2016/08/30 | TIEUP | 46view

毎年20万人を魅了! 若手花火師が語る HANABIクリエイティブ

徳川家康や将軍家の間で始まったとされる(※諸説あり)日本の花火は、「夏の風物詩」として美しくも儚いその姿で多くの日本人の心を魅了する。花火師の手によって夜空を彩るその姿はまさに、侘び寂び文化であり一つのクリエイティブである。今回は、毎年開催され20万人を魅了する山梨県市川三郷町「神明の花火」を手掛けるマルゴー齊木氏へ話を聞いた。




日本の花火の始まり

日本で最初に花火を目にしたのは、イギリス人が中国製の噴出花火を披露した相手である徳川家康と言われており、8代目将軍吉宗の時代に疫病による多数の死者の慰霊と悪病退散祈願のため、水神祭が行われた時に花火をあげたのが始まりとされている。


花火師たちによる日本花火クオリティの引上げ

花火は花火師の手によって丁寧に作られ、その世界は 「職人」 というイメージが大きいだろう。しかし、現代の花火師は「クリエイター」要素がとても大きい。

齊木氏「私も34歳なのですが、30〜40代の若手花火師が増えてきています。今はコンピュータを使えないと演出が出来ないということもありますし、創作するという意味でもクリエイター要素は大きいかと思います」

昔ながらの文化を大事にしつつも、日々クオリティを上げていくためにどのような努力をしているのか。

齊木氏「もちろん他の人が作った花火を実際に見に行ったりもします。私は色使いを見るのですが、それは配合具合によって同じ色でも濃く出るのか薄く出るのか変わってきます。他の人が作ったのを見て真似出来るものでもないのですが、打ち上げてみないと想像通りに出るかどうかは分からない部分もあったりで、そこは大変難しい技術だと思っています。あと最近ではYouTubeなんかも見るようにしています。花火は  “感性"に直結する部分が多いので、ミュージカルなども観に行ったり、感性を磨くようにしています」


進化系の平成花火とは?

齊木氏は音楽と花火を融合させた演出を手がけているが、具体的にどのような創作をしているのか。

齊木氏「初めに理想の花火演出があり、それを表現出来る音楽を決定します。そこに合わせて音楽の抑揚でポイントとなる時間を逆算します。点火してから8秒後に空であがる時間も考慮して音楽に合うよう点火専用ソフトをプログラムします。“8秒"という時間は花火を作る工程部分の手作業に左右されるため、どれだけ正確に手作業で時間を作れるか? という職人技術が問われます。アナログからデジタルの寄せ方はとても難しい部分だと思います」


2020年に目指す花火クリエイティブとは

オリンピック開催時期と花火の時期は重なる部分があることで、2020年のオリンピックに向けて 「日本の花火」を海外の人へどう表現したいと考えているか。

齊木氏「花火を直訳すると“FireWorks"になります。日本の花火は、慰霊祭から始まっていて“侘び寂び"の精神が強いです。一方、海外では独立祭や春節などお祝いを派手に行う文化が強いです。もともと、花火自体の用途をはじめ文化が違うものなので、“HANABI"という固有名詞として海外へ広まってくれると良いなという思いはあります。また、花火業界として“安全第一"という活動は活発なのですが、クリエイティブとしてどう花火文化を世界へ伝えていくかというのはなかなか追いついてない部分もあるので、2020年オリンピックに向けてその辺りで一歩踏み出せると良いのですけどね」


■株式会社マルゴー/常務取締役 齊木 啓介
〒409-3601 山梨県西八代郡市川三郷町市川大門4411
TEL:055-272-0281 FAX:055-272-0216




HANABI making

1. 配合
酸化剤、色火剤(色や音を出す薬品)、助燃剤(燃焼を促す薬品)を混ぜ合わせる。これによって花火の色や濃淡、音などが決まる。

2. 星掛け
星と呼ばれる球状の火薬の層を作っていく。ミキサーで水練りした火薬を回転釜を使い、丸く均一になるようにしていく。

3. 星乾燥
星を乾燥室や天日でしっかりと乾燥させる。種類や大きさによって、星掛けと乾燥を何度も繰り返しながら調整していく。

4. 玉込め
導火線のついた半球状の玉皮に星を隙間なく詰める。中心には花火玉を破裂させるため割薬を詰め、同じように作った2つの半球を左右から合わせる。

5. 玉貼り
半球の合わせ目を紙製のテープで貼り、クラフト紙を玉の表面に厚みが均等になるよう貼り付ける。

6. 花火玉乾燥
乾燥室や天日でしっかりと花火玉を乾かして完成。




編集部の視点
線香花火の一生

打上げ花火において「色の創り方」を齊木氏より聞けたことで、とてもクリエイティブな視点で花火を見ることができた。また、誰でも購入出来る「線香花火」にもクリエイティブな演出が詰まっていることが分かった。僅か「0.08g」の火薬量に込められた線香花火は短い時間ながらも様々な表情を見せてくれると思うが、実は5つのエピソードから成り立っている。

1.蕾(つぼみ)「点火すると同時に宿る命」
2.牡丹(ぼたん)「力強い火花が散る青春時代
3.松葉(まつば)「家族、仕事…いろいろな幸せが次々に重なる壮年期」
4.柳(やなぎ)「世のため人のため最後に一花咲かせる熟年期」
5.散り菊(ちりぎく)「やがて…美しい散り際をみせて静かに人生の幕を閉じる」

日本の夏を象徴する「花火」というクリエイティブをあらゆる視点で紐解くことで、目の前にあるクリエイティブ課題の解決に向けて応用や転用が出来るように感じた。


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