クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.35
TIEUP
2018.05.14

リアルイベントで訴求する 未来のお客さまへのブランディング


多くの企業が、WebやSNSを活用したマーケティングやブランディングに試行錯誤しているのではないだろうか。日本航空ではリアルイベントへの参加を通して、デジタルとリアルの両方で顧客との接点を増やしていく取り組みを行っている。今回は、一昨年から日本航空が出展している都市型ダンスミュージック・フェスティバル「ULTRA JAPAN」のイベントに着目。JALの既存のイメージを刷新するようなイベント参加の目的やこれからの施策について、日本航空 Webコミュニケーショングループの春花氏に話を伺った。

リアルイベントへの参加のきっかけ
リアルイベントへの参加背景として、WebやSNSを活用した若年層へのアプローチがあるという。Webだけではなく、リアルな接点と絡めることによる相乗効果を狙ったコミュニケーションプランの構築を目的としている。
春花氏「我々が普段接するお客さまの年齢層は30〜50代の方々が比較的に多く、あまり航空を利用しない若年層との接点が少ないという課題感がありました。そこで、逆にこちらからお客さまのフィールドに飛び込み、非航空利用時での接点を増やそうと考えました。SNSとの親和性も高く、リアルな接点も持てるということでイベントへの出展を決めました」

JALとULTRA JAPANの共通点
様々あるイベントの中で、なぜULTRA JAPANを選んだのか。春花氏はJALとULTRA JAPANには共通点があると語る。
春花氏「自分自身がULTRA JAPANに参加したとき、あの場に来場されている方は皆、非日常の高揚感を楽しんでいるのだなと   肌で感じました。また同時に、JALも非日常の体験を提供していることとの共通点に気づいたんです。例えば、仲の良い友人といつもと違うところへ飛行機に乗って旅行にいく。そういった時に感じる非日常の高揚感と、ULTRA JAPANで感じたものを何か結びつけられるのではないかと思いました」


自分たちの武器を封印する
イベントのときに、大切にしているポイントは二つ。一つ目は、おもてなし。もう一つは企業の押し付けにならないようにすることだという。
春花氏「普段の我々のお客さまとのコミュニケーションのとり方だと、座席シートを展示したり、マイレージのカードをご紹介することが主流になります。しかし、このフェスの場では、それらは最適解ではないかもしれません。ついつい社内にいると、自分たちの持っている武器で何かできないかと考えがちですが、そうではなく、どうしたらこの場所・瞬間を楽しみつつ、JALと接点を持っていただけるかというのを第一に考えました」
また、イベントに参加する社員は、JALグループからボランティアで募っているという。ブランドが目指す方向に共感してくれた人が自ら手をあげ参加する。そうすることで、参加する側も押し付けではなく、心からのおもてなしができる。同時に、イベントに携われたという意識がインナーブランディングにもつながっていくようだ。

「共創」をテーマに次のステップへ
2017年度のJALブースには7,000人もの来場者が訪れ、SNSでも多くの反響があった。この先の施策をどのように考えているのだろうか。
春花氏「一度の接点だけでブランドを訴求できるわけではありません。次のステップとして、その方々が何に興味をもっていて、どのような行動様式なのかというところまで把握する。そして、相手のフィールドに飛び込んで一緒にカルチャーをつくっていく『共創』を テーマに次の施策を考えています」

編集部の視点
すぐに利用してもらいたい顧客に対してはマーケティングになるが、将来的に利用してもらいたい顧客へはブランディングが重要となる。こうしたリアルイベントへの参加は、未来につながる取り組みなのだ。その中で大事なのが、企業価値を押し付けるのではなく、いかに相手の領域で同じ目線で物事を見ることができるか。それが結果的にブランドの訴求につながっていくのだろう。



2017年ULTRA JAPAN JALブース
航空機に搭乗して非日常の世界へと飛び立つ高揚感を来場者に伝える 体験型ブース。尾翼をモチーフとしたモニュメントが設置された滑走路で、パイロットや客室乗務員が巨大なうちわで仰ぎおもてなしをする。