クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.28
TIEUP
2017.10.16

空を泳ぐジンベエザメが見られる新ジンベエジェットで「VR(Virtual Reality)体験」へ


BTLでは2回にわたってJTAの沖縄におけるJALグループとしての取り組みを特集してきた。JTA特集最終回では、就航以来、人気を博す「ジンベエジェット」に着目。11月上旬に新ジンベエジェットが就航するにあたり、機内での新たな体験のサービスも開始する。その取り組みプロセスを、JTA 路線事業部 大城氏が話してくれた。



沖縄美ら海水族館の人気者『ジンベエザメ』が機体にペイントされたジンベエジェットは、沖縄観光を盛り上げる事を目的として同水族館とJTAのタイアップとして2012年12月に誕生した。ジンベエジェットは、老若男女に支持され、空港ではカメラを向ける利用者も多く、SNSでの評判も良い。しかし、JTAが2016年から進めている機材更新の関係で、現在のジンベエジェットは今年度内の退役が予定されている。現行ジンベエジェットの退役を機に、今年11月にボーイング社から新調する機体を新ジンベエジェットとすべく企画を考えることになった。

ジンベエジェットの課題

人気のジンベエジェットではありながらも、常にサービス向上を考えるJTAとして課題も抱えていた。新ジンベエジェットの企画を進める上で、多くの試行錯誤があったようだ。
大城氏「ジンベエジェットは、外から見る分にはその存在感からすごくワクワク感があって、空港で多くの方に写真を撮っていただけています。また、JAL公式フェイスブックは現在『162万いいね』ほど頂いているのですが、なかでもジンベエジェット関係の投稿へのいいね数は、他の投稿よりも多くいただいていて人気の高さを感じています。しかし、機内に関しては他の機材と大きくは変わらないので、いったん乗ってしまうと特別感が少ないのです。ヘッドレストカバーと紙コップはオリジナルの仕様にしており雰囲気は出しながらも、もっと『特別な体験をさせてあげたい』という思いを持っていました。例えば、搭乗すると壁全面に描かれた海の世界が見られるとか、カーペットを特別仕様にするなど・・・。しかし、それらは飛行機の部品をカスタマイズする必要があるので、膨大なコストがかかってしまうのです」

新ジンベエジェットは「機内でも特別感のある仕掛け」へ

膨大なコストをかけることは困難な中で、JTAとして実現可能な企画を練る。
大城氏「新ジンベエジェットでは、特別塗装の見た目だけではなく、機内も特別なものにしたいと考えていました。機材の運用上、ジンベエジェットを特定路線に固定しておけないため、これまでは『見れたらラッキー』のような存在でしたが、『乗れたらラッキー』という新しい付加価値を付けたいと思ったのです。乗れた人だけが特別なサービスを体験することができる「特別感」を、沖縄へこれから旅行に行く『ワクワク感』と合わせていこうと考えました」

空の上を泳ぐジンベエジェット(ジンベエザメ)と魚たち

空でVR体験『空の上を泳ぐジンベエジェット(ジンベエザメ)と魚たち』

そして、今の時代だからこそ実現できる先進的テクノロジーを使ったコンテンツが考えられた。ジンベエジェットに乗れる特別感、そしてワクワク感を大事にしたコンテンツは、話題性のある新しい体験型サービスとなる。
大城氏「機内体験においていくつかの企画案が挙がったのですが、最終的にVRコンテンツの企画で行くことになりました。VRはまだ体験した人も多くなく、またその先進さゆえに特別感も高まるのではないかと判断しました。機内Wi-Fiでストリーミング配信されるコンテンツが、オリジナルデザインを施したVRグラスに、お客さまご自身のスマホを装着して映像を観ることで、空の上を泳ぐジンベエザメや魚たちの幻想的な世界を体験出来ます。2分強のオリジナル映像のなかでも、ジンベエジェットがジンベエザメに変身するシーンは見所です。新ジンベエジェットに乗るからこそ体験できるコンテンツになっていると思います」
一般的にVRコンテンツは、専用アプリをダウンロードすることでその世界を楽しむことが出来る。但し、専用アプリは顧客が持つスマートフォンの機種に左右されることが多い。機内において、手軽にVRサービスを受けてもらうため、特にこだわった点を次のように話す。
大城氏「VRやARなど、アプリをダウンロードしなければ視聴することができないケースが多く、せっかくコンテンツを用意しても視聴に対するハードルがあると思っていました。今回はカナダのDiplloid社が開発した技術を用いてアプリをダウンロードすることなく視聴することが可能となっています。機内でVR専用のアプリをダウンロードすることなく、ブラウザベースで視聴できることは世界初のサービスとなります。また、視聴にご利用いただく簡易型のVRグラスは機内で無料配布しますが、視聴後はご自由にお持ち帰りいただけますので、ご旅行後、ご自身で見つけたVRコンテンツを視聴するのにご利用いただけます」
旅行後も、ジンベエジェットでの体験を手持ちのVRグラスを使って土産話として出来ることは、未体験の人たちへの興味喚起を促すことにもなるだろう。そして最後に、新ジンベエジェットを通してサービスの質の向上を目指すJTAとしての意気込みを話してくれた。
大城氏「ジンベエジェットでの特別な体験が旅の思い出として残って頂ければ幸いです。これからもワクワクする仕掛け、あっと驚く仕掛けを提供していきたいです」

JTAオリジナルVRグラス

編集部の視点

機材リニューアルとともに考えられた体験型新サービス。これまでの、搭乗してしまえば他の飛行機と変わらないところから、一足早く機内で美ら海水族館に来た感覚を味わえることは、旅行としての楽しめる時間が増えることでもある。飛行機の中という限られた空間で、現地へ向かうワクワク感を更に盛り上げてくれるVR体験施策は、新ジンベエジェットにふさわしい役割を担ってくれるのではないか。