クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.33
TIEUP
2018.03.15

コックピットと客室をつなぐ旅の手帳TRAVEL LOG BOOK


JAL機内のちょっとしたスペースに置かれている「旅の手帳」。そこには、その便を担当するパイロットのwelcomeメッセージが書かれており、それに対して乗客が、旅への想いなど自由にメッセージを書くことができる。「直接お客さまとつながりたい」という想いで有志のパイロットが始めたこの取り組みは、2017年から本格的にプロジェクトとして発足。旅の手帳の取り組みについて、プロジェクトメンバーである日本航空パイロットの3名に話を伺った。


左から有馬氏/浅野氏/飯田氏

一人のパイロットの想いから始まったプロジェクト
どのようなきっかけで旅の手帳のプロジェクトは始まったのだろうか。
浅野氏「お客さまがパイロットの存在を意識されるのは離着陸やアナウンスをする時だと思いますが、それ以外でもお客さまとのつながりを持てないかと予てより考えておりました。老舗旅館などにある思い出帳をヒントに、機内にノートを置きメッセージを書けるようにしたらどうだろうと、1冊目を試しに置いてみたのがきっかけです。実施してみるとお客さまから良い反応をいただけ、本格的にプロジェクトとして発足し、今に至ります」

乗客のメッセージから見えるそれぞれのドラマ
パイロットのメッセージは、その便のフライト情報や現地の観光案内など様々。パイロット自身が撮影した写真や手描きのイラストなどを使用して各々個性溢れるレイアウトになっている。
2017年1月から始動したこのプロジェクトは、まずパリ線とハワイ線で行われた。乗客からはどのようなメッセージがあったのだろうか。
浅野氏「ハワイ線に乗られたお客さまからは『初めてのハワイで不安もありますが、機長さんがどのように考えてフライトされているのかが分かり本当に安心です』というものや、『24回目のハワイです。親子三代での旅行は今回が最後になるかもしれませんが、全力で楽しみたいと思います』というメッセージもありました。そのようなお客さまの声を拝見すると、私たちがお客さまそれぞれの人生に携わることができていると感じます。旅の手帳は、よりお客さまと向き合うきっかけとなりました」
その後、2017年12月〜2018年1月は対象路線を拡大し、羽田発着のニューヨーク線、ロンドン線、パリ線でも行われた。
飯田氏「羽田発の路線を追加したことでビジネスパーソンからのメッセージを多くいただけました」
有馬氏「中には、大変緊張されてお仕事に向かっている方も乗られていることをメッセージを見て知りました。私たちの行動一つ一つがお客様にどういった影響があるのかをイメージしやすくなりました」
旅の手帳は現在、47冊になり、約1500件のメッセージが寄せられたという。その全てにそれぞれのドラマが見えてくる。


パイロット同士のコミュニケーションにもつながる
また旅の手帳を通して、同じ仲間のパイロットがどのような想いを持って仕事に取り組んでいるのかが、見えるようになったという。
有馬氏「お客さまとパイロットとのコミュニケーションはもちろんですが、パイロット同士のコミュニケーションにも一役買うツールになっていると思います。自身のペットの紹介や趣味などを書いているパイロットもおり、仲間の意外な一面が見られ、距離が近くなったと感じます」

浅野氏が撮影したwelcomeメッセージで使用する写真

編集部の視点
乗客によって飛行機に乗る目的やその時の想いは様々。その想いを見える化することで、パイロットは乗客をイメージしながら乗務にあたることができ、乗客もまた、今このパイロットが操縦しているのかという安心感が得られる。
スーパーなどで最近よく目にする、「この野菜は私たちが作っています」という作り手の写真とメッセージ。旅の手帳はそれに近い印象も受ける。誰が作っているか、どんな人が携わっているのかがわかることが、消費者にとって今重要なファクターになってきているのだろう。