クリエイティブ経済誌 BUSINESS TIMELINE
Vol.42
TIEUP
2018.12.13

10年がかりで健康な野菜と土づくりにチャレンジする農家

群馬県の北部に位置する昭和村。おいしい野菜が採れる気候、風土を兼ね備えた同地においてモスバーガーで提供されるキャベツを生産している野菜くらぶの阿部さんに、野菜づくりのこだわりについて話を伺った。



阿部さん「野菜づくりは両親から跡を継ぎ、34年目です。モスさんと一緒に取り組み始めたのは22年前から。モスバーガーに提供するには、農薬や化学肥料を極力使用しないことが求められます。野菜くらぶの先輩から様々なテクニックを教えてもらい、そこから『特別栽培』(※1)という慣行の農薬と科学肥料を半分にする栽培方法を思考錯誤しながら行いました。パーフェクトになるまでには10年くらいかかったかな」

計画通り、思い通りにならない自然現象に収穫のタイミングや収穫量も左右される農業。今年は特に大変だったという。

阿部さん「今年は例年にない暑さと干ばつで大変でした。暑い日には気温がすごく上がって、台風の日は雨で水分が多くなり、育ちすぎてしまう。モスさんに適したサイズを見つけるのが大変で(笑)。干ばつの間は定植から収穫までに85日くらいかかりました。水分が足りず大きくならないので、収穫を遅らせていたんです。80日くらいで切り終わろうと思ったら85日近くまで延びてしまって。ゲリラ豪雨や台風で水分をもらったら、今度はいきなり成長が早くなって70日目で裂球するキャベツがでてきたり。目を離さず、追いかけなければいけない厳しい状況が続いています」

こうして、作られていく阿部さんの野菜はこだわりに満ちている。

阿部さん「昔、農薬を今よりも多く使っていた時は、素手で作業していると指先が荒れたんですよ。今は素手で触っても健康な手でいられる。農家らしくない手だけど(笑)。農薬による違いを文字通り肌で感じました。一番大事な土づくりも特別栽培で行っています。さらに、キャベツしか作ってないと連作障害(※2)が起こるので、回避するために作目の違うこんにゃくやレタスを作っている人と畑を交換します。土を交換することで病気になりにくくするんです」

野菜くらぶでは、経験や失敗談などノウハウを共有できる強い横のつながりがある。また、全国のモスの協力農家間におけるネットワークも、より良い野菜を作るための学びの場となっているようだ。


阿部さん「モスさんのHATAKEミーティング(※3)に参加した際に知った、他の生産地の手法を実際に取り入れたりしています。例えば、熊本の農家さんに聞いた方法。群馬だと畝(うね)を作るのは等間隔で全部つくり、その畝に全部定植していくんです。でも、熊本は2本植えて1本休む。そうすることで育ちがいいと。土から養分を吸い上げるのにゆとりがあるのと、風周りが良くなるんです。3年ほど前から実践しています」

阿部さんが愛情をかけて作った想いの見えるキャベツ。阿部さん自身もモスバーガーに赴き、お客さまが実際においしそうに食べている姿を目にすることで喜びを感じるという。

阿部さん「お客さまと交流する機会があり、率直に『おいしかった』と言われると励みになります。また、店舗の掲示板に書かれる本日の主な野菜の紹介に自分の名前が書かれていると、友達や知り合いが連絡をくれて写メまで送ってくれるのですごく嬉しいです。市場に出している時は、自分が作ったものがどう食べられているかを知る機会は全然なかったんです。モスさんに出すようになって、本当にお客さまの顔が見える、そういう農業ができるようになりました。来年からは長男も戻ってくるので、これからももっともっと美味しいキャベツ作りを頑張らないと」

(※1)特別栽培…特別栽培農産物とは県の慣行基準に対して、農薬、化学肥料を50%以上減らすこと
(※2)連作障害…同じ土地で同じ作物を繰り返しつくり続けることで起きる生育不良
(※3)HATAKEミーティング…モスと生産者とのコミュニケーションと生産者同士の技術向上を目的とした会議

野菜くらぶ
野菜くらぶは生産者団体。現在、生産者は82名。各部会に分かれており、キャベツ部会、レタス部会などがある。部会の中で年間計画をたて、出荷量や面積などを決めている。