クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.29
TIEUP
2017.11.16

「空腹を満たすだけ」は終焉 ファストフードも「健康」を目指す時代


食べ物を提供するということは、お客さまの健康に責任を持つこと
今年、モスは創業から45周年を迎えた。創業当初から変わらない『医食同源(※1)』の考えのもと、お客さまにとって最適なメニュー提案を行う。
永野氏「もともと創業者の考え方として、『食べ物を提供することは、お客さまの健康に責任を持つこと。ただ空腹を満たせれば良いというものではない。食べ物を提供する者としてせっかくなら体にとってバランスの良い物を』という考え方を大切にしています。『医食同源』という言葉も、社内では当然のことで、基本的な考え方ですが、外部へ発信するようになったのは、2011年2月にスタートした全国のモスバーガータウンミーティングがきっかけです。タウンミーティングは弊社会長の櫻田が全国47都道府県をまわり、直接お客さまと対話をしてご意見やご要望を頂き、経営へ活かすという取り組みです。そこでのご意見から実際に商品化されたのが、肉を使わないハンバーガー『ソイパティ』シリーズや、ミニトマトを使ったデザート『ベジジュエル  ミニトマトのジュレ仕立て』(※販売終了)など。そういった商品化の流れこそ、お客さまの健康志向の高まりだと受け止めています」
(※1)中国の「薬食同源」からきており、日頃からバランスの良い食事を取ることで健康的に生活をすること。

25%の減塩でも味を損ねない旨味成分
健康志向というところでは、「減塩」というキーワードもよく見るようになった。しかし、どれくらいの減塩なのかについて明記しているものはとても少ない。モスでは、「25%」という数字を明確にし、減塩を打ち出す。
永野氏「最近の日本人は、塩分過多になっている方が多いです。厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2015年版)』を見ても明らかで、1日に男性が目標とする摂取目安量が8.0gに対して10.8gの平均摂取量。一方、女性は1日に目標とする摂取目安量が7.0gのところ、9.2gの平均摂取量です。いずれも2g以上の塩分を多く摂っていることになっているのです。塩分の摂り過ぎは、高血圧、糖尿病を引き起こすことから、日本高血圧学会では毎月17日を『減塩の日』と制定し、減塩啓発活動を行っています。そうした動きや、また国からの要請を受け、モスとしては、『和風ドレッシング<減塩タイプ>』を昨年、開発しました。実は、25%の減塩(従来比)はとても難しいのです。通常は味が明らかに薄くなりますから、美味しさも損なわれてしまいます。そこで、鰹節と昆布で旨味をきかせることで、減塩でも美味しさを感じられる味に仕上げています」

「時間栄養学」の概念を取り入れたメニュー提案
更に、食事を摂る際に、食べる時刻や速度、食べる順番によっても栄養の効果は変わると言われている。モスでは、それらの考え方も考慮したメニュー展開を行う。
永野氏「今年の5月、時間栄養学を取り入れて朝食メニューをリニューアルしました。時間栄養学というのは、どんな食品をいつ、どれくらい、どのように食べるのが良いかを考え、取り入れることです。基本的に、朝はタンパク質を多めに摂取、お昼は自由に何でも良い。夜は眠るだけなので、脂質や糖質をひかえることが望ましいと言われています。モスでは、朝食としてバランスプレートを作り、卵やミートソース、パストラミポークを使用したミートエッグなどをメニューに追加しました」

編集部の視点
日本には、農林水産省と厚生労働省が決定した「食事バランスガイド」がある。それは、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品&果物などバランスの良い食事から栄養を摂取することで、生活習慣病(糖尿病、高血圧など)を未然に防ごうというもの。モスではそういったバランスを考え、全粒粉バンズやソイパティ開発、またバンズをレタスに変更して糖質、カロリーを抑えた菜摘バーガー、25%減塩のサラダドレッシングの提供を行う。ファストフードの業界において「健康的ファストフード」という概念の一石を投じることになるのではないか。

株式会社モスフードサービス
商品開発グループリーダー/永野 志津夫