クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.42
TIEUP
2018.12.13

【ニトリビジネス】「渋谷」から始まる流通革命 〜コンシューマとビジネスのシームレス化〜


2018年10月、渋谷公園通りの一等地にビジネス向けショールームをオープンさせたニトリ。これまでコンシューマ向け商品では、シーズン毎に主軸となる新商品を発売し、SNS等を中心に広がりを見せ、多くのファンを掴んでいる。多くの企業が、コンシューマ向けとビジネス向けでは広告手法を変え、それぞれの顧客層にマーケティング活動を行っているが、ニトリではコンシューマで得た強みを敢えてビジネスにも活かすと言う。そして、コンシューマ同様にビジネスでも価値を見い出すことで、流通革命を起こしたいという指標を持つ。BTLではニトリビジネスにいち早く着目し、マーケティングとクリエイティブの2つの視点で今後を紐解く。

ビジネスでも「お、ねだん以上。ニトリ」が行く
今回、オープンしたばかりの渋谷ショールームにてビジネス向け商品を確認しながら今後の展開について、ニトリビジネス責任者の富井氏へ話を聞いた。ここ、渋谷ショールームオープンに至った背景はどのようなことがあったのか。

富井氏「これまでのニトリビジネスは、3つの課題を抱えていました。まず、法人向け展開をするにあたり社内の人材リソースが足りないということ。また、PB商品のレパートリー含めた商品開発が遅れていること。そして、ネットで買いやすい環境が整っていないことです。それら3つの課題を解決するために、2年ほどかけて準備をしてきて、遂に、一般のお客様にも自由にご覧いただけるショールームをここ渋谷にオープンすることが出来ました。渋谷は、お客様の感度が高いという印象を持っていますし、今後マスメディアへの露出を考えた際に『渋谷にショールームがあります』と言えます。そういった意味でも、情報発信基地としての役割を担ってくれるのではないかと考えています。そして、コンシューマ向けのマーケティングで定着している『お、ねだん以上。ニトリ』というキャッチフレーズですが、ビジネスでもこの方向性は変えずに事業展開していく予定です」


目指すはBtoBの流通革命
渋谷ショールームがオープンし、具体的にどのようなビジネス展開を考えているのか。

富井氏「ビジネス展開の場合、購入検討いただく方は総務担当の方が多いので、その総務担当の方が上司からOKをもらうために、必要なことがあると考えています。それは、検討されている商品があったとして、同じもので安く購入できるか?ということ。もしくは、価格が同じような商品が並んだ時に、スペック的に少しでも優れているかどうか?この視点を大事にして商品開発をしているのです。私たちがこれまでのコンシューマ向けでやってきたことは、メーカー主導から小売主導に変えようという思想です。例えば、ワークチェアという商品を考えた時、『カラフルなものがあっても良いんじゃない?』という考えで、多色展開を打ち出しました。シンプルな木のデスクに1色のワークチェアを選んでもらっても良いですし、全色並べたとしても馴染むように開発したので、自由に選んでいただけるようになっています。また1脚8,990円(税別)は、一般的な流通価格をおさえた価格です。商品の価格と品質のバランスについてお客様に見ていただける場所としてもこのショールームは活かされるのではないかと考えています。世の中、働き方改革などの動きが高まっている中で、『リモートワーク』というキーワードが出ていますが、これに関してはあまり気にはしていません。働かれる人たちが主軸となって欲しい商品がチョイスできる品揃えとサービスを提供したいと考えています。例えば家賃のような企業の固定費をなるべく減らせるような、フリーアドレス型のスペースコントロールが利く商品を開発していくことが必要かなと考えています。それが、一般的な市場価格より10〜20%程度安く、見栄の良い商品であれば、コストも抑えられ働く環境も変わるのではないかと思っています」

編集部の視点
今回の取材を通して何度か出てきたフレーズは、「コンシューマもビジネスも、購入決定者は『人』であることに変わりはない」ということだった。コンシューマ向けで得ている手応えをビジネスにも活かすことで、業界の中で後発と言われるニトリビジネスがどのように市場を勝ち取っていくのか。働き方改革を具体的に進める企業の一つとして、今後の展開が楽しみであると同時に、コンシューマ、ビジネス限らず、商品を選べる立場である顧客側の「作りたいオフィスをコストコンシャスに作れる手法がある」ということを知ろうとする意識改革が、必要になってくるのではないか。