クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.24
TIEUP
2017.06.16

システムが旅先を決めてくれる「どこかにマイル」 「時間短縮系」でビジネスパーソンの手間を開放する

BTL前号では、マイルにおける航空会社の課題と顧客の期待から新しいチャレンジとして生まれた「どこかにマイル」の概要について紹介した。JALにとっては、顧客がマイルを使用することによって空席が充当されたことは成果として大きく、顧客にとって通常の半分である6000マイルで旅を楽しむことが出来るようになったことのリーズナブル感は大きい。そして「旅先をシステムが決めてくれる」という今までにない感覚は、新たな気づきを得られたのではないだろうか。
テクノロジーと発想の転換の掛けあわせで現代の多様化されたニーズへ切り込む「どこかにマイル」は、顧客にどう受け入れられたのか。日本航空 路線統括本部マイレージ事業部アシスタントマネジャー馬場氏に話を聞いた。



「どこかにマイル」が動かす顧客の旅への動機と事情

「どこかにマイル」は、マイルを保有する顧客それぞれが持つ旅への動機や事情を動かす力があるのではないかと考える。それは、「旅先を決めるのが面倒」「旅の情報がありすぎて迷って決められない」「もっと気軽に旅を楽しみたい」「マイルの有効期限が迫っている」などがあるだろう。
そういった顧客の旅への動機や事情、更には考えなければいけない時間から開放されるように、「ガチャ」感覚でボタンを押すと、数日後には行き先が決まってお知らせしてくれる。時間に追われる現代人にとってとても画期的な旅のシステムになるのではないか。
馬場氏「旅に関するサービスは、多様なニーズに答えるためにオプションプランを多く用意していたのが、昨今の一般的な流れだと思います。しかし、どこかにマイルの考え方はその真逆で、どこに行くかは4分の1の確率で決まります。どこかにマイルによって、自分自身のニーズを掘り起こしながら旅をカスタマイズしていくスタイルから、そういった手間や時間からのちょっとした開放感が生まれるのでは、と思います」


「行ってみたい」と思うシンプル且つ直感的でわかりやすいビジュアルイメージ

手間や時間からの開放という視点で考えると、4つの候補地を見て顧客が申込ボタンを押すかどうかで行き先が決まる、シンプルな作りのサイトである。そして、利用した顧客のSNS上での書き込みやブログなどを見ていると、幾度かの再検索から表示される4つのビジュアルイメージから直感的且つ感覚的に決めている声が目立った。
馬場氏「旅のあり方を考える際に、代表的なのは名所・旧跡、温泉、  グルメの3つがあります。また、JALのこれまでの知見になるのですが、何かを説明したり表示したりする場合は3ステップが良いというのがあった関係で、1箇所につき3枚の画像をスライドショーできるようにしました。旅の醍醐味として各地の四季を感じるところもあると思います。システム的な裏の仕組みとしては多くのビジュアルデータを保管していて、その中から季節に合わせて表示させるようにしています。また、再検索に関しては、システム負荷等を考慮して1日の再検索の回数限度は設けています」


多忙なビジネスパーソンへ拡がりを見せる「どこかにマイル」

サービス開始から4カ月、利用ユーザーも続々と増えている。そして、マイル保有層のどのあたりが「どこかにマイル」を利用しているかという範囲も出つつあるという。多忙なビジネスパーソンの時間の使い方を、新しいアプローチにより可視化されることになる。
馬場氏「当初、どこかにマイルが受け入れられるのは、6000マイルを持っていることはマスト条件でありますが、旅をするための時間とお金に余裕がある方々であれば、幅広く受け入れていただけるのではないかと考えていました。しかし意外だったのが、バリバリのビジネスパーソンへも拡がりがあることです。そういった方々は、旅を決めるうえで自らの価値観を明確にお持ちだと思っていましたが、単純に『安いマイルで行けて楽しいじゃん』と受け入れられて、当初の想定よりも層が広かったことはサービスを始めてみて分かったことです」



編集部の視点

「旅先をシステムが決めてくれる」という、ありそうでなかった新しい企画。旅先に限らず、実は他にも誰かが決めてくれることで手間や時間が開放されるシーンはあるのではないか。今後、人間がやるべきこととシステムへ任せることの切り分けが、AI(人工知能)の進化によって明確になっていくと考えられるなか、「どこかにマイル」の仕組みは多様化社会におけるイノベーション創出の先鋭的ポジションになるように感じた。