なども減っていくと考えられます。そこをどう考えていくのか?一つの解決策として『金融立国』として確立することではないかと考えています。潜在人口2,000万人が見えているわけですから、新しい投資家を作り将来のキャッシュフローが見えてくることで、今あるストックを最大化出来るかもしれません。現在、働き方改革で『副業』というキーワードが出ていますが、自分自身の時間を売る副業ではなく、資産運用の考え方である『お金に働いてもらう』というものが根付けば、もっと豊かになるのではないかなと思っています。おそらく、そういった世の中に向けて変わってきたなと実感するのは、2,000万人の半分の1,000万人が口座を持つ金融サービスになった時だと思います。キャズムを超えるというか、投資人口が増えると、国も個人も元気になるのだろうなと思えるのです」

編集部の視点
戦後70年を超え、経済大国になった日本では次の時代に向けての転換期にある。それは、少子高齢化という世界をも注目する大きな課題を日本がどう乗り越えていくのか?「働き方改革」というわかりそうで不透明度の高いこの言葉に込められていることを、「働く」ということはどういうことなのか、それぞれ個人で本質的に考えなければいけない時期に来ている。「お金に働いてもらう」ということがどういうことか。このリテラシーが上がるとき、次の時代がやって来る時なのだろう。


甲斐 真一郎 Shinichiro Kai
株式会社フォリオ 代表取締役CEO
京都大学法学部卒。
2006年、ゴールドマン・サックス証券に入社し金利デリバティブトレーディングに従事する。
2010年、バークレイズ証券に転籍しアルゴリズム・金利オプショントレーディングの責任者を兼任する。
2015年11月に同社を退職し株式会社FOLIOを創業。12月より現職。