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答えは「体験」のなかに―「バルミューダ ザ・トースター」ヒットの理由

  • 2016/10/31
  • Editor’S
  • メイカーズ


バターたっぷりのトーストに、熱々のとろ~りチーズトースト。クロワッサンやバゲット。朝食が「パン派」なら、おいしく焼けたパンが、どれだけ朝を幸せな気持ちにしてくれるかご存知ですよね。

 筆者が運営に携わる日本最大級の朝のライフスタイルマガジン「朝時間.jp」で一昨年春に実施したアンケートによると、「朝ごはんによく食べるメニュー」の第1位はトースト(49%)。アレンジトーストの記事は常に上位にランクインしています。
今回ご紹介するのは、そんな「トースト」に照準をあて、2015年に発売し大ヒットを遂げたトースト専門家電「BALMUDA The Toaste(バルミューダ ザ・トースター)」。2003年に創業したバルミューダ社(本社・東京)が手掛け、感動のトースターをうたう同製品は、市場では価格帯数千円のトースターが出回るなか、22,900円 (税別)という高価格帯にも関わらず20168月時点でなんと販売10万台を超える反響となっています。
特徴は、独自に開発したスチーム技術と温度制御によって「最高においしいトースト」を誰でも簡単に焼くことができるというもの。パンを焼く際に、まず吸水口から5ccの水を入れるとスチームがトースター内に充満しパンの表面は薄い水の膜で覆われます。これによりパンの表面が軽く焼けた状態になり、パンに含まれている水分、バター、香りなどがしっかりとパンの中に閉じ込められる…という仕組みです。

バルミューダ社が、この「独自のスチーム」技術の発想を得たきっかけは、2014年に催した社内バーベキューでの体験から。大雨のなか、炭火で焼いた食パンのあまりの美味しさに感動し、その美味しさを再現すべく試行錯誤するなかでスタッフの1人から出た「あの時、すごい雨が降ってましたよね?」という言葉がブレイクスルーだったのだとか。そこからスチーム実験を繰り返し、2000種類ものデザイン案を挙げ、機能だけでなく “ここからパンが出てくること自体が嬉しい”美しいトースターを作り上げたのです。

では、どのように消費者とのコミュニケーションを図ったのでしょうか。そこにはプロダクトアウトではなくマーケットインの考え方がありました。コミュニケーション戦略として、キービジュアルを製品ではなく「トースターでつくられるメニュー」にフォーカスしたことです。消費者は“美味しそうなトースト”の写真に惹かれ、実際に焼いてみると、“想像以上に美味しい”という実体験がある―そこから口コミによって拡がったバルミューダ社のFacebookは「2.5万いいね」、Instagramではハッシュタグ付きの関連キーワードで実に数千件以上の口コミが投稿がされています。

「体験」から作り「体験」を買う。モノが溢れる時代だからこそクリエイティブの原点に戻ってリアルな「体験」を大切にすることを、このシンプルで研ぎ澄まされたトースターが教えてくれるのではないでしょうか。

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