クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.40
TIEUP
2018.10.12

野菜づくりから農業の未来を考える


おいしいハンバーガーに欠かせない生野菜。モスバーガーは全国に約2,900軒の協力農家のネットワークを持ち、安全、安心な野菜を安定供給している。天候不良による野菜品薄状態のときもモスバーガーを助けてくれる協力農家。モスバーガーも農業の抱える課題に向き合い、一緒に取り組むパートナーとしての関係を築いている。0から今の農家のネットワークを作り上げることに尽力し、今はさらに日本の農業問題にも熱い想いを持って取り組むアグリ事業グループ佐藤氏に伺う。

同じ想いを共有できるパートナー
徹底的に品質にこだわるモスフードサービス。使用されている生野菜も、おいしい野菜を食べてもらいたいという想いを込めて作る農家をパートナーにしているという。
佐藤氏「スタートは欠品することなく、いつでもおいしくて安全な野菜を提供したいということから産地へ赴きました。外食産業の会社が実際に産地に行き、直接仕入れまでやるというのは当時としては稀なことでした。最初は農家さんとの関係性も無く、厳しい意見を浴びせられることも度々ありました。でも、スーツを着て革靴を履いた格好で名刺を配るのではなく、農家さんと同じ目線で本音で語り合い、時にはぶつかりあいながらもお互い理解を深め、少しづつ、価値観や理念が一致する協力産地を増やしていきました」
印象深いエピソードを伺った。
佐藤氏「僕がまだ20代のころ、九州のとある産地で開催される反省会に参加しました。レタスの切り口を押して弾力のある7部結球のレタスがほしいモスと、どうせ加工するのだから重い方がいいだろうとモスの品質基準を守ってくれない産地側。レタスの品質についてお互いの見解が合わず、話が平行線になってしまったんです。僕も若かったから熱くなってしまってその会議を中座してしまいました。でも、そのレタス産地の中で、何人かモスの基準を守ってくれている農家さんがいました。翌年、僕の呼びかけに応じてくれて、モスの事を理解してくれる農家さんが4名だけ残り、新たなチームとして取り組みを継続してくれました。その農家さんたちとは、冬場の主力レタス産地として、今でも深いお付き合いをしています」
モスバーガーの店舗スタッフは自分たちがお客さまへ提供する野菜がどのように作られているか産地へ訪問したり、農家さんも自分たちの作った野菜がどのようにお店で調理され、そしてお客さまに提供されるのかを店舗で実際に目にする。
佐藤氏「実際にお客さまが自分たちの作った野菜をおいしそうに食べる姿は協力農家さんのモチベーションにつながっていると思います」


アグリビジネスのこれから
協力農家たちとの関係は二人三脚、お互い困ったときには助け合う関係だという。
佐藤氏「昨年の冬、実はレタスが全然なかったんです。寒波の影響でレタスの出荷数が少ないと、1個500円にまでなる。そうなったとしてもモスさんは欠品させないと。値段とか関係ない、困っているんだから助けようと協力農家さんたちに助けていただきました。だから、逆の立場で、彼らが困っているときは助けてさしあげられるようにしたいなと思います。僕らは深いところまで農業に関わっていて、日本の農業の抱える問題も理解しているつもりです。耕作放棄地の問題、後継者の問題や販路拡大の問題、収入の確保など。課題に一緒に取り組むためにモスファームという農業法人を立ち上げました。資金繰りも含め、役員も出して深いところまで関わっています。当たり前の話ですが、国内で生産される野菜をモスで全て買い受けることは出来ません。ハンバーガーで使用できない小さなサイズのトマトを適正な価格で安定的に販売していきたいとの考えから、『モスの協力農家さん』というブランドを立ち上げ、モスのマークを付けて一部のスーパーでの販売を開始しました。現在は、レタス、枝豆、人参など、販売アイテムを拡げています。その他にも、全国のモスファームの農繁期を渡り歩いて農作業をサポートする、コントラクター会社のようなシステムをモスで作り上げたいと思っています。このように、モスフードとモスファームの主導で、知恵や力を出し合って新規事業として取り組み、僕らが日本の農業の諸課題を解決するけん引役になりたいと思っています」

産地同士をつなげる活動
MOS agri summit
店舗と産地だけでなく、産地同士をつなげる活動をはじめた。産地同士が直接情報交換をしてもらおうと「モス・アグリサミット」を開催。地域や農地によって技術や資材の違いもあれば、販路がなく困っているところと一方で作物が足りないというところもある。情報共有やつながりを産地同士で行える環境が生まれたことで、農業技術が向上し生産量が増加した。


産地チェック!
今ではGAP(Good Agricultural Practice)という安全な農産物を生産するための管理のポイントをまとめる基準があるが、15年前はそういった概念があまり浸透していなかった。当初は、モスの担当者と農家との個人的な関係で協力産地との取り組みが進んでいた感があったが、これでは社内の後継者が育たない。アグリ事業グループに新たに配属されたスタッフが何を基準に産地の良し悪しを判断するかの物差しが必要だった。そこで、モスでは、独自の産地確認システムを作成し、定期的に産地監査を行うルールを作った。これにより、生産者の野菜づくりの想いや理念を知ると同時に、想定されるリスクの対応策などを確認できるようになった。現在も新たな課題など継続的な改善を行っている。