#システムエンジニアリング | 2017/07/14 | 残間 光太朗(ざんま こうたろう) | 1view

AIと人類が協調していく社会を創造する

Global Open Innovation


AIが人類に接続する日

2017年3月、アメリカの起業家であるイーロン・マスク氏が脳 とAIをつなぐ会社「Neuralink(ニューラリンク)」を設立したと発表しました。Neuralinkは、人の脳に微細な電極を埋め込み、その思考を直にAIシステムに伝送する技術を開発しています。イーロン・マスク氏といえば、これまでにテスラモーターズ、スペースX、ソーラーシティー、更にはトンネル掘削会社「ボーリング・カンパニー」や、超高速列車「ハイパーループ」といった最先端技術ベンチャーを次々と立ち上げ、誰もが絵空事と思っていることに果敢に挑戦しています。それでいて、有言実行してしまうので、ついに人類はこんな領域まで具現化してしまうのか!?と衝撃を受けました。


AIvs人類の勝者は?

「シンギュラリティ(Singularity)」技術的特異点と訳されるこの言葉は、1993年にコンピュータ科学者でSF作家のヴァーナー・ヴィンジ氏が2005年から2030年の間に、AIが知能に追いつき、さらに追い越すと予測したときから使われ始めた言葉です。またレイ・カーツワイル氏が2005年に「The Singularity Is Near」という書籍において、2045年にその特異点を迎えると述べています。さらに、2013年にオックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授が、今後10~20年で米国労働人口の47%の仕事が機械に代替されるとした発表もあり、「AIが人間を超える日がくる?自分の仕事がなくなってしまう?」一時期このような議論が様々な職業において話題になりました。
実際、AIが人類の脅威になる派と、さらなる進歩を促す派と二手に分かれ、様々な議論がされています。イーロン・マスク氏はもともと、「AIの急激な発展はいずれ人類の脅威になる」と危惧していました。今回のNeuralink設立は、「AIに支配されないために、人間の能力をAIで高める」という大きな目的を掲げています。これは、ついに人類がAIに負けないための戦いを始めた、第一章なのかもしれません。


“声なき叫び”をAIで浮かび上がらせる

現段階の技術において、AIはまだ人類の脅威になる存在ではありません。とはいえ、今後のビジネスモデル次第で、「人類の脅威になるのか?人類の進歩を促すのか?」という重要な岐路に立たされるのではないかと思います。最近出会ったベンチャー企業の中で、ひょっとしたらこれはAIを活用して人類の進歩を促してくれるビジネスモデルになるのでは?と胸を躍らせた企業がありました。それは、スペイン・バルセロナのThe Social Coinという企業です。彼らが注目したのは“Interested Bystanders(インタレスティド・バイスタンダーズ)”という、日常の中では表面上に現れてこないけれど、実は水面下にある切実な市民の怒りや痛みの「声なき叫び」です。それらをTwitterなどのSNSから拾い上げ、AIを活用し、本当に解決すべき社会課題として分析し見える化することによって、市民からの解決策の提案を促すソリューションです。さらに市民から上がってきた優れた提案に関しては、ブロックチェーンなどを活用して、報酬としてのコイン等が与えられ、たくさんの市民に善行が伝播していく仕組みを目指しています。


AIがあるからこそ創発されるビジネスへ

こういった現時点のAIの技術レベルでできる新しいビジネスを創発し、AIで人類の進歩を促していくことが、将来AI と人類が協調していく社会の礎になるのではと思っています。例えば時代が進んで、Neuralinkで脳に接続したAIが、人々が意識していない深層の課題を吸い上げ、分析し、「今解決しなければならない社会課題はこれです。」と市民一人一人に提案をしてくれるとします。それに対して市民が、自ら考案した解決策をどんどん提案しそれがさらに他の人にも伝搬していく、例えばそのようにAIと人類が得意分野を補い協調しあえる世界ができればいいなと思っています。AIの進展により、多くの仕事がAIに代替され、私たちの仕事はより効率的になるでしょう。もちろんそれも大切ですが、AIがあるからこそ生まれる新しいビジネスをたくさん創発すること、そしてそれがこれまでの世の中を劇的に良く変えているように、今から取り組んでいくことが、未来においてAIと人間がWIN-WINの関係を作っていく上で、大切なのではないかと思っています。

残間 光太朗(ざんま こうたろう)

残間 光太朗(ざんま こうたろう)

NTTデータ オープンイノベーション事業創発室室長。1988年、NTTデータに入社後、新規ビジネス推進やコンサルに従事。2014年よりマンスリーフォーラム「豊洲の港から」やグローバルビジネスコンテストなどで“さあ、ともに世界を変えていこう”を合言葉に、革新的で迅速な新規ビジネス創発に邁進している。

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